十日月です アトリエやってます

子育てをブログを卒業して、大好きなモノ作りを楽しんでいます。マイアトリエに関するあれこれを綴っていきます。

船頭多くして餅を絵に描く

2010年12月08日 | アトリエ
 仕事の話。
 去年の忘年会では小さなことでブチ切れだったが、今年後半は実家がゴタゴタしてから小さなことに引っ掛かる余裕がなく、仕事が楽で良かったなあと安堵し、こんな職場でも仕事すること自体はやっぱ私のストレス解消なのだ、と機嫌よく働いているのだが、このくそややこしい時期に新規プロジェクトを任された。

 と言えばカッコいいが、更地に家を建てるような新規プロジェクトではなく、好き勝手に置いたオブジェを活かして美術館を建てろという、超ハードル高っな企画だった。

 しかも任され方がひどい。家が出来上がりそうだから客に届ける前に綺麗に掃除してほしい、ほんでもって今後のメンテナンスを頼みたいので一応お客を紹介しとくわ、と言われて、そのくらいだったらお手伝いさせていただきますと思ってのこのこ付いて行ったら、パースを広げて検討中、みたいな。設計図もまだですってか。んで、オブジェをまとめるプロを連れてきたので庭のことは直接言ってくださいって紹介されちゃったよ。

 聞いてねーよ。てか庭師じゃねーし。ちょっとガーデニングが得意なだけのただのハウスキーパーだよ、みたいな。例えば、の話だけど。

 客の前で騙されて連れてこられたと言うわけもいかず、商談が終わるころにはとりあえず造園家を捜して切り抜けようと腹をくくり、商談後にこれまでの経緯を教えてくれと迫ったが、このオヤジ、恐ろしく説明の下手な輩だった。

 途中まで進んでいるのだから、私としては変更可のことと不可ことと未定のことを切り分けたいのだが、さっぱり要領を得ない。さっきパースを見ながら庭の話しもしてたやん、池に橋が要るのはわかったわ、けどそれ以外に絶対条件もあるんちゃうのん、街灯は要るの要らないの?あのオブジェを元にするのよね?と聞くと、あれはパース屋が勝手に置いてったから変更してもええのやと。

「ん?客には見せてたよね?客の反応は?」
「ん?何も」

 って、聞いてないんかーーーーーいっ。

 プロジェクトの他のメンバーも、オブジェについて良いとも悪いとも言ってないらしい。プロジェクトで検討されていないのだ。後から聞いて回ったところによると、気がついたらあったから客の意向だと思い込んでいた人もいた。私だってそうだと思ってたさ。違うらしいよ。どっちでもいいんだって。

 揃いも揃って説明下手まとめ下手なのでグループ内の連絡が恐ろしく悪い。勝手に変えてよいと言われても、面識のないパース屋に了解を取ってくれるような人が見当たらない。それどころか、パース屋がゴネたら私のせいにしそうな奴らである。こんな奴らを間に入れたらロクなことにならんから、直接話をしたいから紹介しろと詰め寄って1週間。誰も紹介してくれない。ただパース屋が自分の分野だけ突っ走っていて、それを誰も止められないので困っている様子なのは分かった。

 完成予想図を客に見せて、ああだこうだ、できたの変更だのと一人でやっているらしいから、私は設計屋だと思っていたのだが、設計はしたことがない人だった。設計無視でイメージ画を客に見せては、絵には描いたけど実際は出来ない、というのを繰り返してしるのだ。パースパースってみんな言ってっけど、それって世間ではイラストって言うんじゃないのぉ?だいたい何者よ、パース屋って。

 噂をまとめると、美術をちょっと習ったことがある内装屋だったとさ。じゃあ設計は誰がやっているの?そいつも紹介しろよ、と思っていると、いつのまにか私がやることになっていた。聞いてねーよ。加えて言うなら、本来わたしゃ掃除婦でも造園業でもないし、ちょっと器用な街の不動産屋だよ。家の売買扱ってるからって新築の家を基礎から建てられるかっ。パース屋という綽名の内装業者が道路工事屋と水道屋と一緒に美術館を建てようとしていて、埒があかんから不動産屋の私が呼ばれたの。どんだけ人選を間違ってんねん。せめて大工か土建屋がひとりでもいれば・・・というような味噌も糞もいっしょくたのプロジェクトを丸投げされた。

 素人船頭のくせに船を漕ぎたがる輩だらけのなかで、唯一下っ端の私が母船を動かしてます。