上司の勧めで読んだ。この手の自己啓発本は読んで時間の無駄だったという場合が少なくないから、自ら進んではあまり読まない。
しかし私の職場では、その上司、他に例を見ない哲学科出身。カントを研究したというから、俄然、私には興味深い人なのである。だから『お勧めの本は?』という問いに本書が挙げられて、ちょっと意外な気がした。
とはいえ、こうも言える。カントをやろうというくらいの人が愛読した本なら、ただの自己啓発本ではないはずだ、と。私はさっそく本書をアマゾンで注文した。サイト上の書評を見て、世紀を跨ぐ超ロングセラーと知った。哲学士をうならせるだけのものがあるに違いないと思った。
以下、気になった部分を抜粋(アンダーラインを引いて付箋紙を貼っているのだが、読み返すと極めて当然のことばかりだ。つまり当然のことができていないということだろう)。
【「学ぶこと」のもう一つの目的は、判断力を養うことである。それは頭脳がものごとを探究できるようにするためばかりでなく、単なる意見に過ぎないものと裏づけのある学説を比較検討できるようにするためである。】
【自分自身を知ることもまた、一つの重要な勉学である。
自分にはいったい何ができないのかを心得ていることは、できることを心得ていることと同様、きわめて大切なことである。】
【前もって計画を立てておくことで、そうしない場合よりも、一日に驚くほど多くのことが成し遂げられるのである。】
【「何かを学びとってやろう」という意気込みですべての人に接する】
【あわてて結論を出してはならない。一般にわれわれは判断力の欠如よりも、むしろ性急であるがために道を誤るものだ。】
【全面禁酒の方針が広まってはならない理由を順番に並べ始めた。(中略)この確信をもっと完全なものにするために、今度は別の用紙に、これとは反対の立場の理由を並べ始めた。(中略)公正に慎重に判断する習慣が身につくやり方である。】
【しばしば友人に、それも定期的に便りを出しなさい。決まった日に定期的に友人に便りを出すことは、あらゆる点で双方にとって貴重で、かつ興味深く有益で、また愉快なものである。(中略)両親には少なくとも毎月一回は便りを出しなさい。】
【ためしに読んでみた結果、もしその著者はおもしろ味がなく、衒学的で浅薄だと感じたら、何もそれ以上読む価値はない。】
【読書をするときは必ずそばにペンとメモを用意しておくことである。】
【時間に強欲になることは美徳である】
【怠惰に抵抗し、打ち勝つには、勉学を楽しみとするよりは、むしろ義務づけてしまうしかない。】
【仲間の人格を学ぶこと。自分よりすぐれていれば質問をして、自分より劣っていれば彼らの力になってやること。
新しく重要なことやためになることを聞いたら、すぐメモ帳に書き留めておくこと。
自分はその道の専門家であるかのごとく、あるいは自分だけが人よりすぐれた才能をそなえているかのごとくふるまって、仲間の注目をあびようとしないこと。
馬鹿馬鹿しく思える話にも辛抱すること。】
たまに読み返して、当然すべきことができているかどうか、反省する機会にしたいと思う。
著者は非常に真面目な人で、新聞雑誌の軽い読み物は若い人の頭をダメにすると危惧している。テレビやテレビゲームのなかった時代だ。いまの世を見たら、どれだけこの著者は嘆くのだろうか。
時間に強欲になれという。そのつもりではいたが、まだまだ私は不徹底だと感じた。勉強を義務づけたい。過ぎて悔いても、人生にリセットボタンはないのだ。楽しい人生のためにも、自分を鍛えたいという思いを新たにした。
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