原発性アルドステロン症に対するスピロノラクトンの心血管イベントの抑制効果を検討したコホート研究
Lancet Diabetes Endocrinol 2018; 6: 51-59
スピロノラクトン服用で加療されている原発性アルドステロン症患者 602例と本態性高血圧症患者とで、心血管イベントと死亡のリスクを比較した。
その結果、スピロノラクトン服用で加療されている原発性アルドステロン症患者のうち、血漿レニン活性が 1 ng/mL/h 未満に抑制されたままになっている患者では本態性高血圧症の患者と比較して心血管イベントと死亡のリスクが高かった (それぞれハザード比 2.83, 95%信頼区間 2.11-3.80、ハザード比 1.79, 95%信頼区間 1.14-2.80)のに対し、血漿レニン活性が 1 ng/mL/h 以上と抑制が解除されている患者では有意なリスク上昇を認めなかった。この結果から、原発性アルドステロン症をミネラルコルチコイド受容体拮抗薬で治療する場合は、血漿レニン活性 1 ng/mL/h 以上が治療目標とされている。
具体的な治療方法としては、スピロノラクトン 12.5-25 mg/day で開始し、血圧、電解質、腎機能を確認しながら 4-8週毎に 25-50 mg/day ずつ、最大 200 mg/day まで増量する。注意するべき副作用としては高カリウム血症がある。他に原発性アルドステロン症では過濾過 (hyperfiltration) があり、スピロノラクトンはこれを解除するので軽度のクレアチニン上昇を認めることがある (C irculation 2018; 138: 823-835)。