突然の強行採決に強く抗議します
2017年4月13日
社会福祉施設経営者同友会
会長 茨木範宏
昨日、衆議院厚生労働委員会で、安倍内閣が出した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が、わずか20時間の審議で、突然に自民・公明・維新により強行採決されました。その理由は、民進党からの森友問題についての首相への質問にたいし、自民党が「信頼が壊された」として急に質疑を打ち切り、採決を強行したもので前代未聞の暴挙です。
この法案は、介護保険制度で一定所得のある人への自己負担割合を3割に引き上げるなど、今でも保険料あって介護なしといわれる制度の窓口を、負担増や給付抑制でさらにしめ出すのではないかと問題が指摘されている制度改悪です。
しかも、介護保険法だけではなく、社会福祉法や障害者総合支援法をはじめ、30本あまりの法改正をふくむ、これからのこの国の社会保障・社会福祉にかかわり徹底した審議が求められる、たいへん重要な法案です。それが森友問題などにフタをする一方で、一括して強行するなど、それこそ信じられない採決であり、まず、私たちはこの民主主義を無視した暴走に強く抗議するものです。
とくに法案では「地域包括ケアシステムの深化・推進」を柱に、「地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進」をあげ、市町村による地域住民と協働の地域福祉計画の策定と努力義務、高齢者と障害児者が同一事業所でサービスを受ける新たな共生型サービスの実施などがふくまれています。これは、いま政府がすすめる「我が事・丸ごと」地域共生社会の実現という政策の中心に位置し、社会福祉法の改正案では、社会福祉法人などの社会福祉事業を行う者と地域住民を「地域住民等」と一つにくくり、「福祉サービスを必要とする人たちが孤立しないよう、地域住民等が支援する」ことを求めています。ここには公的責任のかけらもなく、「互助」を社会保障の柱にするというとんでもない法案です。
安倍政権は、貧困と格差の進行や、医療・福祉の負担増、給付抑制による福祉サービスからの排除をすすめながら、そうして生み出される支援を必要とする人への対策を、「我が事・丸ごと」地域共生社会として、一億総活躍による活躍(自助・自立)を促し、すべての住民どうしのささえあい助け合い(互助)を促す、それがこの法案の本質で、公的責任のもと、誰もの人権と尊厳が守られる社会保障とは、まったく違う方向をむいているのは明らかです。
私たちは、この強行採決を許さず、あらゆる分野の方々との共同をすすめ、徹底した審議で廃案を求めるとともに、憲法にもとづく真の社会福祉事業のあり方を現場から発信し続けることを表明します。
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