33話 「パワークロノス」
辺りを気にしながら、ゲンナ号はGビャクヤとベラーナ機、ララ機を乗せたまま「板」のあった場所に戻り、辺りは閑散としているものの林が近くに僅かに見えたので、隠していた。
カンナとララとトキノが残っていたが、他の守里やベラーナ、麻生やリリアン、セイナは板の場所に急いでいた。
ゲンナ号でカンナがトキノに一言。
「話しちゃったけど…ごめんなさいだわ」
トキノはまだみんながいるとき話していたことを思い出していた。
「私はね。セイナに『完成』させてもらったの。だから感謝してるわ」
みんなが黙ってトキノを優しく見つめていたことで吹っ切れていた。
カンナにそのことを伝えるとララは言った。
「トキノはトキノ!否定させないし!それに守里君やベラーナは受け入れてくれる」
カンナとララ、トキノは抱きしめ合いながら頷く。
守里たちは板が5m四方なのをロロナに聞いて、鉄筋も同じくらいと聞いる。
重さはかなりありそうだったが、ロロナがアサルトで退けられるとも言っていた。
ベラーナが早速文句を言ったが半分笑っている。
「60kgかなぁ…って100kgもないっしょ」
辺りを気にしながら急いでアサルトを向けると、電撃が走って鉄筋が動くと鍵穴があった。
麻生は試しに持っていた鍵を差し込んでみると、カチッと音がして階段が出てきた。
どうやら下に降りるらしい。
守里が機転を利かせて林から枝をバサバサさせながら持ってきて、階段の上に置く。
守里たちは下に向かって降りているとベラーナが言った。
「まあ、よく今まで見つからなかったねぇ」と感心している。
先には広い空間があって再び鍵穴があった。
まさかと思いつつ、同じ鍵を使うと開いたので、そこにいたみんなが驚く。
マーズの鉱石と大きなランチャーのようなものと、メモ書きが残されている。
「パワークロノスを残す」
そこにいた誰もが誰が書いたか分からないまま、存在に驚き麻生は言った。
「これは…そうだ!守里君、君の兵器になるよ」
ベラーナは羨ましそうに、でも不安げに言った。
「いくら何でも、重くて持てないぞ?」
セイナが半笑いで言う。
「ゲンナ号から引っ張れる」
リリアンが呆れて言った。
「どれだけ機能が…まあいいわ。とにかく引っ張らないとね」
ゲンナ号へ急いで移動し、近くまで寄せて引っ張るとGビャクヤまでは持ってこれた。
カンナやララが呆気にとられている間にささっと行われているほど素早い行動だった。
鉄筋と板を元の位置に戻し、守里は念のために木の枝を不自然じゃないように置いて、ゲンナ号に戻り林へ急ぐ。
守里とベラーナがいそいそしていたので、ため息をつくと麻生がセイナに言った。
「パワークロノスにマーズの鉱石は…うん。既に装備されているようじゃ。これをGビャクヤに持たせるとなると…」
麻生はセイナと考え込んでいると、セイナが言った。
「ララ姉に運ばせれば、重量的には持つと思う!Gビャクヤには念のために背中にも余力があるから!」
麻生とセイナが話し込んでいると、ベラーナが守里に言った。
「あのジャイワナーゾとゲラザロナに思い知らさせる兵器になるかもな」
頷いた守里とベラーナはガッチリ手を組み交わした。