内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2022/03/05

2022-03-05 07:49:49 | 日記
不明熱の総説
NEJM 2022; 386: 463-477

1907年にマサチューセッツ総合病院臨床病理学会の創始者の一人である Cabot は 2週間以上続く発熱を long fever と定義した。1961年、Peterdorf と Beeson は 1週間の入院精査でも原因が分からない 3週間以上続く 38.3℃以上の発熱を不明熱 (fever of unknown origine: FUO) と定義した。その後、Durack と Street は精査の期間を入院 3日以上あるいは外来診察 3回以上に短縮する診断基準の改訂を行った。

不明熱と診断する前に何を調べるべきかは議論があるが、ふつうは最小限のワークアップは行っているだろう。

まず、詳細な病歴、抗菌薬を含む薬剤歴、旅行歴、食事歴 (加熱処理していない乳など)、動物との接触歴を確認し、皮膚、関節、リンパ節に注意して身体診察を行う。そして、たしかに発熱しているのかを確認し、入院が必要かどうかを判断する。全身状態が安定していて好中球減少症でもなければ、抗菌薬使用は控える。

最小限のワークアップとしては、全血算 (complete blood count: CBC) 、complete metabolic panel、CRP および ESR、血液培養 2セット、HIV 抗体、心臓超音波、胸腹骨盤部CT (他に症状や身体所見がある部位があればその部位の CT) が挙げられる。最近始めた薬剤や薬剤熱の原因の可能性がある薬剤は中止できないか検討する。

さらなる検査については、疫学、患者、環境などの要因を考慮して行うため患者毎に異なる。また検査は一時に行うべきではなく、鑑別疾患をルールアウトまたはルールインするのに必要な検査をその都度行うべきである。

不明熱は精査を行っても最大 50%で診断に至らない。その場合は患者に説明し、新たな診断の手がかりが得られるまで待つことも必要になる。

1. 発熱

1868年に Wunderlich が体温測定についての先駆的な仕事を行うまで、体温測定は一般的ではなかった。当時の検温器は足ほどの大きさがあり、1回の測定に 20分もかかった。彼は腋窩の温度を 100万回以上測定し、正常な体温は 37.0℃ だと結論した。

19世紀からヒトの正常体温は低下し続けているようである。だいたい 10年あたり 0.03-0.5℃ ずつ低下しており、現在の正常体温は 36.3-36.5℃ となっている。正常体温が低下している原因は過去 200年間の環境の変化によるものではないかと言われている。

体温調節については視索前野と視床下部の前部が中心的なはたらきをしている。炎症性サイトカイン (IL-1, IL-6 など) が脳の内皮細胞に作用すると、プロスタグランジン E2 が産生される。プロスタグランジン E2 は視索前野の体温調節のセットポイントをリセットすることで発熱反応を引き起こす。視索前野は発熱以外にも、皮膚の血管を収縮させ、褐色脂肪細胞における非ふるえ熱産生、骨格筋におけるふるえ熱産生を制御している。発熱に関連する食思不振もプロスタグランジン E2 が制御している。

2. 発熱の意義

古代の哲学者は発熱は良いものだと考えていた。しかし、19世紀初頭から発熱は悪いものだと考えられるようになった。しかし、動物界の系統で発熱反応が広く保存されていることを考えると、発熱には適応的な意義があるのだろう。

多くの病原性の細菌は中温菌 (mesophil) であり、およそ 35℃ が増殖に適した温度である。そのため、発熱によりこれらの細菌の増殖を抑えることができる。

また、発熱は、1. 肝臓で鉄結合蛋白 (ラクトフェリン) 合成を促進し、細菌の増殖に必要な遊離鉄を隔離する、2. 抗菌物質の抗菌活性を増加させる、3. 宿主の感染防御を活性化させるヒートショック蛋白の発現を誘導する、4. T 細胞を活性化することが知られている。

ある研究では重篤な患者では 39.5℃ までの発熱では有害な効果はなく、発熱はむしろ良いアウトカムと関連する可能性があることが示されている。しかし、発熱が良い効果を持つとしても、外から暖めても良い効果はない。

3. 不明熱の原因の変遷

過去 100年間で不明熱の原因は大きく変わった。1900年代中頃までと比較すると、現在は感染症の割合が低下し、自己免疫疾患と自己炎症性疾患の割合が増加している。

しかし、国や医療機関 (三次医療機関か市中病院か)、患者背景によっても不明熱の原因の内訳は異なる。現在でも低所得の国では感染症の割合が多いようである。たとえば、インドやトルコは 2021年の時点で不明熱の原因に占める感染症の割合は 40%であり、自己免疫疾患や自己炎症性疾患が占める割合は 25%程度だった。一方、日本やギリシア、韓国では 50%以上が自己免疫疾患または自己炎症性疾患だった。

現在でも、不明熱の最大 51%で診断がつかない。

4. 古典的不明熱

歴史的に不明熱は、1. 古典的、2. 院内、3. 免疫不全関連、4. 旅行関連に分類されている。このような分類にはもちろん限界はあるが、不明熱の原因を探るときの便利なフレームワークになる。

i) 古典的不明熱
古典的不明熱とは、Peeterdorf と Beeson が最初に定義した不明熱で、過去 100年間で不明熱に関連する報告で扱われてきた最も典型的な不明熱のことである。古典的不明熱の原因としては、1. 感染、2. 悪性腫瘍、3. 自己炎症性疾患および自己免疫疾患、4. その他がある。

感染症による不明熱の原因として最多なのは結核である。現在でも、粟粒結核および播種性結核は診断が難しい。理由としては、症状が一定しないこと、しばしば肺結核が先行しないこと、肺の画像所見に乏しいこと、診断ツールが十分でないことが挙げられる。

Whipple 病 (Tropheryma whipplei によって引き起こされる稀な全身性疾患) では 38%の患者で発熱をともない、しばしば関節痛または関節炎、下痢、体重減少を認める。

チフスおよびチフス以外のサルモネラ菌による菌血症は不明熱の原因となり、細菌性動脈瘤 (リンク参照) を合併することがある。

感染性心内膜炎 (特に血液培養陰性の心内膜炎) と深部組織感染症 (膿瘍および前立腺炎)については古くから不明熱の原因として知られている。

ia) ウイルス感染
ウイルス感染のほとんどは自然に治癒するが、不明熱の原因としてウイルス感染を診断できれば、無駄な検査を省き、不必要な抗菌薬使用を避けることができるかもしれない。

中国での研究によれば、不明熱の患者の 1/3 でヒトヘルペスウイルス (human herpes virus: HHV) に対する血漿 PCR 検査が陽性だった。他にサイトメガロウイルス (cytomegalovirus: CMV) 、エプシュタインバールウイルス (Epstein-Barr virus: EBV) HHV-6、HHV-7 の PCR がそれぞれ 15.1%、9.7%、14.0%、4.8%で陽性だった。さらに 10.2% では複数の PCR が陽性だった。しかし、HHV の PCR 陽性については、他の原因で不明熱となっている患者で 2次的に潜伏感染していた HHV が再活性化した可能性がある。

ウイルス感染による発熱はアミノトランスフェラーゼ高値や血液学的異常をともなうことがある。血液学的異常は特に EBV 感染で多い。

伝染性単核球症は年齢によって臨床症状が異なる。中年以上では発熱の期間が長く、白血球減少が顕著で、脾腫と咽頭炎、リンパ節腫脹の頻度は若年者と比較して少ない。したがって、年齢に関わらず不明熱の原因として伝染性単核球症は鑑別疾患に挙げるべきである。

HHV-6 と HHV-8 については一般には免疫不全患者でのみ検査される。HHV-7 が病原性を持つかについては議論がある。

髄膜炎をともなう場合には動物由来のウイルスが原因である可能性を考慮する。

ib) 真菌感染
地域流行型真菌症 (ヒストプラズマ症、ブラストミセス症、コクシジオイデス症、パラコクシジオイデス症) は免疫不全患者および健常者の不明熱の原因となる。例外は talaromycosis (以前はペニシリウム症と呼ばれていた) で、主に免疫不全患者で発症する。

一方、侵襲性真菌感染症 (アスペルギルス症、ムコール症、Cryptococcus neoformans によるクリプトコッカス症) はほとんどの場合で免疫不全患者で発症する。例外は Cryptococcus gattii によるクリプトコッカス症で、健常者でも発症する。

地域流行性真菌症は流行域が重なっており、臨床症状も特異的なものはない。渡航歴を確認することが診断の一助となる。ただし、真菌症の流行域は時と共に変化することには注意が必要である。

ic) その他の感染症
ヒトの病原体のおよそ半数が節足動物媒介性または動物由来の感染症であり、これらはしばしば不明熱となる。動物または節足動物との接触歴は明らかでないことが多い。これらの感染症で認める紅斑、血球減少、トランスアミナーゼ高値などの所見は非特異的であり、信頼できる特異的な検査がないことで診断が遅れることはしばしばある。

id) 悪性腫瘍
悪性腫瘍は不明熱の原因の 2-25%を占める。不明熱の原因となる悪性腫瘍としては、腎細胞癌、リンパ腫、肝細胞癌および卵巣癌、心房粘液腫、キャッスルマン病が挙げられる。腫瘍熱の原因としては、腫瘍が産生する炎症性サイトカインや腫瘍崩壊が考えられている。腫瘍熱と感染症による発熱を鑑別する方法としてナプロキセンテスト (naproxen challenge) が提案されてきた。ナプロキセンで解熱するのであれば感染症らしくないというものである。

ie) 自己炎症性疾患および自己免疫疾患
自己炎症性疾患および自己免疫疾患は不明熱の 5-32%を占める。自己炎症性疾患と自己免疫疾患は病態生理が異なる。純粋な自己炎症性疾患 (周期性発熱症候群など) は IL-1β や IL-18 の異常による自然免疫の異常であるのに対し、自己免疫疾患 (自己免疫性リンパ増殖性症候群など) は I 型インターフェロンによる獲得免疫の異常による。他の疾患 (成人スティル病や関節リウマチ) は自己炎症性疾患と自己免疫疾患の要素がある。

巨細胞動脈炎とリウマチ性多発筋痛症、成人スティル病は発熱することが多い。炎症性マーカーは上昇するが特異的ではない。しかし、10,000 ng/mL を超えるフェリチンは成人スティル病らしい。

免疫抑制状態が解除されたときに日和見感染の病原体に対して異常な免疫応答が起こる免疫再構築症候群 (immune reconstitution syndrome) は不明熱の新しい原因である。免疫再構築症候群は HIV 感染だけでなく、結核やハンセン病 (leprosy) でも起こるようである。他に臓器移植患者、分娩後の女性、好中球減少症の患者、抗 TNF-α 治療を行っている患者は免疫再構築症候群のリスクである。クリプトコッカス症、ヒストプラズマ症、抗酸菌感染症は免疫再構築症候群の直接の原因となる。

if) 薬剤熱およびその他の原因
入院患者の発熱の 3-7%は薬剤によるものである。しかし、薬剤熱の多くは見過ごされている。薬剤熱では、好酸球血症、相対的徐脈、紅斑がそれぞれ 25%、10%、5%で認められる。薬剤熱の 1/3 が抗菌薬によるもので、そのうち β ラクタム系抗菌薬が最も多い。

Drug reaction with eosinophilia and systematic syndrome: DRESS は重度の薬剤性過敏性症候群で、重度の紅斑と発熱、臓器障害、リンパ節腫脹、好酸球血症と異型リンパ球をともなう。

セロトニン症候群や悪性症候群 (neuroleptic malignant syndrome) は原因不明の場合もあるが、薬剤との関連がある。セロトニン症候群は 5-ヒドロキシトリプタミン (5-hydroxytryptamine: 5-HT) ファミリーのセロトニン受容体を刺激する薬剤によって起こる。一部の医薬部外品や違法薬物、ハーブ類をセロトニン受容体作動薬に併用するとセロトニン症候群を起こしやすくなる。悪性症候群はドーパミン受容体遮断薬 (向精神薬など) に関連しており、セロトニン症候群と誤診され得る。白血球増多などの検査異常を呈することも診断を難しくする。

5. 院内不明熱

ii) 院内不明熱
院内不明熱のワークアップは古典的不明熱のそれと重なる部分もあるが異なる部分もある。前者の場合、ふつう特殊な感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患は考える必要がない。

重篤な患者の場合はまず人工呼吸器関連肺炎、尿路感染、肺炎、腹腔内感染、副鼻腔感染、Clostridium difficile 感染などの院内感染症を考える。

しかし、重篤な患者の発熱の 31%は感染症ではない。脳損傷による神経性発熱 (neurogenic fever) 、塞栓症、薬剤熱などが鑑別になる。

感染性の発熱でも非感染性の発熱でも白血球上昇の頻度と程度は変わらないので両者の鑑別には役立たない。

手術後の患者でもしばしば原因が特定できない発熱を認める。ほとんどの場合は手術の侵襲による生理的なストレス反応としての炎症性サイトカイン産生による発熱なので、自然に解熱する。腸管吻合の縫合不全、瘻孔、血腫、痛風発作 (脱水と末梢組織における低酸素血症が誘因となる)、塞栓症、メッシュまたはグラフト感染、心臓血管外科、整形外科、脳神経外科の手術後の Mycoplasma hominis 感染は手術後の不明熱の原因となる。

広く信じられてはいるが、無気肺が発熱の原因になるという根拠はほとんどない。

5. 院内不明熱

ii) 院内不明熱
院内不明熱のワークアップは古典的不明熱のそれと重なる部分もあるが異なる部分もある。前者の場合、ふつう特殊な感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患は考える必要がない。

重篤な患者の場合はまず人工呼吸器関連肺炎、尿路感染、肺炎、腹腔内感染、副鼻腔感染、Clostridium difficile 感染などの院内感染症を考える。

しかし、重篤な患者の発熱の 31%は感染症ではない。脳損傷による神経性発熱 (neurogenic fever) 、塞栓症、薬剤熱などが鑑別になる。

感染性の発熱でも非感染性の発熱でも白血球上昇の頻度と程度は変わらないので両者の鑑別には役立たない。

手術後の患者でもしばしば原因が特定できない発熱を認める。ほとんどの場合は手術の侵襲による生理的なストレス反応としての炎症性サイトカイン産生による発熱なので、自然に解熱する。腸管吻合の縫合不全、瘻孔、血腫、痛風発作 (脱水と末梢組織における低酸素血症が誘因となる)、塞栓症、メッシュまたはグラフト感染、心臓血管外科、整形外科、脳神経外科の手術後の Mycoplasma hominis 感染は手術後の不明熱の原因となる。

広く信じられてはいるが、無気肺が発熱の原因になるという根拠はほとんどない。

6. 免疫不全状態における不明熱

iii) 免疫不全状態における不明熱

過去数十年で多くの免疫抑制、免疫療法 (生物製剤、モノクローナル抗体、免疫チェックポイント阻害薬、chimeric antigen receptor T cell: CAR T-cell therapy) が臨床応用されている。それぞれに免疫の状態は異なるので免疫不全状態における不明熱を一様に定義することは不可能である。また、免疫不全患者については古典的不明熱の定義とは異なる、経時的また質的な評価に基づく診断基準を作ることが必要になる。

iii-a) HIV 感染
HIV 感染者の発熱は急性レトロウイルス症候群かもしれない。急性レトロウイルス症候群はウイルス血症がピークとなる HIV 感染からおよそ 2週間後に発症する。伝染性単核球症に似た症状で、紅斑 (リンク参照) を認める。

後天性免疫不全症候群 (acquired immunodeficiency syndrome: AIDS) を発症している場合は、日和見感染や悪性腫瘍が不明熱の原因になることが多い。1990年代初頭にフランスで 57例の AIDS 患者における不明熱を検討した報告では 87%が原因特定に至った。原因としては、真菌感染症、CMV 感染症、リーシュマニア感染症、リンパ腫が多かった。他に、ヒストプラズマ症、クリプトコッカス症、トキソプラズマ症、HHV-8 感染症も AIDS 患者の不明熱の原因になり得る。

近年は抗レトロウイルス療法 (antiretroviral therapy: ART) が広く行われるようになり、 HIV 感染はコントロールできる慢性感染症のひとつとなり、AIDS に関連する日和見感染は稀になった。

したがって、21世紀の現代においては、HIV 感染者における不明熱は ART を受けている HIV 感染者における不明熱と ART を受けていない HIV 感染者の不明熱に分類されるべきだろう。前者の場合の鑑別は、HIV 非感染者における不明熱の鑑別とほぼ同じである。

AIDS 患者で ART 導入後に発熱した場合は、免疫再構築症候群を鑑別に挙げるべきである。

iii-b) 臓器移植患者
3626名の臓器移植患者を対象にした観察研究では、1.4%で不明熱を認めた。このうち半数以上の原因は感染症だった。抗ウイルス薬による予防の進歩により、CMV 感染の頻度は減った。他のウイルス感染症 (EBV、アデノウイルス、HHV-6、パルボウイルス B19、HHV-8) については現在でも臓器移植後の不明熱の原因として想定するべきである。

糞線虫過剰感染症候群と播種性ヒストプラズマ症は臓器移植後の発熱の原因になり得るが、しばしば診断が遅れる。

自己免疫や手術の合併症も臓器移植後の不明熱の原因となり得る。抗胸腺細胞グロブリンやアレムツズマブ(alemtuzumab, 抗 CD52 モノクローナル抗体) による血清病は稀だが臓器移植後の不明熱の原因として想定する必要がある。これには好酸球血症、移植片対宿主病 (graft-versus-host disease: GVHD) 、血球貪食性リンパ組織球症 (hemophagocytic lymphohistocytosis: HLH) が先行する。

iii-b) 造血器腫瘍
寛解導入目的に化学療法を行っている造血器腫瘍の患者や造血幹細胞移植前の患者はしばしば発熱する。これらの患者は、7日間以上好中球数 500 /μL 未満が続くことによって定義される慢性好中球減少症の高リスク群である。

好中球減少症における発熱は、自然免疫の破綻により常在している細菌や真菌が血流に侵入することによって起こる。好中球減少症の原因薬剤が特定でこるのはおよそ 1/3 に過ぎない。好中球減少症の患者が発熱している場合、直ちに広域抗菌薬の投与を開始しなければならない。適切な抗菌薬を投与していても中央値 5日間で発熱が続く。発熱が 7日以上続く場合は経験的に抗真菌薬投与を開始するべきである。

造血幹細胞移植後早期の患者の発熱は感染症または非感染性の肺障害 (特発性肺炎症候群など)、真菌感染症、CMV、EBV、HHV-6 などのヘルペスイウルスの活性化 (特に脳髄膜炎で疑う)、アデノウイルス感染症、超急性 GVHD (hyperacute GVHD) などを疑う。

移植から時間が経った後の発熱の原因は多岐にわたるが、GVHD、日和見真菌感染症、移植後リンパ増殖性疾患、癌の再発は鑑別挙がる。

CAR-T 細胞療法を受けた患者の 92%は発熱する。発熱は治療後 3週間以内に起こり、サイトカイン放出症候群 (cytokine release syndrome: CRS) によると考えられている。CRS のバイオマーカーはなく、診断は除外診断による。CRS の予後は不良であり、トシリズマブや糖質コルチコイドによる抗サイトカイン療法が勧められている。

HIV 感染による急性レトロウイルス症候群で認める紅斑
https://www.shutterstock.com/image-photo/acute-retroviral-syndrome-rash-hiv-infection-559987912

サルモネラによる細菌性動脈瘤
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6040868/#!po=22.5490

元論文
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra2111003