よい子の読書感想文 

読書感想文794

『自分を鍛える!』(ジョン・トッド 渡部昇一訳 三笠書房)

 8年ぶりの再読となる。尊敬する上司が薦めていたので手にした本だ。時間の経過が早くて驚いている。
 前回の感想を紐解くと、印象深かった部分を抜き書きして列挙していた。
 それが、いまでも有用なのか(つまり私自身、改善できておらず、克服しきれていないのか)を知るためにも、良い振り返りだと考え、再度以下に引用する。

「学ぶこと」のもう一つの目的は、判断力を養うことである。それは頭脳がものごとを探究できるようにするためばかりでなく、単なる意見に過ぎないものと裏づけのある学説を比較検討できるようにするためである。
 職業柄もあるが、この判断力を鍛えるように着意はしてきた。自分のバイアスに引きずられがちであることは認めねばならないが。
自分自身を知ることもまた、一つの重要な勉学である。自分にはいったい何ができないのかを心得ていることは、できることを心得ていることと同様、きわめて大切なことである。
 このことについては、為末大氏『諦める力』で感じ入るところ強く、意識的に探究した部分だった。今後も、気を付けていきたい視座である。
前もって計画を立てておくことで、そうしない場合よりも、一日に驚くほど多くのことが成し遂げられるのである。
 優先順位をつけて、効率よく物事をすすめるのが、とても下手だということに近年気づき、やるべきことのリストを毎日作って、それをきちっと成し遂げるよう心掛けるようになった。そのことで、時間に余裕を得られるようにもなった。すると、終えた仕事に時間を再配分して、内容を深化させられることも、場合によってはできるようになった。
 しかし、プライベートではそこまで上手く物事が進んでいない。気づくと、大して事が運ばないまま日曜の夜を迎えている。遊びも計画的に、遊び尽くせる大人になりたい。
「何かを学びとってやろう」という意気込みですべての人に接する
 これは、ある程度、自分自身の痛い経験から学んで、できるようになってきた。悪い表現かもしれないが、すべて教材と思えば、許せない相手でさえ、客観的に見ることができることもある。
あわてて結論を出してはならない。一般にわれわれは判断力の欠如よりも、むしろ性急であるがために道を誤るものだ。
 反省すべきはこの指摘だ。私は急いで白黒つけたがる傾向があって、これが加齢に伴っても大して落ち着かない。中長期的な視点も持って、肉を切らせて骨を断つくらいの賢さを得たいものだ。
しばしば友人に、それも定期的に便りを出しなさい。決まった日に定期的に友人に便りを出すことは、あらゆる点で双方にとって貴重で、かつ興味深く有益で、また愉快なものである。(中略)両親には少なくとも毎月一回は便りを出しなさい。
 このアドバイスに関しては、反してきてしまった。かつて筆まめだった私だが、いまは年賀状以外だと、ほとんど書かなくなってしまった。メールの功罪もあるが、メールのために失ったものは小さくない。年賀状以外の手紙を、また書くようにしたい。
ためしに読んでみた結果、もしその著者はおもしろ味がなく、衒学的で浅薄だと感じたら、何もそれ以上読む価値はない。
 これも反省しないといけない。読書できる時間はおのずと限られている。精選しなければならない。駄文は捨てて、良いものを選び直す勇気が必要だ。とわかっていながら、駄文と気づきながらも、途中まで読んだものを、つい惰性で読み続けてしまう。もったいない、というせこい心情だが、それこそ時間がもったいないのだと思い切らないといけない。
読書をするときは必ずそばにペンとメモを用意しておくことである。
 これは以前より退化している部分と認めねば。気になった部分も、メモしたり付箋を貼るなりしないと忘れてしまうのだ。
怠惰に抵抗し、打ち勝つには、勉学を楽しみとするよりは、むしろ義務づけてしまうしかない。
 残念ながら、この8年間、勉学を義務づけて何かを成し遂げることはしなかった。けれど、同じことをトレーニングで実践できた。こつこつ毎日のルーティンをこなしていった結果、常人には追従できない高みまでいけることが証明できた。
自分はその道の専門家であるかのごとく、あるいは自分だけが人よりすぐれた才能をそなえているかのごとくふるまって、仲間の注目をあびようとしないこと。馬鹿馬鹿しく思える話にも辛抱すること
 まったく私はこのことについては成長なしだ。注目を浴びようとまでは思わぬにせよ、専門分野では、つい得意がってしまう。そして、知ってることや今さらな話には辛抱できず、態度に表してしまいがちだ。これは失礼なことだし、こういう傲慢さは学びのチャンスを自ら逃すことにもつながりかねない。
 と、半分以上は、反省を促される読書となったわけである。
 アメリカの古い自己啓発本だから、保守的で、頑迷で、どうにも納得しかねる部分もあったが、それを差し引いても、まだ学び甲斐のある本だと思った。
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