糖尿病網膜症のレビュー
Int J Mol Sci 2018 ;19 :1816
網膜症のニーズと治療のギャップ
糖尿病網膜症 (DR) は現役世代の失明の主な原因である。DR は非増殖網膜症 (NPDR) と増殖網膜症 (PDR) に分けられる。
NPDR では血管の閉塞や血管からの滲出が起こり、眼底検査では微細動脈瘤、出血、硬性白斑、綿花状白斑を認める(リンク2)。自覚症状はないことが多い。PDR では血管新生を認める。硝子体出血や牽引性網膜剥離が起こると、視力低下が起こる。
黄斑浮腫(DME)は視力低下の最大の原因である。DME は血液網膜関門(リンク3)の破綻が原因で、網膜内または下層に液体が貯留することで起こる。DME は NPDR でも PDR でも起こる。
DR の治療としては硝子体注射、レーザー光凝固術、硝子体手術がある。レーザー光凝固術は網膜を安定化させて視力低下を防ぐ効果はあるが、視力改善は期待できない。抗 VEGF 抗体は視力改善が期待できるが、Diabetic Retinopathy Clinical Research network (DRCR.net) study では DME に対する2年間の抗 VEGF 抗体投与で視力が改善したのは3割弱に留まった。
抗 VEGF 抗体の治療効果が不十分なのは、DR の病態生理に微小血管障害以外のファクター(炎症、網膜の神経変性)があるのではないかと考えられている。DR の病態生理の解明と新薬開発が進められている。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6032159/
微細動脈瘤、出血、硬性白斑、綿花状白斑
https://www.google.co.jp/search?q=microaneurysm&safe=on&hl=ja&prmd=ivn&sxsrf=ALeKk030SScVqNP_zgubFhD9tn_UDX6kjw:1626735096487&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwiN6sa8nPDxAhWyyosBHWl8BgsQ_AUoAXoECAIQAQ&biw=412&bih=708&dpr=2.63#imgrc=I5L56BtFtfN1zM
血液網膜関門
https://www.google.co.jp/search?q=blood+retinal+barrier&safe=on&hl=ja&prmd=isvn&sxsrf=ALeKk02UEIwKUXt8-5tDwmW7Px6LBplk1Q:1626821390423&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwjX49r43fLxAhWLPXAKHVdODIUQ_AUoAXoECAIQAQ&biw=412&bih=708&dpr=2.63#imgrc=8zZwAZeCufKsRM&imgdii=JLv-me7qIaAUaM