11. 糖尿病ケトアシドーシス治療
i. 輸液
・生理食塩水で輸液する.最初の1時間で 1 L 輸液を行い,その後は血行動態や電解質を確認して輸液速度を調整
・生理食塩水の代わりに酢酸加リンゲル(ハルトマン, ラクテックなど)を使用しても良いが,どちらが優れているかは分
・生理食塩水で大量輸液する場合,クロール負荷による高クロール
・米国糖尿病学会は低Na血症を認めなければ,生理食塩水から低
ii. インスリン
・血清K <3 mmol/L ではインスリン静脈注射は開始しない.また初期輸液を開始するまではインスリン静脈注射は開始しない.
・0.1 U/kg/h でインスリン静脈注射を開始する(私は 0.05 U/kg/h で開始することが多い).
・インスリンの血中半減期は4分であり,インスリン静脈注射開始後30分ほどでインスリンの血中濃度は定常状態に達する.米国糖尿病学会はインスリン静脈注射開始時に
0.1 U/kgのインスリンをボーラス投与しても良いとしているが,おそらく不要である.
・生理食塩水 50 mL にヒューマリンR を50単位混合すると,だいたい 1 U/mL になる.シリンジポンプで投与速度を調整する.
・β-ヒドロキシ酪酸(血中ケトン)を指標にインスリンの投与量を調整する.β-ヒドロキシ酪酸の低下速度が 0.5 mmol/L/h 以上となるように, 1時間毎に 1 U/h ずつインスリンの投与量を調整する.
・血中ケトンはほとんどの医療機関で外注検査であり,簡易ケトン測定器が使用できる医療機関も限られている.
また現在使用できる簡易血糖測定器の多くは変動係数が 0.5 mmol/L 以上であり,精度が十分でない(Diabet Med 2015; 32: 14-23, Diabet Med 2012; 29: 827-828).
・血中ケトン濃度はアニオンギャップと良く相関するので,私はアニオンギャップを指標にインスリンの投与量を調整している.アニオンギャップの低下を認めれば,インスリンの投与量を減らす.
・代謝性アシドーシスが改善したら, インスリンの投与方法を静脈注射から皮下注射に変更する.持効型インスリンを皮下注射してから2時間後にインスリン静脈注射を中止する.オーバーラップさせる理由は,インスリンの血中半減期が短いためである.
・血清K <3 mmol/L ではインスリン静脈注射は開始しない.また初期輸液を開始するま
・0.1 U/kg/h でインスリン静脈注射を開始する(私は 0.05 U/kg/h で開始することが多い).
・インスリンの血中半減期は4分であり,インスリン静脈注射開始
0.1 U/kgのインスリンをボーラス投与しても良いとしているが,お
・生理食塩水 50 mL にヒューマリンR を50単位混合すると,だいたい 1 U/mL になる.シリンジポンプで投与速度を調整する.
・β-ヒドロキシ酪酸(血中ケトン)を指標にインスリンの投与量
・血中ケトンはほとんどの医療機関で外注検査であり,簡易ケトン
また現在使用できる簡易血糖測定器の多くは変動係数が 0.5 mmol/L 以上であり,精度が十分でない(Diabet Med 2015; 32: 14-23, Diabet Med 2012; 29: 827-828).
・血中ケトン濃度はアニオンギャップと良く相関するので,私はア
・代謝性アシドーシスが改善したら, インスリンの投与方法を静脈注射から皮下注射に変更する.持効型
iii. 糖
・治療開始後数時間は1時間毎に血糖(HHS 合併の場合は血清浸透圧も)を確認する.
・血糖低下速度は <100 mg/dL/h (血清浸透圧低下速度は <8 mOsm/kg/h)を目標とする.高血糖高浸透圧状態を合併し
・血糖<250 mg/dL で生理食塩水に10%ブドウ糖を加える.(小規模なランダム化試
iii. 電解質
・治療開始後数時間は2時間毎に電解質を確認する.
・血清カリウム <5.5 mmol/L でカリウム補充を開始する.生理食塩水 1 L あたり 40 mEq/L のカリウムを混合注射する.
・リン,HCO3 の補充はルーチンには行わない.pH >6.9 では HCO3 投与による利益はない(Ann Intensive Care 2011; 1:23).一方, HCO3 投与は小児では脳浮腫との関連が示唆されている.また,HCO3 投与でアルカローシスになると血清中の遊離 Ca イオン濃度が急激に低下する.私自身,糖尿病ケトアシドーシスに