子供の頃、秋刀魚の塩焼きを食べる度に父が「さんま苦いかしょっぱいか」と言います。何で当たり前の事を言うのか尋ねると
「さとうはるおが詩に書いている」としか教えてくれませんでした。
後に本で知ったのですが、この詩は佐藤春夫の「秋刀魚の歌」という詩で、谷崎潤一郎の奥様を挟み色々な事が起きていた時、食べながら落涙したという逸話があるそうです。
今の世なら、ワイドショーや週刊誌をさぞ賑わしたのではないかと思いました。
「苦いか塩っぱいか」は秋刀魚の味だけではなく、様々な思いの発露でしょうか。
凡人には分かりません。
あまりに貧弱な秋刀魚なので、庭の紅葉の葉を摘んで来て、小道具で誤魔化しました。