おっかねえしょん

おかねがねえ。

昔からたいしたお金がないことにもよりますが、
わたしはまともなお金の使い方を知らずに来てしまいました。

なにかの日だからといって、高いものを食べたりするのを
人は喜ぶようですが、わたしは喜ぶより先に、
ものすごくもったいなく感じてしまいます。

具合が悪くて立ってもいられないときでも、
お金払ってあるんだから塾に行け、
旅行に行けといわれつづけたことで、
自分よりお金の価値のほうが高くなっているせいなのかもしれません。

それもあってわたしは、未来の予定を立てることがすごくいやです。
予定を立てたら何があってもそれをやらされるので
その日まで意識のすべてを奪われてしまいます。

思えばわたしは普通の人が普通にできるようなことが
ほとんどまともにできません。

普通の人が普通にできることが、普通に行えるというのは、
実はとても重要で、価値があることです。
普通の人はそれがわからないのです。

たとえば、
・他人の顔を見て、その人がその人だと判別すること。
・他人の顔と名前を一致させること。
・ちょっと奮発して高いものを買って食べて、それを喜べること。
・誰か他人を好きになれること。
・他人への好意を相手に告げて、お互い思いあうこと。
・生き続けたいと思えること。
・生きていられるだけのお金を稼げること。

普通の人ならごく普通にやって、
もしかすると意識さえしないほどのあたりまえのことが、
わたしにはまったくできないなんて。

わたしはいったいなんだったんだと落胆するしかありません。