歌う狸ブログ

街角狸マニアがあらゆるマニアについて歌う「マニアソングス」誕生秘話

マニアソングス Vol.2完結編『たぬきケーキを食べましょう』

2020-09-19 22:04:22 | マニアソングス Vol.2
皆様お待たせしました!ついにマニアソングス Vol.2 CD発売開始となりました!!!
(一番下のバナーから購入ページをご覧頂けますので是非最後までお付き合いください。)

そしてマニアソングス Vol.2全曲解説も長いこと書いてきましたが、今回で完結編となります。

トリを飾るのはたぬきケーキめぐりのテーマ曲『たぬきケーキを食べましょう』です。たぬきケーキはその名の通りたぬきの形をしたケーキで、見かけた事があるような無いような距離感ですが、たぬきケーキマニア松本さんのお陰で身近に感じられるようになりました。そんな松本さん監修のたぬきケーキカプセルトイが10月に発売されるそうで、待ち遠しいです!


たぬきケーキは作っているケーキ屋さんも限られているので、実は私も食べたことはないのですが、松本さんの調査結果(たぬきケーキのあるとこめぐり / 全国たぬきケーキ生息マップ)を見ていると可愛いやら美味しそうやらでよだれが出てきてしまいます。

ということでたぬきケーキの可愛さと美味しさを伝えるテーマ曲を作ろうと考え始めたのですが、なかなかとっかかり(ダジャレ)が思いつかないで困っていました。そこへ架空CMソングマニア「キシリ徹」のやなせさんからこんなアイデアをもらいました。



やなせさんの発想力流石です!50曲以上も存在しない企業のCM曲を作っているだけのことはありますね!クレイジーキャッツもインディージョーンズも心惹かれるものがありましたが、急に出てきたTKにすっかり心を奪われてしまいました。何を隠そう私が音楽を聴き始めた小学生時代に我が家のラジカセで常に流れていたのがTM NETWORKなのでした。これを機に聴き直してみましたが、やはりTM NETWORKは良いですね!テクノロック調のサウンド、ボーカルUTSUのちょっとうわずった声、突然挿入される英語歌詞。日本人がバブルの彼方に置いてきてしまった情緒を感じさせます。特にふいに出てくるルー大柴的英語(「ひと夜にいくつ奇跡が起きる Tonight?」「Together Together 二人の小舟」)は今聴くとめちゃくちゃ新鮮です。100年前の日本人がジャズの英語詞をどうやって分かりやすく日本語に置き換えるか苦心してジャズソングというジャンルを作り出したことを思うと、小室さんのこの言葉遊びの感覚は日本の文化的発展を感じさせてくれます。

というわけで一通りTM NETWORKをおさらいしてTKサウンド風の作曲に挑戦してみたのですが、半日ほどで挫折しました。やはり誰でもがTKになれる訳ではありません!


結局TKは一旦置いておいて、基本に戻ってシンプルなメロディーラインで作ることにしました。シンプル過ぎてどこかで聴いたことあるメロディーだなと思ったらボイストレーニングで使うドミソミドの音階でした。(ボイストレーニングではこれが半音ずつ上がって行って最後は声が出なくなって終わります。今思いましたがこの曲も転調して半音ずつ上がって行っても面白かったかもしれません。)曲調は全然変わりましたが間奏部分ではTM NETWORKの名曲『金曜日のライオン』のコード進行を参考にしています。ここだけ急にマイナー進行になるのですが、これは高度経済成長と共に生息数を伸ばしてきたたぬきケーキが直面した厳しい絶滅の歴史を振り返っています。最終的に『日本全国酒飲み音頭』よろしく一年中たぬきケーキが食べ頃というヤミツキソングが出来ました。お楽しみ頂けたら幸いです!(下のリンクの三角ボタンを押すと再生されます。)


長らくアルバム収録曲解説をやってきましたが最後までお付き合い頂きましてありがとうございました!前回のアルバムに引き続き、今回も収録させて頂いたマニアの方の活動がなければ決して生まれていないものでした。しかも今回は一緒に曲を作ったり、このマニアブログフェスタを通じたコラボレーションも出来て感慨もひとしおです。最後にまとめとして収録曲リストにそれぞれの記事のリンクを貼っておきたいと思います。それぞれの記事から曲の試聴も出来ますので是非ご覧ください。それでは皆様本当にありがとうございました!次はCDでお会いしましょう!

マニアソングス Vol.2
  1. マニアコンビニ入店音 (作曲:むらたぬき)
  2. この空の麓に (作詞作曲:地理人/今和泉隆行)
  3. 超ひま理論~チョビっと泣いていい?~ (作詞作曲:石井公二、むらたぬき)
  4. おにぎり食べたい (作詞:高下龍司、作曲:むらたぬき)
  5. キミはビカクシダ (作詞作曲:むらたぬき)
  6. 天狗のひとり酒 (作詞作曲:むらたぬき)
  7. DENSEN RAISAN (作詞作曲:むらたぬき)
  8. 空想都市のミステリートレイン  (作詞作曲:石井公二、むらたぬき)
  9. Top of the Water Tower (作詞作曲:むらたぬき)
  10. 小屋につきたい (作詞作曲:むらたぬき)
  11. たぬきケーキを食べましょう (作詞作曲:むらたぬき)


たぬきケーキを食べましょう
作詞作曲:むらたぬき

たぬきケーキを食べましょう
たぬきケーキは人気者
たぬき たぬき たぬき たぬき
たぬきケーキは美味しいよ

春になったら食べに行こう
笑った顔が可愛いね
バタークリームがあるうちに
早く行かないと

夏になったら食べに行こう
お目々がパッチリ可愛いね
チョコがとろけてしまうから
早く行かないと

秋になったら食べに行こう
お顔はどれも個性的
並んで待っているから
早く行かないと

冬になったら食べに行こう
頭に何が乗ってるかな
チョコがひんやりしてるから
早く行かないと

言葉にできないマニアソング『小屋につきたい』

2020-09-13 16:27:35 | マニアソングス Vol.2
マニアソングスVol.2全曲紹介もいよいよあと2曲となりました。そして、そうこうしているうちにCDのプレスが完了して本日無事に到着しました!あとは歌詞カードを挟み込んでいよいよ発売です!



マニアソングスはマニアの方の世界観を想像して勝手に歌にするというスタイルなので、全然マト外れなことを歌っていたらどうしようとか、怒られたらどうしようといつも思っています。そんな中、小屋マニアの遠藤さんは毎回私の投稿にいいねを付けてくれるので、いつか歌にしたいと思っていました。

前回のTop of the water towerも完全なダジャレ(カーペンターズのTop of the worldと語感が似ている)先行型でしたが、今回も小屋、小屋、小屋…と10回ぐらい呟いていたら尊敬する小田和正さんの名曲のタイトルが浮かんできたのでした。ということで早速お聴き頂けたら幸いです。(下のリンクの三角ボタンを押すと曲が再生されます。)


マニアのデータ管理術

小屋マニアの遠藤さんは日本全国の小屋を巡って写真を撮っている生粋のマニアです。(マニアブログフェスタでも遠藤さんの小屋愛が余すことなく綴られています。)小屋はどれも用途に合わせた一点物ですし、全国どころか全世界に無数にありますからマニア対象として底知れないポテンシャルを秘めています。遠藤さんの写真はそんな小屋の味のある佇まいを写しているだけでなく、小屋の存在や構造を記録するものでもあります。一度遠藤さんの撮影された写真フォルダを見せてもらったことがあるのですが、撮影場所ごとにきっちりとフォルダ分けされ、しかも完璧にマップ上に紐づけられていました。世の中には色々なタイプのマニアの方がいらっしゃると思いますが、対象物を写真で記録することは多いと思います。私はいつも昔撮った写真がどこに行ってしまったのかパソコン中を探し回っていますので、遠藤さんのデータ管理術を少しは見習わないといけません。

そんな遠藤さんですから、一度行った小屋に辿り着けないなんてことはないかもしれないなと思いましたが、以前は確かにあったのに次に通りかかったら跡形もなく消えていたというのはマニアあるあるとして通じるかなと思いました。(私が追いかけている「街角狸」は本当に生きてるのかと思うほど、しょっちゅういなくなったり、居場所が変わったりします。)そして再び出会うことが出来たときの感動は言葉にできない程なのです。

『言葉にできない』の分析

尊敬して止まない小田和正さんの『言葉にできない』をいつか歌ってみたいというのは自分の夢でした。この曲がいかに素晴らしいかここに書き連ねてみたのですが、今更私が書くまでもなくこの曲の素晴らしさは皆さんご存知だと思ったので、消しました。改めてこの曲のオリジナル版(オフコースのアルバム「over」に収録)を細かく聴いてみて意外だったのは、曲の頭から最後までリズムはひたすらドラムのバスドラがシングルで鳴っているだけという点でした。普通バラードの曲を作ると前半はリズムを押さえがちにして、後半からドラムのフィルを入れて盛り上げる、みたいな展開にしてしまいがちですが、この曲のドラムは一貫して一定です。(後年のソロカバーではピアノ弾き語りからスタートして中間部分からドラムとバンドが一気に入ってくるアレンジになっていて、オリジナルを聴いたあとだとこちらの方がありきたりに聴こえてしまいます。)オリジナルアレンジは中間部分がピアノ弾き語りになっていて、そこから後半にかけてストリングスの厚みが増していきますが、最初から最後まで唯一無二の小田さんのハイトーンボイスがこの曲の1番の魅力なのは言うまでもありません。今回は自分に挑戦する意味も込めて小田さんと同じキーで歌ってみましたが、サビの音程がすでに高いのに最後にまたもう一段上がるので恐ろしい歌でした。長年この最後のところを歌ってみたかったのですが、前半部分から音が高いですし、ジャンプするような音程のところも多くて、最後にたどり着く頃には息も絶え絶えになっていました。結局私は超ギリギリ辿り着いた感じの歌になっていますが、小田さんはまだまだ余裕がありそうに歌っているので本当に恐ろしい人です。小田さんの足元にも及びませんでしたが、逆にようやく小屋に辿り着けて泣きそうになっている感じが表現できたかも知れません。


小屋につきたい
作詞作曲:むらたぬき

終わるはずのない道が途絶えた
化かされているように
違うきっと違うナビが叫んでる

一人ではみつけられなくて
また道を訪ねてる
誰も知らなくて小屋につけない
la la la… 小屋につきたい

切なく地図を見ては
言い訳を飲み込んで
果たせぬ再訪問 小屋につけない

誰のせいでもない
自分の記憶違いなら
それが悔しくて小屋につきたい
la la la… 小屋につきたい

小屋につけて 本当によかった
嬉しくて 嬉しくて 小屋で泣きたい
la la la… 小屋で泣きたい



台風とマニアコンビニ入店音

2020-09-06 18:07:13 | マニアソングス Vol.2
完成間近!「マニアソングス Vol.2」

様々なマニアの世界観を勝手に歌ったマニアソングスについて、このブログで書いてきましたが、ついに2枚目のアルバム「マニアソングス Vol.2」収録曲全11曲が完成しました!あとはCDプレスが終わるのを待つのみです。アルバムの顔とも言うべきジャケットデザイン画も出来ましたので初公開します!

前回の「マニアソングス」に引き続き、今回も路上園芸学会さんに絵を描いてもらいました。収録されているマニア要素を1枚にまとめ切った見事なデザインになっております。CDを聴きながらどの絵がどの曲なのか確認するのがこのシリーズのオススメの楽しみ方です。完成・発売まであと少し、ぜひ楽しみにお待ちください!

台風の日に生まれた『マニアコンビニ入店音』

マニアソングスシリーズの曲順は単純に出来た順に並べることにしているのですが、今回のマニアソングス Vol.2の1曲目は『マニアコンビニ入店音』となりました。いきなり歌詞のないインスト曲なのですが、これから始まるマニア世界への導入としてはこれ以上ない選曲でした。マニアコンビニというのはマニアフェスタを主催している合同会社別視点の事務所1階にあるスペースで、様々なマニアのグッズが手に入るコンビニです。マニアソングス自体、マニアフェスタがなければ思いつくこともなかった企画ですし、世の中にこれほどのマニアが居ると気がつくこともなかったと思うと、本当に別視点の皆様にはいくら感謝してもしきれませんが、そんな感謝の気持ちも多少込めつつ、コンビニといえばこれだろうというメロディーを入れて作りました。

この曲を作ったのは昨年の10月、猛烈な台風が向かってきている時でした。昼間から風雨がものすごく、近所の川も氾濫ギリギリでヒヤヒヤしている中、繰り返されるニュースを見ていると余計に怖くなってしまって、気を紛らわすためにひたすらこの曲のピアノを録り直した記憶があります。台風は毎年来るものですし、サーファーにとっては必ずしも悪いものではないのですが、「経験したことのない暴風」とかは勘弁してもらいたいですね。今年は台風による被害が出ないよう心から願っております。

下のリンクで三角ボタンを押すと試聴出来ます。


給水塔の歌"Top of the Water Tower"から見えたもの

2020-08-17 18:43:14 | マニアソングス Vol.2
みなさまお盆休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。私はひたすら曲を作っておりました。9月26日、27日に開催されるマニアフェスタオンラインに向けてCDアルバム「マニアソングス Vol.2」をリリースする為です。このブログで散々ご紹介している通り、マニアの世界観を表現したオリジナル曲「マニアソングス」を細々と作って来ましたが、結構新曲が増えてきたので10曲たまったらCDを作ろうと密かに思っていました。そうこうしているうちにマニアフェスタオンラインの日程が発表されたのです。(主に)マニアフェスタで知り合ったマニアの方のことを歌ったアルバムなのでリリースするタイミングはマニアフェスタをおいて他にありません。ということで、いきなり締め切りが約一ヶ月後になってしまい、急いで残りの曲作りを始めたという訳です。(もちろん自費製作ですので出来る限り製作費を抑える為、CDのプレスは発注から納品まで大体3週間ぐらいかかってしまい、この休み中に曲が出来ていないとほぼアウトという状況に追い込まれました。)

そんな突如訪れた極限状態で作った曲が"Top of the Water Tower"です。早速お聴き頂けたら幸いです。(下のリンクの三角ボタンを押すと曲が再生されます。)


はい。イントロの3音ぐらいでもうお分かりだと思いますが、カーペンターズの"Top of the World"が元ネタですね。日本給水党党首 UCさんこと給水塔マニアの小山さんが給水塔の頭頂部だけを投稿するマニアックなインスタグラムをやっていて、アカウント名が@top_of_water_towerなのですが、前々からどこかで聴いたことがある名前だなと思っていたのです。(青空をバックに整然と並ぶ給水塔頭頂部はめちゃくちゃ綺麗なのでこちらのリンクから是非ご覧ください。)小山さんは給水塔の中でも団地にある給水塔の写真を撮り集めていらっしゃるのですが、日本全国を回って蒐集された給水塔データをまとめた本「団地の給水塔大図鑑」を刊行されています。

 
600箇所を超える団地を訪れて撮影した給水塔を分類した超労作で、写真に添えられたデータやキャプションを見るだけでも楽しい一冊ですが、やはり給水塔の巨大建造物としての独特な存在感や、個々の形状の特徴、そして老朽化でいずれ解体され失われていくという運命、その記録として大変貴重な書籍だと思います。

今回オマージュ(というかほとんどカバー)したカーペンターズや数曲前にやったビーチボーイズは古典でありながら今でも耳にする名曲ですが、意外に音楽をやっている人でもあまりにもスタンダード曲過ぎて実際に演奏したことのある人は少ないかもしれません。その名曲のエッセンスを吸収して再現するというのは、ものすごく勉強になりますし単純にめちゃくちゃ楽しいです。そして作詞は毎回マニアの方の研究成果や、対象物に込められた悲哀を限られた文字数で置き換えていく作業となりますが、これはジャズソング的アプローチに近いものがあります。(ある意味替え歌ですし。)そんな濃厚な要素が凝縮されたマニアソングスを是非ニヤニヤしながらお楽しみ頂けたらと思います。休みの間中ずっと暑い部屋に閉じこもって一人でマニアソングを録っているのですから、いつか「あいつはマニアソングマニアだな」と言ってもらえるようになりたいものです。

(1枚目のアルバム「マニアソングス」はマルシェルで販売しております。歌詞の下のバナーからご覧ください。)


Top of the water tower
作詞作曲:むらたぬき

ボックスのシルエット
壁面には団地名
高さを利用して水を届けるよ
君の街にもあるはずさ

徳利のプロポーション
魅力的な造形美
くびれの場所はよくみりゃ個性的
お気に入りを探しに行こう

I’m on the top of the water tower
団地の中にそびえる謎の塔
いつか役目を終えるその日まで
どうか見下ろして給水塔

円盤のスタイリング
美しい塗装色
ペンキの中に滲んだ錆は
刻まれた歴史の証

むき出しのそのフォルム
よく見える貯水タンク
無骨な見た目の大胆さ
細部に宿るこだわりよ

空想都市間を鉄道は走るのか?新曲『空想都市のミステリートレイン 』完成しました

2020-08-10 21:35:17 | マニアソングス Vol.2
世界的な片手袋研究家であり蕎麦がき理論家でもある石井公二さんとの曲作り第二段『空想都市のミステリートレイン 』が完成しました。ベースは安定の路上園芸学会さん、そしてスペシャルゲストとして電気風呂マニアのけんちんさんにトランペットを吹いてもらいました。それでは早速お聴きください。(リンクの三角ボタンを押すと曲が再生されます。)


前回の曲『超ひま理論』は緊急事態宣言下で作っていて、ぽっかりと時間に歪みが生じたかのような今まで経験したことのない日常を歌った歌でした。(詳しくはこちらの記事をご参照ください。)あれから3ヶ月しか経っていないのに、今聴くとものすごく懐かしい感情が湧き上がってきます。こういうのをエモいと言うのでしょうか。とにかくあの時期にしか作れなかった空気感をパッキング出来た曲だったのです。

あの引きこもり期間から少し時間が経ち、久しぶりに街に出かけたとき、街の中にあるあまりの情報量に驚きました。私たちのような街歩き系(フィールドワークがメインの)マニアが初めて対象物に出会った時に感じた新鮮な驚きを歌詞に込めたいというのが今回の曲のテーマでした。歌詞に出てくる中村(なごむる)と多奈崎というのは空想地図マニアが作っている架空の都市名ですが、気軽にGO TOしていいのかダメなのかよくわからない状態になっている現実世界に対するアンチテーゼとして、図らずも今の空気感を表現できたかもしれません。

石井さんから第二段の素案トラックが送られてきたのは前回の曲が完成して2週間も経たない頃でした。もはや「トラックは僕らの交換日記」になっていますので、曲を作るにあたってはまずトラックを共有するところから始まるのです。緊急事態宣言は解除されたとはいえ、まだまだ集まってレコーディングすることは難しいので、今回もGarageBandというアプリでトラックを共有してリモートで作曲するスタイルで進めていきました。

歌詞は石井さんの好きなエルヴィス・プレスリーの「ミステリートレイン」から着想を得て書き始めました。空想都市の地名を入れたら面白そうというのは石井さんのアイデアだったと思います。歌詞は大体私が1番とブリッジぐらいを歯抜けの状態で送って、石井さんが穴埋めして完成するのですが、毎回ちゃんとオチがつくというか、話として完結させてくれるのがすごいです。一人で曲を作るときは3番を考えるのが一番難しくて挫折を繰り返していますが、パートナーがいるというのは素晴らしいことですね。(「いい線いってる夜」考案の線柳が合間に入っているのもツボに入りました。)曲を通じてベタにハモリコーラスをしていますが、石井さんが空想世界の登場人物、私が現実世界の人間という設定になっています。

曲調はやはりエルヴィスのミステリートレインを参考にしつつ(石井さんの最初のイメージはもう少しファンクっぽい感じだったみたいですが)、私はブリッジ部分のコード進行を考えているうちにどうしてもAllman Brothers Bandが憑依してしまい、前々からやってみたかったサザンロック特有のギターハモリを再現してみました。アウトロはトランペットのけんちんさんも含めてビートルズのThe Endばりにソロバトルをしています。

会いたい人に自由に会うこともままならない昨今ですが、空想都市やトラックの中でなら密に交流できることが今回も証明されました。この交換日記スタイルには無限の可能性を感じます。

そういえばこのユニットには今までバンド名がなかったのですが、「ザ・ゴールデングローブ&ベラ」に決まりました。ゴールデンは狸の金○、グローブは当然片手袋、そして路上園芸の代表植物アロエのアロエベラからとって繋げたんですね。(ベラには「真実」という意味があるそうですよ!)という訳でザ・ゴールデングローブ&ベラの次回作も是非お楽しみに!