内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2021/12/25

2021-12-25 14:47:45 | 日記
妊娠糖尿病についてのレビュー
Nat Rev Endocrinol 2012;8:639-649

妊娠糖尿病の周産期合併症の頻度を検討した観察研究であるHAPO study では健常妊婦と比較してわずかでも血糖が上昇すると、周産期合併症が増えるという結果だった。

そのため、経口ブドウ糖試験で1点陽性であれば、妊娠糖尿病と診断することになった。この結果、妊娠糖尿病と診断される人が2倍に増えた。

たしかに周術期合併症は増えるが、絶対リスクは高くなく、いずれも数%の増加に過ぎない。生活習慣指導や自己血糖モニター、インスリン注射で介入した場合、肩甲難産、児の過体重は数%減らせるが、とても効果的とは言えない。

妊娠糖尿病と診断された妊婦は産後5-10年に3-5割が糖尿病を発症する。生活習慣の改善で糖尿病発症リスクを~5割減らすことができるので、妊娠糖尿病の診断・介入は将来の糖尿病の発症予防に効果があるかもしれない。

妊娠糖尿病は子どもの肥満・糖尿病発症のリスクらしいが、母親に対して妊娠糖尿病の診断・介入することが子どもの肥満・糖尿病発症予防につながるかどうかは不明。母乳育児は子どもの肥満予防に有効かもしれない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4404707/