「スノーデン 日本への警告」 (エドワード・スノーデン著;集英社新書)
9・11以降、テロ防止の名目で広がった全世界の市民を対象にして広がった監視体制。アメリカの実態を告発したスノーデン氏が、今起きている深刻な事態(日本も的確に指摘)や権力を監視するための方向を明快に解説し、さらに監視社会の問題に詳しい日米の精鋭がシンャWウムで議論を多角的に深めるという2部構成となっている新書です。
スノーデン氏が告発した内容をよく知らなかったので、この本を通じてその一部を知ることができたと思います。プライバシーは個人の権利であるはずなのに、ネット検索履歴(グーグルで検索した言葉がそのまま残っている)やメール、位置情報にいたるまでの膨大な監視を当たり前としているという事実に大きな恐浮エじました。便利なシステムの背景には、別の力が働いているようです。テロへの恐浮站ル急事態への対応を煽りながら人権侵害の仕組みをつくる手法は、悲しいかな今の日本の政治状況と照らし合わせると容易にイメージできました。「テロより風呂場で滑って亡くなる確率の方が高い」との指摘が本文に出てきますが、厚労省発表の数字から導き出された(人口動態統計)事実であり、具体的な立証で非常にわかりやすく説得力がありました。
スノーデン氏が指摘するように、まさに民主主義・人間の尊厳に関わる問題であり、自分のこととしてみないといけないですね。うがった見方になるかもしれませんが、戦前の隣組制度復活に近づくかのような国のいう地域包括ケアシステム・共生社会実現という方向も無関係でないように感じました。
最後に、「きちんと関心をもって多くの人と話して事実を発信していく。〈参加〉が大事。過ちを浮ェらず行動すること」と日本人へのメッセージを投げかました。共謀罪が議論され、さらに憲法改正を政治日程に乗せようとする動きにある中、スノーデン氏の言葉をきちんと受けとめていきたいと思います。
第二部のシンャWウムもとても読み応えがあります。超おすすめの一冊です。
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/4087208761
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