たまったビデオを見ていて、
ふと気づいたら世界遺産という番組が
流れないままに次の番組に移行していました。
わたしは録画予約かけっぱなしで
本来の番組がいつやっているかすら
失念するくらいですので、
時間が変わっていなければ
撮り逃すことはないはず。
と、それと同時期に、
なんだか世界遺産がいつぞやの昼間に
やっているという話も聞きました。
世界遺産は結構楽しみにしている番組なので
わざわざ新しく始まるのなんて見なくても
前からやっているので充分と思っていたのですが、
実はそれが、それだったようです。
そこで録画予約を変更して見てみたら……
なんだかいろいろ変わっていてがっかりしました。
壮大な感じのオープニングも曲が違い、
始まってみたらナレーションも
変に声に起伏をつけるのです。
これは違う番組なんだと思おうとしたところ、
前のときと同じロゴが出てきたので、
どうやら正当な連続性を持っているようす。
……絶望した!
人の楽しみを破壊した世界遺産に絶望した!
わたしが愛してやまない番組形式は、
わたしが知らないことのすてきな映像を、
たんたんとしたナレーションと混ぜつつ、
ポイントをおさえて解説してくれるものです。
わたしは基本的にパソコンに向かいながら
ナレーションを聞き、重要ポイントを
解説してくれたところで画像を見るような感じなので
ナレーションは大変重要です。
そして覚えるでもなく覚えながら聞くので、
余計な情報は要点を見えなくします。
その点、かつての世界遺産や、かつてのNHKの
生き物自然紀行みたいなタイトルの番組は
かなり好きでした。
それが……。生き物、のほうは後番組が、
人間と変なものとの掛け合い形式という
はずかしいものになってしまいましたし、
世界遺産はあんなになってしまいました。
NHKでやっている、別の世界遺産っぽい番組は、
よくわからない人間が、その場所ではしゃぐのを
見せられるという醜悪なものでした。
最近、なんだか知りませんがああいう番組が
はやりなのか、ちょっと見ては
すぐ疲れてやめてしまいます。
嫌なところは、たとえば
「うわー! な、なんか変なもの食べてますよー!
なんでしょうね、あれは!
ちょっと行ってみましょう……」
のような。
なんてわざとらしさでしょうか。
たとえばそれが、有名な現地料理だとしたら
下調べもなしに行っている、その無神経さが許せません。
なにもしなくたって、わたしでさえ知っているくらいなのに。
もしくはやらせで知らないようにふるまっているのなら、
そのやらせくささ、もしくはかまととぶりが
どうにも鼻につきます。
こういうのが、わたしの好きな形式であれば、
食堂の中の場面が流れて、
「街の一角の食堂では、休憩の人たちが
○○をおいしそうにほおばっています。
これはここの地方の名物で、古くから~~」
などの解説がたんたんと入るところです。
友達や家族とテレビを見ているとき、
流れてくる言葉に続く内容を予想してわたしが言うと
そう違ったものでなくて驚かれることがあります。
でもそれは、別にわたしが波紋使いだからでもなく、
かつて聞いた似た文脈にひっかかるものがあったので
それを引っ張り出して口にしているにすぎません。
百人一首で上の句を読まれたから、
下の句を言っているだけです。
漫画だって、アニメだってそうです。
だれかがネタを口にするなら、
わたしは知っていることを最大限に使用して
ネタで返します。
それで、最初に言った本人に驚かれたりしますけど。
でも、知識なんてそういうものだと思います。
葉っぱを集めて水と空気とで
地面の上で混ぜ込んだら堆肥にもできるように、
何かの文脈をあつめて潤いと風通しを良くすれば
知識になるのだと。
そんなところに、くだらない『誰か』の
わざとらしい言葉や態度が入ると、
周りのゴミばかり多くて要点がぶれてしまいますし、
食べられるところも減ってしまいます。
せめてNHKくらいは、大衆に迎合するよりも、
『見せるべきもの』を作り続ける視点を
もって欲しいと思ってやみません。
落ち着いておだやかな情報番組があったら
ずっと見ていたいくらいなのに。
楽しみに見られる番組がまた一つ減りました。