彼はコロナによる新規感染者を示したグラフを添付して、こう書き込んだ。
“日本はこの程度の「さざ波」。これで五輪中止とかいうと笑笑“
そのグラフは、北米(アメリカ・カナダ)、ヨーロッパ4カ国(英国・フランス・ドイツ・イタリア)、インドと日本の8カ国の新規感染者の変化を示したものだった。日本はずっとグラフの底辺にある。それをだれかが「さざ波」と称したらしい。確かに欧米の感染者、それに伴う死者は多い。またインドでは急速に増加している。
でも、比較対象の国を変えたらどうだろう。WORLDOMETERというサイトを見ると、最新のコロナ関連の統計を知ることができる。私は感染者よりも死亡者数の方が気になる。日本の累計死者数は10,876人。人口が日本の5分の1である台湾のそれは12人である。人口が1億人近いベトナムは35人。ニュージーランド26人、オーストラリア910人である。人口が日本の約半分である韓国では、1875人。人口比の死者数で見ると、日本の半分以下に抑えている。
1年前は、台湾の若きIT大臣・オードリー・タン氏のITを駆使した戦略や保健大臣・陳氏が毎日、記者会見を開き、質問がなくなるまで答え続ける様子が報道されていた。同じ島国だが、こんなに差が出てしまった。
高橋洋一氏の役職は内閣官房参与だ。英語に直すと”Special Advisor to the Cabinet” になるらしい。ここからは想像だが、もし彼を始めとした菅首相の側近たちが「日本の感染状況は、欧米に比べたら大したことない。日本はよくやっている。」と首相に言い続けたら、首相は判断を誤るのではないか。
確かに日本の死者数1万人はアメリカ合衆国の59万人には比べようもない。でも東日本大震災の死者と行方不明者を合わせた犠牲者はおよそ2万人。コロナの死者はこれからも増える。この伝染病は緩慢な大災害と言えるのではなかろうか。そして、家族や友人を失った方にとっては、数字なんて意味がない。その人にもう二度と会えないことが悲しい現実なのだ。
この1週間の大阪の人口比の死者は、インドと変わらないという人もいる。このまま医療崩壊が続くと「さざ波」は「荒波」になるかもしれない。またこのような状態でオリンピック・パラリンピックを強行すると、どんな波が押し寄せてくるのか、恐ろしくなる。パラリンピックには障がいのある選手が出場する。ウィルスが飛び回っている東京で「安全・安心」に競技をすることができるのだろうか。
パンジーへ。ユリが咲くまでもう少し頑張って下さい🌼