「憲法に緊急事態条項は必要か」(永井幸寿著:岩波ブックレット)
改憲をめざす勢力によって取り上げてられている「緊急事態条項(国家緊急権)」について、日弁連災害復興支援委員会前委員長の著者が、そもそも,緊急事態条項とは何か・沿革は?・他国の憲法ではどうなっているか?本当に国民生活は守られるのか等、様々な疑問にも応える形で分かりやすく記したブックレットです。
現行憲法がどのように考えているかの章では、参議院に位置づけられた緊急集会や災害対策基本法の厳格な要件に下で定められた内閣に認められた一時的な立法権の規定があり、きちんと位置付けられている事実を知ることができました。推進派が東日本大震災などを引き合いに出すことについては、避難計画など法の適正な運用による事前の準備を怠ったことによるものであり、それが利用には当たらないとずばりと指摘されていました。テロに対する漠然とした不安に対しては、「災害と違い政策によって防げるもの」であり、憲法9条との関係での問題はあるが、「国民保護法」「事態対処法」という2つの法律によって対処できるとしています。
<国家緊急権は「人権を守るため」の制度でなく、「国家を守るため」に人権を制限する、場合によっては人権を犠牲にする制度>、問題点をきちんと理解しないといけないですね。昨年の戦争法強行可決、その前にある「集団的自衛権」行使容認の閣議決定をすすめてきた現政権や推進派が力をさらに力を持ってしまったらと考えると、ほんとうに恐ろしくなりました。今、声を上げなければなりません。
ぜひたくさんの人に読んでほしい一冊です。
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/4002709450
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