メキシコのソーダ税法施行に対する清涼飲料水メーカーの妨害工作
BMJ Glob Health 2021; 6: e005662
メキシコは世界最大の清涼飲料水の市場であり、肥満と 2型糖尿病の有病率が高い。メキシコは 2014年に世界に先駆けて国内の産業保護と健康増進を目的とする加糖飲料 (sugar sweatened beverages) に対する課税 (通称ソーダ税) を定めた法律を制定した。この法律は加糖飲料の消費を抑制することを目的としているので、清涼飲料水メーカーの強い抵抗を受けている。
カルフォルニアサンフランシスコ大学の食品産業文書保管室に保管された大企業の内部文書を調査したところ、メキシコのソーダ税に対する国際企業の反応が明らかになった。さらに、メキシコのソーダ税の効果に関する研究を調査したところ、企業からの資金提供のあるなしで結論が逆になることが分かった。
大企業はフロント企業を通じて、メキシコのソーダ税には健康増進の効果はなく、経済的な損失を生むだけだったと結論する研究を行う研究者に資金提供を行っていたことが分かった。これらの研究は企業からの資金提供を受けていない研究が発表される前に論文化され、公表されていた。
メキシコ政府は現在も国際社会の支援を受けながらソーダ税の政策上の効果についての査読を受けた利益相反のない研究を報告し続けている。
本研究からソーダ税制定後も清涼飲料水メーカーは法律撤廃とソーダ税の国際的な広がりを防ぐために抵抗を続けることが分かった。健康増進のための政策決定は、利益相反のない査読を受けた研究を根拠とするべきである。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34413076/