35話 「陽動作戦」
「あ、ゲラザロナの真ん中を狙えば左の関節部分は広かったから当たるかも…」
と考え、それと同時にあまりにも賭けすぎる…と悔しい思いでいるとトキノが叫んだ。
「自動修正率50cmまで可能にしてみせるわ!ゲラザロナは大きいからいけるわよ!私もパワー使うから最高でも2回攻撃が限度ね!」
無線を通して会話していると親父の言葉が頭を過る。
「ターゲット補正は500mで10cmのズレ、1kmで20cmのズレ、後はロックオンで決まる」
狙いがずれることは承知していたので、後は勘か…やるっきゃない!
ロックをしてみるとトキノが言った。
「補正プログラム良好!後は実戦で考えている余裕があるかどうかね…」
ララと麻生、リリアンとセイナ、そしてトキノが応援している。
目の前には練習用の的があり、空砲を積んでいた。
誰もが集中しているとき、守里が言った。
「威力は分からないけど…Gビャクヤ!パワークロノス発射!」
目の前の的の真ん中よりズレた左側の印に当たった。
空砲でこの勢いなことに驚いている守里たち。
同時に守里は考え込んでいた。
「なぜ…親父の言葉が浮かんで当たるんだろう…」
当たったことにみんなが喜んでいると、ベラーナ機が控えていて言った。
「Gビャクヤを完全に乗りこなせれば、このくらい命中は可能なわけだ。でも時間がない。剣…どうする?これ以上の練習は空砲でも気付かれる」
守里はジャイワナーゾには効果がなくても、ゲラザロナのとっておきに使うしかない。
ベラーナ機は足を補修してもらってから近くに控えていると、守里が言った。
「援護は頼む!ベラーナ!」
ありとあらゆる手段でないとゲラザロナに対抗できないことは、誰にも分かっていた。
麻生はゲンナ号に戻る守里を慰めるように言った。
「ほぼ素人に近くても当たるときは当たる。玄人でも外れるときは外れる」
麻生は不敵な笑みを浮かべて言った。
「そもそも、守里君によって造られた機体じゃよ。自信を持つんだ!」
守里は覚悟を決めて全員に無線で言った。
深遠な口調にみんなが注目する。
「人は殺したくない。でも無差別殺人を黙っていられないからGビャクヤは戦う!俺だって人を殺した。ただ…アゼラは潰さないとダメだ!エンド・カンパニーの残りの人は助けないと!」
ベラーナが叫んで「どうやって近くのさ。足はなんとかなったけどさぁ」
守里は真剣に言った。
「手招いていないでこっちから攻撃を仕掛けるんだ!Gビャクヤとベラーナきが囮になるしかない!」
「ベラーナ機発進!」
同時に守里に返事をウインクで示して、ベラーナ機が先にエンド・カンパニー付近にむかう。
ザンラがいると感じ取っていた守里は、既にその先を見ていた。