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一度一度の機会を大切に。

第63回文化財防火デー消防訓練(名古屋市東区・建中寺)

2017-01-30 07:42:20 | 消防車両(名古屋市消防局)

先日、文化財防火デーに係わる消防訓練が実施されました。いくつかの候補があるなかで、「3軸のはしご車」が見たいという浮ついた理由で東区の訓練現場へと出向きました。

結果的に「3軸のはしご車」は参加しませんでしたが、東消防署は昔から車両を表面に待機させる習慣がありますし、車両自体がまだ新しいので今後、撮影する機会はいくらでもあることでしょう。それよりも思いがけない出来事がありましたので結果的に撮影に出向いてよかったと思います。また情報提供をしてくれたBさん、ありがとうございます。次回は春の火災予防運動に係わる消防訓練です。よろしくお願いします!

参加車両は東指揮車、広報車(指揮官車)、査察車、東タンク車、矢田タンク車の5台。参加人員が約310名とありましたが園児たちが見学を兼ねて参加していたのでその数字だったようです。ちなみに消防マニアは1名でした(笑)

園児たちのカラフルな帽子がお花畑のようにも思えました。
消防車(タンク車)がサイレンを鳴らし、境内に進入してくるとみんな興味津々。幼き頃の純粋な心でみた場面というのはいつまでも新鮮に残るものです。サイレンに怖がった子はいなかったかな?私だったら怖がっていたと思います(笑)

一斉放水が始まると園児たちからは歓喜の声が。それと陽のあたる場所は暖かかったけど、日影は寒くないのかな?と少し心配になりました。

東消防署長。
昔の記憶というものは突如、湧き出てくるもの。私と署長、お互い「あのとき、あの場所で会っていた人ではないかと」時々顔を見合わせ、その背格好や歩き方から20年前の記憶といまを一致させようとしている。

挨拶もろくにせず、お互いの第一声「あれ?」から始り、しばしお話させていただいた。ダンディな声質も当時のまま。一方で私への印象は「顔は丸くなったが、笑顔が当時と変わらない」と言われ、嬉しくなりました。講評時に署長の素敵な姿を撮影させていただきました。この趣味を続けていてよかったと思える特別な日でした。

市原隼人似の笑顔がとっても素敵な消防士さん。その素敵な笑顔ゆえ、画像処理をためらいました。様々な意見があれど、こんなに素敵な笑顔の消防士さんがいたんだよっていう気持ちをわたしは共感してほしいだけなんです。

園児たちの消防車見学が続きます。放水体形時と車両の配置が異なるのは水溜りを避けているから。かわいい園児たちへの心遣いです。

こちらもかわいいので撮ってしまったよ。興味を趣味へと変化させるのは個人の意思だけにあらず。周囲の人間の理解があって成り立つものかもしれない。消防車の見学があると行事予定等で知った親御さんが用意した日よけのハンドタオル。子供の興味を理解してくれるやさしい親御さんなんでしょうね。

意外な結果を得ることのできた「第63回文化財防火デー」でした。
消防という趣味、そして写真という趣味が融合した気持ちの良い一日となりました。これなら「3軸のはしご車」が撮れなくても満足するってもんよ。 


明日は文化財防火デーの消防訓練です。

2017-01-25 21:37:59 | 消防車両(名古屋市消防局)

明日は文化財防火デーの消防訓練ですが、天気もよさそうですし、午前中は都合がつきそうなので訓練撮影でもしましょうか。

希望としては「3軸車のはしご車」を撮影したいので、あちらの行政区となりそうです。しかし、実際に「3軸のはしご車」が参加するのかは不明(一応、参加車両5両とある)ですし、なにより訓練現場が狭くて撮影はどうなることやら。場合によっては「4軸のはしご車(実際に参加するか微妙)」に転戦するかもしれんですね。

そのうち春の火災予防運動もあることですし、散歩がてら撮影に出向きましょう。


2017年のご挨拶

2017-01-01 10:48:34 | 記事

本年もよろしくお願いいたします。

このウェブログの表題「nagoya-fe」からはどんな内容のウェブログなのか、よくわかならいのが最近の小さな悩みです。また最近はバス(特にジェイアール系)の比率が高い状態が続いておりますが、設けられた様々なカテゴリで記事を更新していくつもりです。

特にジェイアール系のバス撮影に関しては「乗降口が閉じた状態で、なおかつ左構図の形式写真的」な状態で撮影できるよう、今更ながら意識していこうと思います。とは言うものの、実際はとても難しいのですが。まぁ趣味の範囲内でぼちぼちやっていきます。それともっとバスに乗って撮影にも出向きたいですね。お気に入りの車両が運用から外れてしまうことも大いに考えられますので、何かしらの理由を自身で設け、かつ家族を納得させて(←どちらも大事→)一人で気兼ねなくバスの旅をしてみたいものです。

また、ここだけのハナシ(妻がここを見ていないことを願いながら…)新たな資機材を導入しました。焦点距離的に夜行高速バスの撮影には向いてはおりませんが、愛知県防災航空隊の撮影(特に夜間系)には大きな力を発揮するかと思いますので、その新資機材を今後、フル活用することも楽しみにしつつ、多数の訓練撮影にも望みたいと思っております。

さて、以前とは違い、ウェブログで現業の内容を取り扱うことはありませんが、ひとつ言えるのが長距離運転手に戻りたいという気持ちがチラついております(本音)。給与や休日の安定、手厚い福利厚生を求めてそれなりの企業を選択しましたが、長距離運転手という職業は“運転席のドアを閉めてしまえば自分の歩調で業務を遂行できる”こと、これが非常に大きな利点であったなと思います。

と、少し愚痴をこぼしながらも背負うものもありますし、今だけではなく30年後の自分、そして家族のことも考えながら行動する必要があると、そう思いながら本年をスタートさせましょう。

さて、お年玉を配りにいきますか。

添付写真は昨年末、三台口で運行された「新東名スーパーライナー2号」東京駅行


移動映画館車(富山100む・・・5)

2016-12-17 00:32:41 | 特殊系トラック

先日、名古屋市内でみかけた車両です。

この車両は移動映画館車という車両で、三菱ふそう製の大型トラックをベースにバス型のボディーを架装しています。長距離運転手時代に高速道路の対向で幾度か目撃し、存在は認識しておりましたが、直近で観察・撮影できたので簡単に紹介したいと思います。撮影時、車内では上映中だったようで車内の様子を伺うことはできませんでした。

移動映画館車について調べてみますと、当車両の運用は富山県射水市にある出版会社であるようですが、事実上の運用は出版会社の関連大元である宗教団体であるものと考えます。さて運用元が判明したところで気になる上映内容ですが、やはり宗教団体の教えに関連したものであるということ。撮影当時の車体には広告看板が取り付けられていました。運用のきっかけは東日本大震災で被災された方への「心の復興プロジェクト?」であると、出版会社のウェブログでは記されています。

さて、この移動映画館車は三菱ふそう・スーパーグレート低床3軸車(QKG-FY54VY)をベースに東京特殊車体若しくは京成自動車工業(個人的には前者)で架装され、仕様違いで車体の窓枠が銀色と黒色(今回掲載した車両)の二種類存在しているようです。窓枠銀色の車両は車両登録番号「は3967」で、後部の車両登録番号標の位置は中央。もう一台の窓枠黒色の車両は複数の登録番号があり、いずれも車両登録番号標の位置は右側。また後部上部には換気扇カバー、車両下部には汚物タンクの確認ができたことから車内後部辺りに便所が設置されているものと思われます。

窓枠黒色仕様の車両は画像検索の結果、車両登録番号「100ね2」「4」「100む5」「5」「ほ7」「7」「100も8」「130と10」「130ふ11」「130つ12」「15」の11台が確認できました。画像検索では分類番号やひらがな等、車両登録番号の一部が確認できず、重複集計されている可能性があるとはいえ、該当団体が銀色窓枠車を含め12台の移動映画館車を運用していると思うと非常に驚きです。この運用台数が事実であるかのと調べてみますと、検索結果に個人ウェブログがいくつかヒットし、内容はやはり「十数台規模で半年に1台増備」。また1台あたりの製造費が「4,000万円」の文言が確認できました。恐るべし宗教団体。

▼それでは様々な角度から移動映画館車を見ていきましょう。車体後部は窓がなく、この位置に便所が設置されているものと思われます。車両登録番号の分類番号が「1」であること、車両後端下部には突入防止装置と大型後部反射器が備わっていることから大型貨物自動車登録であることがわかります。車両登録番号標の位置は右側です。屋根から側面の水切りにかけての表面は滑り止め仕様になっています。小さくて見づらいですが「お先にどうぞ」のステッカーもオリジナルなのでしょうね。また車体に[移動映画館]の表記はありません。

▼運転席と車体の接合処理部です。架装会社の特徴が最も表れる部分ではありますが、この移動映画館車は架装会社の特定に苦慮しております。車体側面裾部に架装会社の表記があれば嬉しいんですがね。東京特殊車体か京成自動車工業のどちらかで間違いないでしょうけど自信がありません(東京特殊車体のような気もする)。また車体の安定を目的に4ヶ所に油圧ジャッキが設置されています。フロントタイヤは275/70R22.5です。

▼後輪のホイールアーチ部分です。縁取りに樹脂部品を使用していますが、近年のバス型車両はこの仕様が多いです。リアタイヤは245/70R19.5です。

▼さらに後輪部を覗くとエアサスの提灯。しかし車台が雪国の車両とは思えないほど非常に美しい。日頃の手入れの結果でしょう。到着した上映地でも洗車しているのかもしれませんね!また車台の塗色から推測するにこれは防錆塗装仕様なのでしょうか?

▼車両左前輪部。撮影時には使用されておりませんでしたが、折戸仕様の乗降口が備わります。ステップは床下に格納でき、使用時には展開できる仕様となっています。この辺りの造りをみると京成自動車工業かなと思ってしまいますが、より細部をみると東京特殊車体とも思えてしまうのです。また車体の一部(特に裾部分)にはアルミニウムを材料に使っているようにも感じましたがいかがでしょうか。

▼車体左側後部の屋根には車体を加工してスマートに天幕が納まっています。

▼車両左側後部。乗降用ステップの展開状況です。
乗降用ステップには細かい配慮がみられ、手すりには視認性向上と防寒を意図したのか黄色のクッションが巻かれています。ステップ踏み面には滑り止めも兼ねたマットが敷かれ、ステップ横の金属板部分には切創防止にホースを加工した保護材が施してあります。またテープ状のLED照明も設置されており、利用者の安全を意識した仕様に好感が持てます。リアオーバーハング部には空調機器の室外機が納められています。転動防止の輪止めの使用も素晴らしい意識ですね。

▼最大積載量は6,400kgですが実際にはそこまでの貨物を積載することはないでしょう。
平成21年排出ガス基準10%低減車「Q」及び、平成27年度燃費基準達成車「K」なので排出ガス規制記号はQKG‐で間違いないでしょう。

全体的な感想として、実物を観察、撮影できたことは非常に嬉しかったです。車両外観の特徴のある塗装のおかげで発見も容易でしたが、その場所が和食チェーン店の駐車場というのがなんとも不思議ではありましたが。

また、この車両の最も褒めるべき点は外観の美しさにあります。運用元である富山という地域柄そして全国運用という、冬季は融雪材まみれになるという条件下においてこの美しさを維持できるのは常に洗車という手入れしているからでしょう。一部の写真からもお判りいただけるかと思いますが、車体の反射率が非常に高く、また車体だけではなく足回りそして床下(車台)も含めて乗務員がこの大柄の車体外観美化に日々勤めている姿勢が感じ取れるかと思います。素晴らしいです!

最後に。正直、運用元が宗教団体であるという事実を知ったときに“取り上げるべきではない”車両という考えもありましたが、当ウェブログの目的は私の琴線に触れた自動車等の特徴紹介が主目的であります。つきまして当車両の運用元である出版会社や宗教団体、また流布内容について否定や肯定する意図は一切なく、以後のご判断は閲覧者各位の思想にお任せするところであります。また車体一部には画像加工を施しました。


記事作成にあたり、参考にさせていただいたリンク先

チューリップ企画スタッフブログ「移動映画館って何?」
http://todoroki.tv/idoeigakan-tulip/


昭和63年度導入タンク車(筒先自動制御システム付)

2016-12-07 23:53:58 | 消防車両(名古屋市消防局)

久しぶりに「名古屋市消防局」のカテゴリにて投稿します。

今回取り上げる内容は名古屋市消防局の水槽付消防ポンプ自動車I-B型です。この消防自動車は名古屋市消防局においては普通車として分類され、また現場等ではタンク車として運用されていることから、当記事においては水槽付消防ポンプ自動車とは表記せず、タンク車として呼称統一します。

今回ご紹介するタンク車は昭和63年度に導入された車両で、当時のタンク車は現在主流となる箱型構体とは異なり、ポンプ操作部や吸管等が露出する形となっていました。当年度では森田ポンプ(当時)1台、GMいちはら工業2台、日本機械工業1台、合計4台のタンク車が導入され、どれも試作的要素の高いタンク車となっておりましたが、その中でも日本機械工業で製造されたタンク車には帝国繊維製の「筒先自動制御システム」が搭載されていました。

※下記内容に関する資料を探したところ見つからないため、掲載内容は当時の記憶のみとなります。よって記載内容に本来と異なる点があるかもしれないことをご承知置き下さい。
個人的に筒先自動制御システムの導入搭載は名古屋市消防局発行の消防史で内容を知り、それを元に調査に出向いたところ、既に機器の運用はなされていませんでした。この筒先自動制御システムは本来、車両側で機関員が流量を調整するところを筒先員(ノズル)で制御しようとするシステムであり、また有線を配した特殊な消防ホースであったため、車両側に位置する機関員とホース先端側に位置する筒先員同士で通話(会話)も可能となっていたようです。有線入り消防ホースはシステムの運用廃止と共に廃棄されていたようです。

一方で車両の方も新製配置先の中消防署ではなく、北消防署飯田出張所の予備車となっていたため撮影の機会も無く、難しかったことを思い出します。
当時はいつも車庫にひっそりと佇み、いつ表に出るか分からない車両だからこそ、どうしたら最高の条件で撮影できるかを考えて行動しており、車庫から出される機会の少ない予備車を撮影するには毎年5月の下旬頃に市内各区で実施される「水防訓練(別名予備車フェス)」が絶好の機会でした。紹介する一部の写真も北区で実施された水防訓練で撮影されたものです。
余談ですが私自身の消防車両撮影における方針は新車でもなく、食い付きの良い珍しいといわれる車両でもありません。また一私感として「車庫から出して下さい」「赤色灯や前照灯を点けてください」というお願いは『私の行動範囲内における撮影において』は論外だと考えております。

ベースとなる車両は日産ディーゼルコンドル。車台はP-CL80Eで機関はEF6型。ポンプ型式は日機R3型(A-2級)。赤色警光灯も当年度からスピーカーが内蔵された三連続灯式となりました。

水槽容量は1,500L。所属を記した緑色の標識灯が「名消らしさ」を出しています。いまやこの緑色の標識灯もはしご車のみとなりました。ちなみに点滅と点灯の切替ができます。

こちらは北消防署飯田出張所で撮影させてもらった写真です。車両左側中央部の蓋を開けると筒先自動制御システムの操作盤が現れます。

筒先自動制御システムの操作盤です。
電源入切
マイク音量及びAUX切替調整
手元操作、遠距離操作の切替
機関回転速度の調整
各放口(吐水口)弁の開閉及び通話切替(1・3放口が車両右側 2・4放口が車両左側)
150L/450L/600Lの各流量切替 

車両左側の放口(吐水口)、中継口及び給水口の配置です。
放口弁には2と4の数字が表示されています。

車両運転席右側には携帯無線機格納器が備わり、無線呼出名称板には新製配置先であった中消防署の表示がされている。


学生時代、そして社会人デビューしたてであった当時、もちろん好き好んで必死においかけた名古屋市消防局の消防車両を久しぶりに観察してみました。今思えば警光灯類に現在のような高輝度LEDなんてものはなく、ハロゲン球を光源に赤色カバー内に設置された反射鏡をクルクル回転させて光を拡散する赤色散光灯が主流だった時代だったのですね。

当時の情報源といえば図書館、そして現物。その現物という実際目に入ってきたものに興味を示し、様々なことを教えてくれる先生はすべて消防職員でした。このように記事にできたことも含め、感謝しております。

現在の撮影主軸は防災航空隊(防災ヘリ)へと移り変わりましたが、それは消防車両を撮影していた土台(過去)があったからこそ。防災ヘリ撮影を通じて新しい仲間も増えましたが、消防車で繋がった仲間はその時代と変わりません。

このウェブログのタイトルである「nagoya-fe」とは名古屋の消防車(fire engine)という意味で名付けました。久しぶりに名古屋の消防車に関する記事が投稿できてよかったかな。


Exifデータから以下の内容が判明したので記載しておく。
※使用機材

富士フイルムFinePix2700
オリンパスC-700UZ
※撮影情報

全体写真2003年5月
車庫内写真2002年5月
操作盤写真2000年4月


国際航業 移動体計測車両(ROADMAN)

2016-11-20 12:41:52 | 特種用途自動車

先日、名古屋市内でみかけた車両です。
調べてみますと国際航業の移動体計測車両という車両らしく、走行しながら路面の状態を確認(評価)し、依頼元へ路面データを提供している車両のようです。撮影時も路面調査稼働中のようで実際に光を路面に当てている様子が知れます。
ベースはいすゞエルフのエアサス車。受注納品はいすゞ首都圏。主要計測機器等のメーカーは不明ですが、車体架装は細部の特徴からコーワテック製だと推測します。複数台所有しているのでしょうか、車体には「RM7」と表記されています。

▼昼間でも認識できる光を放ちながら計測している。発光器具自体の見た目は蛍光灯のようであるが、路面に映し出される配光具合からして特殊な器具であるのだろう。

▼車軸からエアサスの一部が伺える。制動灯類も地上から高い場所に設置されているのだが計測機器等への干渉等、何らかの理由があるのだろうか。

▼拡大明暗画像調整後の後部。日中でも配光視認できる発光器具はなんだろう。
 


記事作成にあたり、参考にさせていただいたリンク先

→国際航業>路面性状調査>走行車両による路面データ等の取得
 http://www.kkc.co.jp/service/infra/roadman.html


中部電力 空輸仕様高圧発電機車

2016-11-11 21:51:39 | 特種用途自動車

先日、実施された「平成28年度愛知県・弥富市津波・地震防災訓練」で撮影した中部電力保有の高圧発電機車(電源車)について取り上げます。

当訓練では「孤立地域に対する個別送電訓練」として項目に組み込まれ、陸上自衛隊の輸送ヘリコプターにて高圧発電機車を吊り下げ空輸するという訓練が実施されました。正直、「発電機を吊り上げる」と事前情報では聞いておりましたが、定置式発電機を吊り上げるというイメージで撮影に望んでいたため、車両を吊り下げるという訓練内容には非常に驚かされました。



―空輸仕様、開発の簡単な経緯
情報によれば、この空輸仕様となった高圧発電機車は平成17年に九州電力が災害時、道路寸断等により孤立した停電地域に迅速な電力供給が行えるようと開発。平成18年には陸上自衛隊との共同訓練で空輸に成功。平成22年には実災害において実施された輸送方法です。一方で中部電力における「高圧発電機車の空輸」は近年、展開実施されたようで、公の場における飛行訓練(空輸)は今回が初めてとのことです。

―発電機車について
車体表記によれば当高圧発電機車は“空輸仕様”とされ、通常の高圧発電機車と比較し、車両寸法の小型化や車両重量約1,000kgの軽量化。またヘリコプターから吹き降ろされる風圧荷重を低減するため、曲線を描いた屋根構造となっていることが特徴のようです。また架装元の神鋼造機のウェブサイトによれば発電出力300kVAのみ空輸仕様が設定されており、通常仕様との重量差は約1,150kgとなっています。

▼架装は神鋼造機。ベースは軽量化を図るためか2トン車(日野XZU710)を用いる。

▼ヘリコプターからの風圧を逃すために曲線構造とした屋根。

▼同等出力を持つ一般型車両との比較。
屋根構造は平面である。また一般型はひと回り大きい4トン車に架装されている。

▼曲線を描いた車体形状、そして“空輸仕様”と聞いて航空自衛隊C-130H型輸送機で搭載空輸可能な「IV型救助工作車」を思い浮かべる方も多いだろう。初見、私もそう思ったのだが遠距離かつ滑走路を必要とする空輸や航空機に搭載した空輸は想定されてはいない。あくまでもヘリコプターによる吊り下げのみ。

▼吊具の一部である車体干渉防止棒を設置固定するためのルーフキャリア。前後左右には吊具の中心位置を出すためであろう赤印。九州電力の車両は吊具形状(方法)が異なるためか設置されていない。

▼車両各部に粘着テープによる目張りが実施されているが、目的が風圧によるバタツキ防止策なのか、部品等の落下防止策なのかは不明である。

▼車両上部後方のみに設置された検知器らしき機器。車体接触防止用検知器の一部か。

▼さらなる軽量化、若しくは空輸時の落下防止策なのか、それとも地切・接地した際の干渉接触防止なのか…理由は不明であるが空輸時には取り外された後部突入防止装置本体。

―地切から接地、空輸の一連の流れ
空輸を担った航空機は陸上自衛隊航空学校の大型ヘリコプター(CH-47JA/JG-2951)。このCH-47JAには機体下部に3ヶ所のカーゴフックが備えられていますが、今回は機体中央部のカーゴフック(能力約11,000kg)を使用して高圧発電機車を吊り下げました。

▼高圧発電機車に据え付けられた吊金具。前後の車軸に荷重をかけるように設置されている。ルーフキャリアの用途はご覧の通り。屋根上の赤印は干渉防止棒の位置合わせのようだ。

▼CH-47JAが隊員の誘導により目標物後方に位置。

▼機体下部中央のフックにかけられたスリング。機体中央部には直下確認用の開口部が設けられており、機内の隊員が中心位置や対象物を確認しながら誘導することが可能のようだ。

▼前進・上昇しながら中心位置を定める。

▼地切。

▼訓練会場上空付近を旋回。背後では統制機アスコット(U-125A)が飛行。

▼飛行(空輸)を終えて着地。

▼気になる車両の吊り下げ方法。判りやすいように写真暗部を明るくしてみた。

▼前軸拡大。前軸はホイールと円盤状の黄色金具をホイールナットで共締めすると共に、J型ボルトを飾り穴に引っ掛けてナットで固定している。ちなみに九州電力の動画では円盤状の黄色金具を装着したままの走行も可能のようである。

▼後軸拡大。ホイールの飾り穴にリンクチェーンを通して固定。前軸と比較すると簡易的な方法で固定しているのが判る。

▼空輸仕様を実現するには吊金具が必要となるが、空輸される高圧発電機車には積載することができないので輸送車が随伴する。吊金具本体だけではなく、設置するための脚立や工具、そして人員も必要となる。

▼高圧発電機車の空輸を見守る中部電力関係者。

ちなみにこの空輸仕様高圧発電機車は中部電力では一台のみの製作・配置であるとのこと。配置先は通常の高圧発電機車が配置されている営業所等ではなく、愛知県日進市の研修センター内に配置されているようです(車両外観より判断)。空輸仕様高圧発電機車はまだ研究段階なのかもしれないが、今後、中部電力の管轄内で実施される大規模防災訓練では高圧発電機車の空輸訓練が盛り込まれるかもしれません。


記事作成にあたり、参考にさせていただいたリンク先一覧

→神鋼造機 製品紹介>エネルギー装置
http://www.shinko-zoki.co.jp/product01.html

→神鋼造機 移動電源車

http://www.shinko-zoki.co.jp/pdf/pwrescue1.pdf

→九州電力 大型ヘリコプターで輸送可能な高圧発電機車の開発及び空輸訓練の実施について
http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/press/2007/h070919b-3.pdf

→大型ヘリコプターによる特殊車両の懸吊空輸技術を確立
http://www.fukuoka-keizai.co.jp/content/asp/fukuoka/detail_ex.asp?PageID=33&id=197&k_id=2007&word=


NTT東日本長野支社の非常用電源車

2015-02-07 21:36:44 | 特殊系トラック

最近の更新について、某団体のイインチョ様からお電話にて「内容がマニアックすぎて理解し難い」というご指摘を態々いただきました。今回はサルでも解る、緊急車両ネタで進めていきますので、どうぞお付き合いください(笑)

緊急車両と申しましても、今回ご紹介する車両は長野県総合防災訓練会場で撮影したNTT東日本長野支社が保有する「非常用電源車(公共応急作業車)」です。

非常用電源車とはガスタービンで交流発電機を駆動させ、対象施設に電力を供給する車両です。発電出力は車両の大きさによって異なり、今回紹介する車両は出力が1000kVA、電圧が最大で6600Vの定格性能です。燃料は入手・取り扱いが容易だと思われる軽油を使用しています(A重油や灯油も使用可)。

ガスタービンと発電機、その間に介された減速機は共通架台に設置され、車両に架装されています。他にはガスタービン用の吸気装置、吸気用消音装置、排気装置、排気用消音装置、軸受潤滑油用冷却機、始動用発電機、整流器、制御盤、配電盤、内部換気装置、給電部、給電ケーブル用リール、駐車用ジャッキ等の機器が設置、架装されています。

ちなみに新車で導入されたガスタービン等の主要機器は必ずしも新製されるとは限らず、載せ換えられて長年にわたり、使用されることもあるようです(2006年製のPJ-車台に1973年製のガスタービンが架装されている例もあり)。

なお、車両の内部(発電装置)は撮影しておりませんので、取り上げる内容は車両外観のみとなりますが、後述のリンク先のサイトで内部が確認できます。ただし中古車取扱業者のサイトですのでリンク切れになっている場合があります。


2011年に長野県総合防災訓練で撮影した「NTT東日本 非常用電源車」

いすゞGIGA(KC-CXH81P1)をベースに日本フルハーフ製のアルミボディ構造を利用し、発電装置はHIHジェットサービスの「ガスタービン発電」システムを搭載。最終的な架装をヤシカ車体が行っています。 

ベースとなるGIGAは型式が示すとおり初期型でフロント22.5インチ、リア17.5インチのホイールを装着する異径4軸車(8×4)。非常用電源車は低床構造が用いられることが多く、当時のシャシ構成からするとこれが最適だったのでしょうか。GVWを20t以内に抑えた構造(W/B)で、前後軸と後前軸間に発電用の機器類を架装するという独特のスタイルに興味がそそられます。

車両のバッテリーやエアタンクといった補機類が見当たりませんが、キャブと主荷台との間に設けられた小さめの箱部分に補機類を移設、またスペアタイヤや車載工具等が積載されているものと推測します。

車両右側(運転席)に設置された機器類の状況です。一見すると冷凍車の冷凍機のようにも見えますが、これはガスタービンと発電機の間に介された減速機の軸受を潤滑させるための油を冷却する油冷却機(オイルクーラー)です。写真でも判るとおり設置はシャシを介した方法ではなく、荷台床面から吊り下げられており、通常の箱車構造とは違い床面は強化されているものと推測します。

フェンダーとオイルクーラー間には僅かながらサイドバンパーを設置。その奥側には駐車時にタイヤの変形を防ぐことを目的としたジャッキが設置されています(発電時の車両安定用ではないのか)。ジャッキは左右・前後に4ヶ所設置されています。

車両左側(助手席)に設置された機器類の状況です。車両前方から駐車用ジャッキと荷室内進入用ステップを兼用したサイドバンパーを設置。スペースのほとんどを燃料タンクが占めています。車両用(走行用)燃料タンクは約100Lほどでしょうか。装置用(発電機用)燃料タンクは370Lの容量があり、燃料配管には筒状のストレーナーが設置されています。ちなみに車両用にもストレーナーが設置されていますが写真では判明できません。また車両用燃料タンクの保持方法に特徴がありますね。初めてみました。


2013年に長野県総合防災訓練で撮影した「NTT東日本 非常用電源車」

こちらはいすゞGIGA(QKG-CXY77AJ-QX-M(W/B区分のQは推測))をベースに発電装置はMEIDEN(明電舎)の「GV型ガスタービン発電」システムを搭載。最終的な架装をコーワテックが行っています。発電運転時にはガスタービン用の空気を取り込めるよう、天井の前方が開放されるようになっています。

余談ですが、コーワテックは自社でバン型ボディをイチから製造しているのでしょうか…一部の製品(車両)に限った話でありますが、箱の裾や角といった部分を気にしていると「既製品のボディパーツを流用しているのではないのかな…」と思ってしまいますがいかがでしょう。裾の構造も車両によって異なり、ビス止めもあればボルト止めもあります。個人的にかなり気になる点ですので今後も観察を続けましょうか。

ベースとなるGIGAは型式のQKG-が示すとおりポスト新長期規制適合車でタイヤサイズはフロント275/70R22.5、リア245/70R19.5を装着する低床3軸車(6×4)。これらのタイヤサイズや前面に“20t超”の表示がないことからGVW20t車であると思われます。こちらも低床構造となっており、非常用電源車の基本姿勢であると思われます(GVW25t車を除く)。

NTT災害用伝言ダイヤル…等の文言が表記された後方上部はガスタービンから排出されたガスを排気する排気口が設置されています。二段構造となっており、発電運転時にはこの部分が開放すると思われます。そのためリアカメラ本体の設置位置も車体中間部となっています。

先の車両とは違い、車両右側(助手席)には排出ガス処理装置とバッテリーがW/B間を占めています。潤滑油用の油冷却機が見当たりませんが、荷室内に設置されている若しくは、明電社製は不要となるシステムなのでしょうか。気になります。

バッテリーは車両機関始動用(24V)と発電機関始動用(48V)とが供用と思われます。メーカーサイトによれば「ガスタービン専用(DC48V…)」と記されていましたが、車両外観からは車両機関始動用バッテリーが見当たらず、この配置(12V×4)から供用されているのではないかと推測。またリレーボックスが手前のバッテリー前に設置されていることも大きな推測理由です。

またサイドバンパーはバッテリーの交換時に引き出せるよう、手前に折りたためるように加工されており、整備のことも考えられた仕様となっています。バッテリーの奥には駐車用ジャッキも見えます。

同じく車両右側、ROH部分の構造です。こちらも駐車用ジャッキと輪留め収納部分が設置されています。後輪用スペアタイヤ(19.5インチ)とその上部両側にはジャッキの油圧発生装置と思われる機器が設置されています。前輪用スペアタイヤ(22.5インチ)は車両左側ROH部分に設置されています。またスペアタイヤキャリア上にはリレーボックスらしき箱が見えます。ちなみにチラっと見えていますがエアサス仕様です。

車両左側(助手席)には前方から尿素水タンク、走行用(車両用)燃料タンク、発動発電機用(装置用)燃料タンクが架装されています。燃料タンクはそれぞれ300Lの容量かと思われます。

メーカーサイトからの引用となりますが、発電時の燃料消費量は一時間あたり480Lとのことで、連続運転時には途中給油が必要となってきます。この消費数値はA重油で100%負荷運転時の数値であり、燃料の発熱量によって異なるようです。ちなみに連続運転は72時間以内だそうです。


インターネット上で拾ってきた情報を主に「非常用電源車」の紹介をしてきましたが、詳細は下記のリンク先(コピペしてね♪)を参考にしてください。

▼昭和47年から基本的なスタイルが変わっていない。

日本ガスタービン学会「1000kVAガスタービン移動発電装置」
http://www.gtsj.org/gasturbin/gallery/g_0106.html

▼中古車販売業のサイト。内部詳細写真有。
関東トラック販売「H18/6 いすゞギガPJ-CYZ51Q6J 移動電源車」

http://www.kanto-truck.com/Photo/2013070049.html

▼今回、一台目に取り上げた車両と同じ仕様だと思われる。
ヤシカ車体「電話用非常電源車」

http://www.yashika.jp/article/13977788.html

▼電源車と制御車の二台セットでの運用。電源車は低床4軸。制御車は中型3軸。
ヤシカ車体「非常用移動電源システム」

http://www.yashika.jp/article/14880877.html

▼ショートキャブ低床4軸車と中型3軸車(FVZ)
IHIジェットサービス「4500kVA級 ガスタービン電源車 IM-400 MGG」

http://www.ihi.co.jp/ijs/catalog/IM400.pdf

▼今回、二台目に取り上げた車両はこのサイトを参考にした。
明電舎「GV型 明電移動電源車」

http://www.meidensha.co.jp/catalog/jp/cb/cb38-2735e.pdf

▼内部構造のイラストやガスタービンの利点が書かれている。
川崎重工業「移動電源車(カワサキMPUシリーズ)」

http://www.khi.co.jp/gasturbine/product/industry/move.html

▼主要諸元や搭載品、またジャッキは安定用というより、駐車用であるとの記述も。
川崎重工業「第161号 ガスタービン・ジェットエンジン特集号(移動電源車NTTドコモ向け)」

https://www.khi.co.jp/rd/tech/161/nj161ts02.html


9.6KL液糖タンクローリー

2015-01-31 12:16:26 | 特殊系トラック

2012年3月に福岡県で撮影した「9.6KL液糖タンクローリー」をご紹介します。

液糖とは液状の水飴や異性化糖、しょ糖類のことを指し、食品原料として輸送は専用のタンクローリーが用いられます。タンクは保温構造となっており、これにより液質の変化(温度低下による粘度の増加や結晶化)を防いでいます。タンク内は防波板で三室程度に区切られ、危険物のように完全な仕切りではなく防波板の上下が通っています(写真参照)。またタンクを新円形にすることで洗浄を確実のものとし、各配管や接続部は取り外して洗浄しやすいように工夫されているのが食品用タンクローリーの特徴です。

最大数量は9.6KL、最大積載量は12,000kgと積載性能はGVW25tの単車並ですが、ホイールベースの関係からキャブとタンクとの間に無駄なスペースが発生してしまう単車と比較すると、全長の短縮や取り回しの良さはトレーラの方が良いでしょう。比重は1.25と推測。トレーラー化することで架装量にも余裕があることから、車検取得の際に装備等を取り外す必要がなく、正しい車検を受けることができます。

積込は主にタンク上部のマンホールから流入し、排出は後部に設置された油圧駆動のポンプで実施します。自車ポンプを駆動させるにはPTOを備えたトラクターが必要となりますが、異物混入の防止や洗浄方法の観点から客先がポンプ本体の管理を実施するケースもあり、その場合は自車のポンプは使用せずに客先の設備を使用します。

これらの流入・排出作業を行う場合、タンク内圧力の過大な変化を防ぐため先頭のカマボコ状のカバー内には通気口とフィルターが装備されています。しかし、このショート尺のタンクにマンホールが大小合わせ、4ヶ所も必要なのか?と思ってしまいますが、マンホールに狂いなくセットできるような洗浄・積込の位置にシビアな出荷場所があるのでしょうか?

車台(タンク下)には通常の各ブレーキラインや電気ラインの他、油圧用の配管も引き通されています。タンク本体は細部の特徴から「青木製作所」製であると思われ、車台は「日本フルハーフ」製で間違いないでしょう。

後部は中央部分に吐出口バルブ、食品用のロータリーポンプを配置。左側部分にはロータリーポンプを駆動させるための油圧ポンプと減速機が設置されています。上部へアクセスするはしごはタンク側面に設置されることが多いのですが、この会社の液糖ローリーは基本的にはしごが後部設置されているのが特徴です。

フェンダーやサイドバンパーの形状、そして吐出口とポンプ周辺機器を被うカバーの形状からは“青木製作所らしさ”を感じ取れないことから、車台とタンクの結合(載せ換え)やタンク本体以外に関わる部分の製作が泥除けタレゴムに明記された「矢野特殊自動車」であると思います。このように各部から「青木製作所」「日本フルハーフ」「矢野特殊自動車」と、それぞれの特徴を見出すのも楽しみのひとつです。矢野特殊自動車がライセンス生産しているのであれば内容は変わってきますがねぇ。

それと少し扁平気味のタイヤも気になりますね。


液化水素ローリー(トレーラー)

2015-01-25 19:32:21 | 特殊系トラック

2012年3月に三重県内で撮影した「液化水素ローリー」をご紹介します。

複数の容器を束ねた従来のカードル方式で輸送していた高圧水素ガス(H2 )とは違い、水素をマイナス253℃で液化(LH2 )。体積を凝縮することで搬送効率を最大で12倍にも高められ、今後見込まれる水素エネルギーの普及により、大量輸送・安定供給には欠かせない輸送方法を担う車両です。

極低温で液化された水素の蒸発を抑えるため、運搬容器はかなりの断熱性能を求められることから真空積層断熱方式とし、容器容量は36,960L、液水最大積載量は2,617kgを確保。タンクは海上コンテナの規格である40フィート寸法であり、タンクの前後には海上コンテナの緊締装置ような保護枠が設けられていますが、実際の運用では車台(トレーラー)から着脱する場面はあるのでしょうか。写真からは判別できませんが、タンクの製造は川崎重工業であると思われます。

「液化水素40フィートコンテナ車を導入!」(岩谷物流)
http://www.iwatani-butsuryu.co.jp/news/2007112101.html

後部にはオーニング(天幕)が設置され、荷役の際に使用されるのでしょう。タンクが積載された車台はトレクス製。規制緩和車両で最大積載量は24.80t 車両重量は29.39tと表示され、カードル方式と同じく車両総重量の殆どが車両重量であることが伺えます。

車両は習志野登録車(HD-3)であり、水素の充填(積込)は千葉県市原市で実施されているものと思われます。また、車両の前後には車両状態を表す「充」掲示され、これは千葉周辺で見かけるタンクローリー車の特徴でもあると思います(あくまでも個人的感想)。空車や回送になると表示板を裏返して「空」掲示で運行されています。

タンクの“腹”部分には加圧蒸発器を設置。加圧蒸発器を通された液化水素はガス化され、タンク内部を昇圧させることで車両単体での払い出しが可能とのこと。

また、加圧蒸発器の上部に設置された二本のボンベの用途・内容物が気になりますね。構造的に水素ガスではなさそうですが、水素を払い出し後、配管に残ったガスを完全に送り出すために使われる窒素ガスでしょうか。

今回、液化水素ローリーを簡単に取り上げてみましたが、普段よくみかけるLNGローリーとは違った魅力がありますね。以前、私は単車(前二軸)の液化水素ローリーも撮影していますので、機会があれば取り上げてみたいと思います。


韓日ダブルライセンストレーラー

2015-01-18 21:26:13 | 特殊系トラック

2015年1月に福岡県九州道で撮影した「韓日ダブルライセンス車」をご紹介します。韓日ダブルライセンス車とは韓国と日本の車両登録番号(ナンバープレート)を取得し、双方の公道を走行できるようにされた車両(措置)です。

主な特徴としては韓国と日本の車両登録番号標を表示しており、車両中央に配置された韓国内用の黄色い登録プレートには「人ト(さ)4709」と読み取ることが出来ます。車体の構造や灯火器類といった保安基準に関しては日本に準じているようで、日本でみられない“韓国独特”といった類の装備は登録プレート以外は見受けられません。

相互に乗り入れできるこれらの措置は、福岡県の日産自動車九州と韓国(釜山)のルノー・サムスン自動車との間で自動車部品を輸送する目的で導入され、積載物の積み替え作業が不要になる他、手続きの簡略化から輸送日数も大幅に短縮されるとのことです。

発見、気付くことが遅れたことやコンデジかつ、ISO感度を上げた撮影となったため、解像度の低い写真になってしまったのが非常に悔やまれます。この地区には「韓日ダブルライセンス車」が運用されていると念頭に入れ、今後はデジタル一眼レフで撮影に望みたいですね。

ダブルライセンス車ではありませんが、日本登録車両にて海外渡航輸送を実施する例としては活魚輸送もそのひとつであり、主に中国や韓国と日本との間で活魚輸送が行われているようです。そのためか、それらの輸送を担っている活魚運搬車の後部には両国の国名や国旗が描かれているのが特徴です。

注)文中にある国の順位は車体表記に準じており、他の意図はございません。


単車では最大積載量を誇る、LNGタンクローリー

2015-01-11 00:42:26 | 特殊系トラック

今回は2014年4月に広島県廿日市市内で撮影した「低床四軸車台に架装された液化天然ガスタンクローリー」をご紹介します。

不鮮明な写真から読み取れることは、日野プロフィア低床四軸(QKG-FW)にLNGタンクを架装されたという珍しい組み合わせであること、キャブのカラーリングから運送会社が日本通運(株)であることのみです。

信号待ちに急いで撮影したので手ブレがヒドイですね。私が住む地域ではなかなか見かけない仕様だけに、この不鮮明な写真では非常に残念です。

さらに詳細を検索していたところ、日本車両製造(株)の公式ウェブサイトに同車が掲載されていました。主な特徴や製造の経緯はリンク先をご覧ください。

「日車トピックス 8.82t LNGタンクローリーの紹介」
http://www.n-sharyo.co.jp/business/yuso/topics/tp131017.html

 


いすゞのエアサスを流用したタンクローリー

2014-12-31 05:19:49 | 特殊系トラック
栃木県矢板のトラックステーションにて。  

▼牛乳ローリー全景。
トラックステーションに立ち寄ると思いもがけない珍味に出会うことがある。そして、この手のタンクローリーには視線を熱く注いでしまう。それが今回の産物。
 
▼同じく後景。
青木製作所製と見受けられるが、架装者とタンク製造者は異なるかもしれない。この積載物について詳しくはないが、あまり青木の特徴を感じられない。どちらかと言うと安田かな。
タンク下には薄いフレームは存在するが梁のような頑丈なフレームが見当たらない。連結面、キングピン付近の縦軸補強も薄いフレームを解してタンクに繋がっているように見えることから、タンク本体で強度を保っているのであろうか。
 
▼けん引台車の後軸。
注目したいのがトルクロッドブラケット。この特徴ある形はギガ(マックス)の初期型に装着されていたブラケット。
またこのブラケットが取り付けられ、薄いタンクフレームと接合された台枠(車台)は何かの流用だろうか。ある意味、純正部品を流用したエアサス化において、車両の水平レベルや転角等の問題をクリアするにあたり、この台枠がかなりの重要部品だったりするのではないかと予想。
また、タンクの側板がフレームにかかっているところも見逃せない。内タンク本体は薄いフレームに直付けされていると予想することから、フレームとタンクの両方で強度を保っていると考えてよいだろう。
 
▼後軸サスペンション近影。
はい、いすゞのロゴ(笑)この穴あきのブラケットは初期型の最たる特徴である。
トラクターヘッドがいすゞであることから、廃車された車両から部品を流用したのかもしれない。当然、トルクロッドやエアスプリング、スタビ、スタビロッドといった構造一式の流用。ちなみにこの運送会社はトラクターヘッドを35両、15t積ローリーを22両保有するが、同様の改造を施している車両は他にも存在するのであろうか。
 
▼斜め前方より近影
パラレルリンク式エアサスペンション。奥側に見えている黒い物体がエアスプリング。それを支えるのがサスペンションビーム。横に伸びる棒はトルクロッド。ただし、車高調整用のセンサ等は見受けられない。切断面が見えているのが台枠。

自動車メーカーのエアサスを用いた改造例というのは聞いたことなかったが、このような実例は非常に珍しいものではなかろうか。