内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2021/12/28

2021-12-28 21:22:51 | 日記
多発性内分泌腫瘍症1型 (multiple endocrine neoplasia type 1: MEN1) のレビュー。
JCEM 2018; 103: 1296-1301

原発性副甲状腺機能亢進症(primary hyperparathyroidism: PHPT) を診断した場合にどのように多発性内分泌腫瘍症をスクリーニングするべきかについてはずっとすっきりしないと思っていた。

MEN2 については発症年齢が若く(MEN2A は30歳台、MEN2B は小児期)、ふつう甲状腺髄様癌が発端で診断される(PHPT が発端になることは稀)ので、MEN2 のスクリーニングが必要になることはほとんどない。そうすると、主に MEN1 をスクリーニングすれば良いことになりそうだが、MEN1 のスクリーニングはどのようにすれば良いのかはよく分からない。そこで、MEN1 の総説を読んでみた。

1. 神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor: NET) のスクリーニング

MEN1 では前腸に由来する神経外胚葉性腫瘍 (胸腺カルチノイド、気管支カルチノイド、胃カルチノイド、十二指腸ガストリノーマ、非機能性膵島腫瘍、インスリノーマ)を合併し、死因の 50%になる。多くの NET はクロモグラニン A と膵臓ポリペプタイド (pancreatic polypeptide: PP) を過剰分泌するので、これらは NET のマーカーとなり得る。最近の MEN1 の診療ガイドラインでは、膵臓のNETのスクリーニングのために年に1回のクロモグラニン A と PP、グルカゴン、血管作動性腸管ペプチド (vasoactive intestinal peptide: VIP) の測定を勧めている。しかし、この推奨の根拠となっているのは確定された腫瘍についての知見であり、これらのマーカーが NETの早期診断に役立つかどうかには疑問がある。実際、2つの後ろ向き観察研究では、クロモグラニンA、PP、グルカゴン単独または組み合わせは腫瘍の早期診断には役立たなかった。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6276662/


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