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「音楽著作権の利用が広がる競争を」 イーライセンスとJRCが合併、新会社「NexTone」始動へ
音楽著作権管理事業者のイーライセンスとJRCが合併し、新会社「NexTone」が発足する。JASRACがほぼ独占している市場で「公平なルール」の競争導入を目指す。
エイベックス・グループ・ホールディングス(エイベックスGHD)は12月17日、傘下で音楽著作権管理事業を展開するイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)が来年2月1日付けで合併し、新会社「NexTone」(ネクストーン)が発足すると発表した。市場は日本音楽著作権協会(JASRAC)の一強支配が続き、両社のシェアは合計2%にとどまるが、デジタル配信など新サービスへの柔軟な対応などを打ち出し「権利者に選ばれ利用者に支持される事業者」を目指す。
新会社はイーライセンスを存続会社とする吸収合併方式で発足。イーライセンス会長で創業者の三野明洋氏が取締役会長に、イーライセンス社長の阿南雅浩氏が代表取締役CEO、JRC社長の荒川祐二氏が代表取締役COOに就く。エイベックス・ミュージック・パブリッシング(AMP)が37.2%を保有する筆頭株主となり、エイベックスGHDの持分法適用関連会社となる。
合併する2社は2001年の著作権等管理事業法の施行をうけて音楽著作権管理に参入。だが両社のシェアは各1%にとどまるなど、市場をJASRACがほぼ独占しているのが現状だ。両社の統合で「真の意味での競争が可能になる」(阿南氏)と、AMPとイーライセンス側がJRCに持ちかけ、統合に合意した。
約款と使用料規定が異なるため、新会社は当面、社内に旧イーライセンスと旧JRCのそれぞれを担当する2つの事業部を併置する形で運営。今後、権利者と利用者の理解を得ながら約款と使用料規定を統一し、2017年4月から一本化して完全統合する計画だ。
エイベックスグループはカバーする約10万曲の管理を新会社に移行する考えだが、管理事業者を変更できる期限の今月末(JASRACの約款上、変更できるのは3年に1回)までに可能なのは5000曲程度にとどまる見通しという。
一部で「エイベックスがJASRACから離脱」などと報じられたが、新会社は支分権のうち「演奏権等」は当面扱わず、移行した場合も演奏権等はJASRACに管理が残る形となるなど説明と検討が必要な条件だったが、作業の遅れもあって移行の案内を出したのは先月半ば。「正直、甘かった」(阿南氏)として、変更は3年に1度という約款などについてJASRACに協力を求めるなどし、今後も移行を進めたい考えだ。
新会社は今後、定額制ストリーミングなどデジタル配信の新サービスにも柔軟に対応できる管理事業を売りに、事実上の独占市場に健全な競争の導入を目指していく。新社名には「次代を奏でる著作権エージェント」という」意味を込めた。JRCの荒川社長は「JASRACとは公平なルールで競争していきたい。パイを奪い合うような競争ではなく、音楽の利用が広がり、マーケットが拡大するような競争をしたい」と話している。
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