歌う狸ブログ

街角狸マニアがあらゆるマニアについて歌う「マニアソングス」誕生秘話

夏らしいマニアソング『DENSEN RAISAN』出来ました!

2020-07-17 17:48:08 | マニアソングス Vol.2
なかなか梅雨が明けなくてなんとも鬱々とした日々が続きますが、夏を先取りした曲が出来ました。電線愛好家の石山蓮華さんに捧げる『DENSEN RAISAN』という曲です。石山さんは女優として活躍されていますが、実はバリバリの電線マニアで、マニアフェスタにも参加されています。石山さんの作品は文章も小気味良いですが、なんといっても写真が素晴らしく、しかもひたすら歩いてベストポイントを探すところに執念深さを感じます。そんな石山さんのマニアっぷりはこちらの動画をご参照ください。


そんな電線マニアの石山さん、ゴムホースマニアの中島さん、鉄塔マニアの鉄塔ファンさんの三人のユニット「いい線いってる夜」も同人誌を作ったりトークイベントを開催したりしていますが、筋金入りのマニア三人の微妙な立ち位置の違いがかいま見えたり、いきなり線にまつわる川柳(線柳)を始めたりしてスリリングなので目が離せません。「いい線いってる夜」もインタビュー動画がありましたのでご覧ください。(これ便利だな!)


ということで、お待たせしました。早速聴いてみましょう!石山さんと「いい線いってる夜」の世界観を詰め込んだ新作マニアソング『DENSEN RAISAN』はこちらです。(下の埋め込みの三角ボタンを押すと再生されます。)


はい。もうインスパイヤされたとかじゃなくてそのまんまカバーしたみたいになってますが、もちろんベースになっているのはこの曲ですね。



こちらは先日、レコード屋に行ってついに見つけたと思って買って帰ったら、うちにあったレコードです。(よくよく見たら国内盤と米国盤で収録曲も2曲違っていたので、正確に言うと同じレコードではなくて良かったです。さらにマニアになると同じレコードでもカッティングの違いによる音質の差を聴き比べたりしだします。)

このぐらい有名な曲になると有名過ぎて逆に一度も弾いたことがない、というのはバンドやっている人あるあるかもしれませんが、私もずっとこのコーラスを歌ってみたかったのに今まで一度もやる機会がありませんでした。今回やるにあたってよくよく聴き込んでみると、シンプルな中にたたみかけるようなグルーブがあって、絶妙なバランスで成り立っている曲でした。爽やかに病みつきになる感じがうまく再現出来ていたら幸いです。

実は今回歌を作ろうと思ったのは、石山さんが出演されていた有吉反省会というテレビ番組を見たからです。石山さんは電線マニアとして堂々たるマニアぶりを見せてくれていましたが、番組の構成上、電線マニアの石山さんが反省させられて、禊をするという流れになっていました。それが私には、石山さんが電線マニアという他の人と違う視点を持っていることを出演者全員でその見方はおかしいから反省しろ、と言っているように感じられました。もちろん番組の演出ということは良く分かりますし、台本も決まっているんでしょうが、最後まで私には理解の出来ない構成でした。マニアが出てくるテレビにはありがちな構図ですが、石山さんは芸能人だということでちょっといじり方が厳しく見えたのかもしれません。折角自分とは違う見方で世の中を切り取って見せてくれているのに、頑なにそれを否定する必要は全くありません。みんなが自分の好きなものを自信を持って礼讃できる世界になって欲しいと切に願いながらこの歌を歌いたいと思います。


DENSEN RAISAN
作詞作曲:むらたぬき

どこにあるいい電線
街へ飛び出せ
カメラを持って放浪
足にくるね
友達置いてけぼり
ひたすら歩く
写真パシャパシャ撮って
電線礼讃

街の隙間を縫って
走る電線
あなたと私をつなぐ
通信線
変圧器取り巻く
引き込み線
Electric cable
電線礼讃

探しに行こう電線
街を飛び出せ
上を見上げてうろうろ
足もと注意
あいつは置いてけぼり
ただただ歩く
日が暮れるまで撮って
電線礼讃

赤と青のケーブル
波打つ心臓
複雑なそのシルエット
私はドキドキ
届きそうな思いに
触れたらビリビリ
Electric cable
電線礼讃

しなやかなその曲線
それは電線
艶めき光る空中線
それは電線
私だけにそっと
電気を届けて
Electric cable
電線礼讃

いい線いい線いい線いってる夜


新マニアソング『天狗のひとり酒』誕生しました

2020-07-08 18:36:19 | マニアソングス Vol.2
久しぶりのマニアソングス新曲のお知らせです!前曲『キミはビカクシダ』を作ったのがゴールデンウィークだったので丸々2ヶ月ぶりとなりました。(5月8日の記事「スキあらばコラボ」をご参照ください。そもそもマニアソングスってなんだっけという方は6月8日の「マニアソングス解説編の予告編」をご覧ください。)

待望の新マニアソングは天狗マニアのてんぐアートさんに捧げる『天狗のひとり酒』です。てんぐアートさんとは前回のマニアフェスタ(マニアフェスタVol.4)でお隣のブースだったのがご縁でした。一日中BGMで流していたマニアソングスに文句を言うどころか興味を持ってくれた上に、そのうち天狗の歌を作ってくださいと大変ありがたいオファーをくださった素晴らしい人です!折角オファーをいただいていたのに半年ぐらい先延ばしにしてしまってすいませんでした。天狗というとなんだか不気味で怖いイメージがありますが、てんぐアートさんの作る天狗はなんとも丸っこくて可愛らしいキャラになっています。(てんぐアートさんの通販サイトはこちら)ソフビとかぬいぐるみみたいな立体アイテムを沢山販売されているのが興味深くて、マニアフェスタの期間中ずっと作り方を教わっていました。そんなてんぐアートさんのリクエストは、ほんわかした優しい曲ということでしたので、こんな感じの曲にしてみました。(下記埋め込みの三角ボタンを押すと曲が再生されます。)


最初にイメージしていたのはみんなのうたの『北風小僧の寒太郎』みたいな感じでしたが、「てんぐ、てんぐ、てんぐ〜」というふにゃふにゃしたサビが思い浮かんだのでサビ以外のコード進行は極力シンプルにして、いつかやってみたいと思っていたアカペラ一人多重録音にチャレンジしてみました。

歌詞の着想は森見登美彦さんの代表作「有頂天家族」からです。(これも以前記事で書いてました。「猫と狸のシリーズ」)正直なところ私の天狗のイメージはほとんどこの作品に支配されています。京都では人間と狸と天狗が絶妙なバランスを保っていて、もちろん天狗が一番神通力があるのですが、天狗の世界にも世代交代とか色々事情があって、狸が人間に化けて間をとりもったりしているらしいです。そんなイメージが定着していたのでこの曲でも人間と狸と天狗を登場させてみました。なんとなく天狗は人間には直接手出しをしない、というか人間に関わらなくても天狗には関係ないのでわざわざ里に降りてきたりしないのですが、不老不死もしくは桁外れの長寿なので人間が今の世の中をどんなふうに生きていくのかは最後まで見届けてくれそうな気がします。そんな遠いようで近い存在の天狗からの応援歌という感じの歌詞になりました。

歌詞は割とすんなり決まってコーラスに取り掛かります。アカペラの一人多重録音は山下達郎さんのOn The Street Cornerシリーズが大好きで聴いていましたが、昔から繰り返し聴いていた1曲はBilly JoelのThe Longest Timeでした。これをビリージョエル一人で歌っているというのはにわかに信じられませんが、1音も置きにいくことなくこのテンションで多重録音出来るのは本当に天才としか言いようがありません。バンドメンバーが完璧に再現しているライブ版も素晴らしいですが、MVのなんとも言えない80年代感も病みつきになります。


途中に出てくる「ポンポンポンポンうーわーうーわー」のところを真似してみたのですが、一人で一個ずつ音を重ねていくとタイミングがズレてきてめちゃくちゃ難しかったです。自宅録音の場合、楽器なら時間が許す限り弾き直して納得いくまでやればいいのですが、歌となると喉の調子がありますので無限に録り直すわけにもいきません。(今日録った声より昨日録った声の方が良かったということが往々にしてあるのです。)今のところ音を置きに行ってしまっている気もするので、もうちょっと歌い込んでドゥーワップっぽくなるようにこっそり差し替えたいと思います。

ドゥーワップといえばThe Tokensの『ライオンは寝ている』はもはや遺伝子レベルで刷り込まれてしまっているので、気がついたら「ウィンマウェッパ、ウィンマウェッパ」っていうコーラスに変わっているかもしれません。


というわけで、ようやく誕生した『天狗のひとり酒』ですが、まだまだ生まれたての子天狗(というのがいるのか分かりませんが)のようなものです。まだまだ遊び代がある曲だと思っておりますので、立派な天狗になれるよう成長にご期待ください。

昨年作ったマニアソングスCDはマルシェルでも絶賛発売中ですが、CD発売以降に作った曲(マニアソングスVol.2候補曲)もだんだんたまってきました。これもいずれCDにしてみたいと思っていますが、プレイリストにまとめて視聴できるようになっていますのでもしよかったら聴いていってください。



天狗のひとり酒
作詞作曲:むらたぬき

口笛を吹いて人里に降りてみたくなる
天狗にもそんな日もあるのさ
鼻歌まじりつむじ風でも起こしたら
化け狸と相撲でもとってみようかな

街の景色もずいぶん変わったけど
性懲りもない人間どもは相変わらずさ

天狗 天狗 天狗
鞍馬の山から目を凝らして
天狗 天狗 天狗
お前たちのことを見ているぞ


祇園の空に街の明かりがうつる頃
天狗にも酒が恋しくなるのさ
独り言がわりに雷でも落としたら
狸たちも驚いて振り向くかな

街の景色もずいぶん変わったけど
性懲りもない人間どもは相変わらずさ

天狗 天狗 天狗
鞍馬の山から目を凝らして
天狗 天狗 天狗
お前たちのことを見ているぞ
お前たちの行く末を見ているぞ

スキあらばコラボ

2020-05-08 18:08:10 | マニアソングス Vol.2
皆様ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか。全くもってあいにくのご時世でございますので、私は日課にしているサーフィンをすることも出来ず、もっぱらネットサーフィンをして過ごしました。(「狸がサーフィンしたっていいじゃない!」がキャッチフレーズのオリジナルサーフブランドTANUSURFについては改めて書きたいと思っています。Tシャツをマルシェルに出品しましたのでよろしければ記事の最後をご覧ください。)

トラックは僕らの交換日記で書いた通り、蕎麦がきマニアの石井さん、架空CMマニアのキシリ徹さんと作った曲を完成させたのもゴールデンウィーク中のことでしたが、他にもあと2曲ほどマニアの曲(マニアソングス)を作りましたのでご紹介させて頂きたいと思います。

「おにぎり食べたい」

散歩の達人集団サンポーのメンバーが、好きなことや気になることを書いているブログ「それもある意味散歩」で、kogeさんが数年に渡ってセブンイレブンのおにぎりシールを集め、定点観測して書かれた超絶マニアックな記事、セブンイレブンおにぎり今昔物語 〜ツナマヨネーズ〜を拝見していたところ、終わりのところにこんなことが書いてありました。

「作曲:あなた」ってことは、これコラボしていいんですよね!!ということで早速作りました。ゴールデンウィーク中ずっとオフコースを聴いていたこともあって全編コーラス曲となりました。セブンイレブンいい気分のところはこのメロディー以外に思いつかないですよね。


「キミはビカクシダ」

お次はビカクシダマニアの月刊ビカクシダ田中さんです。田中さんは連休前にブログの中でこのような呼びかけをされていました。


今度は一応、事前に承諾を取りました。



曲を作るときにはだいたい「どんな感じの曲がお好きですか?」というのを聞いてから作り始めるようにしていますが(「おにぎり食べたい」は聞く前に作ってしまいましたが)、今回はあまり知らないジャンルだったので焦りました。必死で絞り出しましたがオルタナ=ニルバーナのイメージしか思いつかなかったのでニルバーナを聴き込んでから取り掛かりました。

歌詞はほとんど「マニアラジオ」でのインタビューの内容そのままです。

このインタビューめちゃくちゃ面白いので何回も聞いてしまいます。でも、根っこになりたい、とは言ってませんでしたね。ちょっと言い過ぎでした。ギターソロの裏でブツブツ言っているのは田中さんがゴールデンウィーク中にマルシェルに出品されたビカクシダの品種です。


これからも隙あれば色々なマニアの方とコラボさせて頂いてマニアソングスを完成させていきたいと思います(ご迷惑でなければ)。もしこんな私に曲を作らせてもいいよという方がいらっしゃいましたら是非お声がけください!

キミはビカクシダ
作詞、作曲:むらたぬき

貯水葉 顔を隠す
胞子葉 埋もれる

君の姿は犬のよう
懐いてくれたらね

想像力 オリジナリティ
見せてくれ 適応能力

吊るしてよし植えてよし
かけてよし風を感じて

考える葦になる
君はビカクシダ
葉をはやせ根をはやせ
考える葦になる
僕はビカクシダ
カラカラに干からびて
水を待つ

ヒリー
リドレイ
ビフルカツム
ベイチー
ネザーランド

根っこの
気持ち教えて
根っこになりたい

サウナ サウナ
ビカクシダと一体化
サウナで体を空にする

考える葦になる
君はビカクシダ
葉をはやせ根をはやせ
考える葦になる
僕はビカクシダ
カラカラに干からびて
水を待つ


トラックは僕らの交換日記

2020-05-04 10:10:31 | マニアソングス Vol.2
世界的な片手袋研究家であり蕎麦がき研究家でもある石井公二さんと曲を作りました。

昔から暇を持て余す人生ですが、今の暇はどこか違う。でもいつかそんな暇な時もあったねと言い合えるようになりますように。石井さんがツイッターに呟いた「超ひま理論」というダジャレを題名にして、石井さんの頭の中にあったメロディーと曲展開を一緒に形にしました。スタートしたのは4月5日、Zoom飲み会とか配信のやり方を模索していた時期でした。(ずっと家に居るせいか、まだほんの1ヶ月前なのに既に遠い過去のように思えますね。)



石井さんと言えばマニア界きっての音楽好きとして知られていますが、そうそう一緒に演奏する機会はありませんでした。(注 昨年末、石井さんのトークイベントのフィナーレで1曲だけご一緒させて頂いたのが唯一の機会でした。トークイベントなのに最後が大合唱で終わるというピースフルなイベントでした。)その石井さんと曲が作れるというチャンスとあってすかさずギターを持ってZoom打ち合わせをはじめました。

石井さんが画面の前で歌った鼻歌を元にGarageBandでトラックを作り、共有します。何回か前の記事で書いたGarageBand最大の強みはこの手軽さです。同じプロジェクトをクラウド上で共有してお互いに編集出来るのです。「ギターを入れてみましたけどどうですか?」「仮歌を入れてみたので聴いてください」とかトラックを介して交換日記のようなやりとりが始まりました。憧れの交換日記をこんなおじさんになってから(しかもおじさん同士で)経験できるとは思いもよりませんでしたが、徐々に重なっていくトラックは感慨深いものでした。次々と出てくる石井さんのアイデアを形にする為、最終的にiOS版GarageBand上限のトラック数を使い切りました。

マニアフェスタで大人気、マニアブログフェスタでも異彩を放つキシリ徹さんにも勇気を出してお誘いして、初共演が叶いました。2番をバッチリ歌ってくれてますが、小ネタもしっかり忘れないのがキシリ徹さんらしいですね。

そんなこんなで完成したこの曲ですが、小ネタというかオマージュが満載の1曲となっております。皆さんはいくつ発見できたでしょうか。是非お聴き頂けたらと思います。(注 最も難易度の高いと思われるサビの最後に入っているセリフはこれのオマージュ(?)です。生まれ育った町を歩いてきた〜クボタのオヤジ事件〜

個人的には交換日記がめちゃくちゃ楽しかったので、この暇すぎる毎日も無駄ではなかったと思える気がします。石井さんどうもありがとうございました。もし頭の中にあるメロディーを形にしたいという方がいらっしゃいましたらお手伝いしますのでお声がけください!


作詞作曲:石井公二、むらたぬき