円ドルに絞って簡単に調べてみました。
以下記憶に残っている特徴的なポイントです。
1990 160
1995 84
1998 146
1999 102
2002 133
2005 103
2007 116
2012 76
2015 124
2016 100
2022 150
2023 127 1月
2012年以前は通貨政策が円高容認に加え、製造業を含め経済の基礎体力もあったので、プラザ合意以来の流れを継続し、円高容認という無策な通貨政策を続けていたために農業や製造業は痛めつけられ、円の価値が高いほうが良い業種、例えば金融業や輸入業などが新しい経済ルールを作り上げ、製造業は海外移転、農業は輸入に痛めつけられ、製造業や農業は日本の役割ではなく最先端技術や知的財産で生き残っていくのだとか、今になってい思えばバカみたいな理屈がまかり通っていた時代です。
東日本大震災の影響もあり、2012年に76円の最高値を付けた後、金融緩和に方向転換した事もあり、2015年には124円と2006年以来の120円台を突破し、その後も100円を底値に堅調な為替政策が続き、日本経済も息を吹き返す可能性を感じましたが、何せ製造業が海外移転、食糧は輸入依存と経済を構成する基礎体力が弱っているために、我慢の時期が続きました。
そして2022年からアメリカの引き締めによって、急激な円安が進み1998年ぶりの安値150円突破となり、その後為替介入もあり、また、アメリカの引き締めが緩む目算から、2023年1月に127円と円高方向に戻しています。
ここで注目して欲しいのは2012年の転換期以降です。
高橋洋一先生などがおっしゃっている、円ドル通貨発行量の差で為替は説明できるという論説は正しいのですが、それは短期的な説明の場合であって、長期的にみると経済力の趨勢が通貨発行量に隠れていると読み取れます。
2012年の転換期以前で、今の状況はほぼ既定路線になっていたのだと思います。つまり産業の空洞化が国内経済の弱体化を進めてしまったために、円安傾向の際に簡単に150円を突破してしまったのだと思います。
その後の戻しも127円で一服し、おそらく120円以上の円高は考えにくいと感じています。
貿易赤字も拡大していますので、円安傾向が定着しそうな感じです。
この先に予測できることは、日銀の金融政策も2023年に引締めに転換しそうですが、それを支える産業構造が脆弱ですので、投機筋の格好の円売り対象にされ、120円から140円くらいで何年かのもみ合いの後に、何かのキッカケ、例えば大規模な戦争・貿易赤字の拡大・財政規律の悪化・米国の再引締めなどで170円突破をターゲットにされそうです。
その際は当然為替介入は行われるでしょうが、経済が弱体化しているときの為替介入は非常にリスキーですが、やらざるを得ないでしょう。一旦170円を突破するとその先は、140円から160円くらいが定着するでしょうから、ここで国内生産が復活しないと、経済強国に長きにわたり経済支配される事になります。
製造業や農業を軽んじた国家のみじめな未来にならないことを祈っています。