非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic statohepatitis :NASH)
last update: 2018/7/91. 疫学
・世界全体のNAFLDの有病率は 25%,最も有病率が高いのは南米(31%),中東(32%),
・NAFLD患者のうちおよそ30%がNASHに進行する(In
・NASH患者のうち20-40%が肝線維化に進行する(Gas
・NASH患者のうち 5%未満が肝硬変に至る(Hepatology 2015; 61: 1547-1554).
・NAFLD患者における HCC の罹患率は不明である.Ekstedt らは肝生検によって診断した NAFLD患者を26.4年間追跡したところ、5% が HCC が原因で死亡したと報告している(Hepatology 2015; 61, 1547-1554).
2. screening
・2018年現在、NAFLDの screening 条件を明確に定めた guideline は存在しない.
・American Association for the Study of Liver Disease (AASLD) は長期予後と経済性についての知見が不足しているため NAFLD の screening は推奨しないとしている(Hepatology 2017; 67: 328-357).
・NAFLDの診断は病歴,血清学的検査,画像検査(エコー,C
3. 病期診断
・NAFLD患者において肝線維化が最も強く死亡を予測する因子
・NASHの診断と,炎症および線維化の評価については肝生検が gold standard である.しかし,肝生検の欠点として高い侵襲性と費用,サンプルエラーがある.そ
・肝線維化の評価ツールとして NAFLD fibrosis score (NFS) がある.これは,年齢,BMI,血小板数,トランスアミナーゼ(
・NFS の他にも肝線維化を捉えるための非侵襲的なツールとして fibrosis-4 (FIB-4) score,AST to platelet ratio, enhanced liver fibrosis panel, Fibrometer, Fibro Test, Hepascore が開発されている(Dig Dis Sci 2016; 61: 1356-1364).
・AASLD は肝硬変のリスクが高い NAFLD患者の同定のために NFS または FIB-4 で肝線維化リスクを評価することを推奨している(Hepatol
・肝線維化の程度を評価する画像診断法として,magnetic resonance elastography (MRE) とtransient elastography (TE) がある.
・TE はエコーで肝の剛性 (stiffness)
を評価する方法で、非侵襲的で簡便ではあるが、結果のおよそ25
・MREはTE よりも正確に NAFLD患者の肝線維化の程度を評価できる(J Hepatol 2013; 58: 1007-1019).MREの肝線維化に対する感度は91%(
・AASLDは NAFLD の患者に対して肝硬変のリスクが高い NAFLD患者の同定のためにTEまたはMREを行うことを推奨
4. 治療
・生検で診断された NASH 患者を対象とした前向き研究で,10%の体重減少は組織学的に肝
2015; 149: 367-378).
・AASLDはNAFLDの管理において運動と食事の改善を推奨
・2018年7月現在,FDAが承認している NAFLD に対する治療薬は存在しない.
・2013年にFDAとAASLDによる合同ワークショップでは
・NASHの病理にはインスリン抵抗性と酸化ストレスが関与して
・247名の糖尿病を合併していない NASH 患者を対象に vitamin E および thiazolizine
の治療効果を検討した多施設,2重盲検の RCT では,2年間の観察期間で vitamin E 800
IU/dayについては偽薬と比較して有意な組織学的改善 (43% vs 19%, P = 0.001) を認めた.一方、pioglitazone 30mg/day では有意な改善は認めなかった(34% vs 19%, P = 0.04).いずれも偽薬と比較して有意にトランスアミナーゼ(