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自然・環境を科学してみる

5月3日 エコロジカル フットプリントについて

2013-05-03 02:17:23 | 日記

5月3日 エコロジカル フットプリントについて

Ecological Footprint (以下「EF」と記す)について

これは、全世界の人間の活動が、地球の持続可能な生物学的な能力に対して、過負荷になっていないかを評価するために、WWF(World Wide Fund for Nature(世界自然保護基金))がGFN(Global Footprint Network(下記のDr. Mathis Wackernagelが代表))とロンドン動物学協会の協力を得て、1998年から2年ごとに発表していますが、その計算の仕方も年々改善を重ねています。


EFの元になる概念は、1990年代初期にカナダのブリティッシュコロンビア大学のウィリアム・リースとマティス・ワケナゲルにより、「収奪された環境収容力(Appropriated Carrying Capacity, ACC)」として提唱された。この用語が難解であったため、「人間活動が地球環境を踏みつけにした足跡」という比喩に基づき、「エコロジカル・フットプリント(EF)」と言う用語に変更されました。文献にこの用語が用いられたのは、1992年のリースの論文が初出です。

リースがEFに与えた定義は、「ある特定の地域の経済活動、またはある特定の物質水準の生活を営む人々の消費活動を永続的に支えるために必要とされる生産可能な土地および水域面積の合計である。EFは、生物学的な生産力と比較することによって、持続可能な利用ができているかあるいは需要過剰(オーバーシュート)となっているかを明らかにする指標として使われています。

EFの算出法

具体的なEFの算出は、土地の種類別の基本データを積算することによって行なわれる。たとえば、日本におけるEFは冒頭の表のように計算されている。この表は、日本全体の人間活動によるEF(1990/1991年)は、実際の国土よりも15.4倍も広く(但し、海洋淡水域は全て公海と考えているのか、日本の面積が計算に入っていないので、陸地だけを考えれば、9.15倍です)、オーバーシュートしていること示しています。EFは単位をグローバルヘクタール (global hect are)としていますが、実際の地球上の面積に下記の様に、2つの係数を乗じて生物学的生産能力を計算し、EFの計算に利用します。

グローバルヘクタール (global hect are) と 生物生産力

EFを計算する生物生産力(生物学的生産力)は、気候風土や利用形態によって生産性が全く異なっています。たとえば、一般に、熱帯・温帯地域では生産性が高く、乾燥気候や高緯度地域では生産性が低い。農耕地でも、作付ける作物の種類や農法によって生産性が異なってきます。この差異を補正し、標準化した生物生産力の単位として「平均的な生物生産力をもつ土地1ヘクタール」に相当する「グローバルヘクタール」(global hect are)が考案されている。土地の種別ごとに、グローバルヘクタールを算出するための世界共通の係数は「等価ファクター」"equivalence factor"と呼ばれ、年毎に再計算されている。また、各国の実情を反映するための係数は、「収量ファクター」"yield factor"と呼ばれます。
したがって、「ある国の特定種類の土地の生物生産力単価」(単位:gha/ha)=「その国のその土地の収量ファクター」x「等価ファクター」となる。
その故に、分母は常に実際の面積であり、世界を合計すれば、地球の総評面積=12,000,000,000ha(120億ha)であるが、世界のEFと比較する時は、ghaの単位で表示している。

2012年に発表された、全世界のEFは182億ghaであり、地球の表面積120億ghaの1.52倍である。2012年発表のEFを地球が回復するのに1.52年かかるということになり、過負荷が大きくなってきている。自然を荒廃させていることになっています。EFは計算方法を、未だ改善する余地が大いに在るであろうが、手遅れにならないうちに、手を打たねば、取り返しのつかない事態になることは容易に推察されます。

レポートの最初に、WWFの代表(Director General)の Jim Leape氏が次のように述べられています。

我々の全てが、以下の多数のグラフを見て,如何に多く、我々は地球の資源と強靭な弾力性を吸い取っているかを知るでしょう。この2012年版のLiving Planet Report(生きている地球に関するレポート)は、その状態は更に過酷になりー即ち、地球に負荷している圧力は累積的に増えており、我々の生活を可能ならしめている森、川、大洋の健康状態が、その結果として、更に衰えてきていることを物語っています。
我々は、もう一個の新品の地球を持っているかのように、生きている。我々は地球が供給できる資源より、50%も多く使っているのです。生き方を変えねば、この傾向に益々拍車がかかるでしょう。即ち2030年までに2個の地球でも十分で無くなるでしょう。しかし我々は選択枝を持っています。2050年にこの地球に共に生きる90億あるいはたぶん100億の人々のために食料と水とエネルギーを供給する繁栄ある未来を創り出すことができます。我々は必要とする食料を生産することができます。解決策は廃棄する食料を減らし、より良い種を使い、より良い栽培技術を使い、耕作できなくなった土地を生産に利用できるように改善し、食事内容を変え- - 特に高収入の国では、肉の消費を減らす - -るのです.
我々は、需要に見合う十分な水があることを保証できます。そしてまた、水がそこからもたらされる健全な川、湖、沼沢地を保存できます。より賢明な潅漑技術とより良い水資源計画は、我々が水をより効率的に使用する助けになります。我々はクリーンで豊富な風と日光の様なものから我々のエネルギー需要の全てを満たすことができるのです。まず第一にしなければならないことは、我々が使うエネルギーから遥かに多くを得ることです。即ち、我々の建物、車、工場のエネルギー効率を上げて、トータルのエネルギーを半分にできます。
これらの解決策とこの報告に述べられている諸々の事柄は、この地球を生き生きとした遊星に保つために、我々全ての1人1人が役割を演じる必要があること を 示しています。
- -全ての人のために食料、水、エネルギーを、そして地球上の生命を支える力強いエコシステムをというスローガンを掲げて。



詳細は、下記のWWFのレポートを参照して下さい。160ページに亘る詳細なレポートになっています、世界の虎(アムール、ベンガル、マレー、スマトラ)、川いるか(ガンジス、インダス、揚子江、メコン、アマゾン)、マグロ(大西洋)、南大西洋のWandering Albatross (アホウドリの一種の「逍遙するアホウドリ」)、ヨーロッパのカワウソ の個体数の減り方、等、Wildlifeについても興味深い報告があります。

wwf 2012 living planet report (http://wwf.panda.org/about_our_earth/all_publications/living_planet_report/2012_lpr/)

合掌
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

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