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オリンピック自転車競技のスピード推移
スポーツ
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2020年09月30日
夏季オリンピックにおいて第1回(1896年)のアテネから途切れることなく実施されているのは、陸上、競泳、体操、フェンシング、自転車である。
自転車はこの
ブログ
で取り上げたとおり、当初の自転車は前輪が大きい不安定な乗り物であり、現在の自転車の「ローバー安全型自転車 (Rover Safety Bicycle)」が発売されたのは1885年のことだ。その後わずか10年ほどでオリンピックの競技になったことになる。
実際は安全型自転車が登場する前の1868年5月31日にパリ郊外のサンクルーで行われた1200mのレースが最初の自転車競技とされている。記録は定かでないが優勝者はイギリス人のジェームス・ムーア (James Moore) で以下のような木製のフレームに鉄製のタイヤの自転車であった。
さらに1869年11月7日にはパリ〜ルーアン間でロードレースが行われ、これもJames Mooreが優勝した。距離は123km、タイムは10時間45分であったので、平均時速11.4km/hとなる。ママチャリで街中を走るぐらいのスピードだが、自転車の性能を考えるとかなり早いし、乗り心地は最悪だったと思う。
前述の安全型自転車が1885年、空気入り自転車用タイヤが1888年に登場すると、その後も続々と開発が進み現在の自転車の原型がほぼ完成し、自転車の利用者、そして自転車競技の人口が劇的に増えた。1892年には現在も行われているベルギーの「リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ」が開始されている。この流れでオリンピックにも採用されたようだ。
では初期のオリンピックの自転車競技の成績をもとに、自転車の性能の推移を考察してみたい。しかし陸上や水泳と違ってオリンピックの自転車競技は大会ごとに種目が頻繁に変更され同一種目での比較ができない。そこでオリンピックの歴代記録をもとに時速を求めてみよう。
Olympic Cycling Track - Sprint individual men
https://www.olympic.org/cycling-track/sprint-indivual-men
1896年のアテネオリンピックには5ヵ国から19選手が集まった。この中でポール・マッソン (Paul Masson) が4種目、レオン・フラマン (Léon Flameng) が1種目で金メダルを獲得した。2人の写真は以下のとおり (左がLéon、右がPaul) だが、2人の自転車を見ると確かに現在の自転車の原型といえるだろう。
この頃に風をどう読むかや位置取りをめぐる駆引きがどの程度あったかはわからず、速度からだけでは判断できないが、長距離系で30km/h以上のスピードを出せたようだ。
この大会では「12時間レース」があり、7選手が参加したが完走できたのは2選手のみだった。金メダルのアドルフ・シュマール (Felix Adolf Schmal) と銀メダルのフレドリック・キーピング (Frederick Keeping) はトラックを約900周して1周差で勝敗がついたようだ。これはあまりにも過酷すぎる。当然のように「12時間レース」は廃止となった。
1900年のパリオリンピックには7ヵ国から72選手が集まり、スプリントと25kmとポイントレースが行われた。この25kmのタイムと速度は当時としては早すぎるのはないかと思われる。レースの写真は以下のとおりだ。
1900年のセントルイスオリンピックにはアメリカの18選手だけが参加した。そのためか速度的にそれほど特筆すべきものはない。1/4マイル、1/3マイル、1/2マイル、1マイルというように短距離の種目が細かく分かれたが、全てマーカス・ハーリー (Marcus Latimer Hurley) が優勝し、メダリストの顔ぶれも同じとなった。
少し後のものになるが、1912年ストックホルムオリンピックのロードレースの映像があった。初期の自転車レースのイメージがわかるだろう。
その後は競技が不成立となったりトラックレースが行われなかったりしたが、1920年以降は男子個人スプリントが種目として継続しており、推移がわかる。タイムはラスト200mのもので、優勝タイム(決勝戦タイム)なので、当然だがレースの駆け引きもありその大会のベストタイムとは限らない。
このようにかつては50km/h台だったものが、21世紀になって70km/h台へと進化している。現在スプリントの世界記録は79.1km/hで、近い将来80km/hを超えるだろう。
一方で安全型自転車と空気入り自転車用タイヤが開発されてわずか10年程度の1896年のアテネオリンピックの時点で、既に充分な性能を持った自転車でレースが行われていたことが確認できた。人間のパワーとスピードの向上、自転車の技術の革新は流れの中で起きており、まだまだ進化が続くだろう。
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