こんにちは。
今頃、周遊しているはずの、Sさんがひょっこりうちに連絡してきて、こんな話をした。
長いこと周遊しているはずだったが、早々に帰国することになってしまい、例の石を現地に置いてこれなかった。なので、どうしようかと思い、近くの神社へ行こうと車を走らせたら、事故を起こしてしまった。(人身事故ではなく、自損事故)Sさんは問題はないが、元々車の運転が嫌だったし、思い切って車を自分で運転するのはやめようと考えたと言う。
それで、手にしているのは、例の詰まった石。
うーん。うーん。昨日アジアよりフライトで帰国したという。(帰国理由は、同行者の健康状態)
まぁ、Sさんほど金持ちが、自分で車を運転しなくても、別にタクシーでもハイヤーでもいいのではないかと答えたら、「うん、まじめに運転しているのがバカバカしくなった」と笑っていた。ところで、例の石はどうするかと言われ、
実は、昨日、迎撃機能について、考えがまとまり、迎撃体制に入っていたので、こっちにもらった。
迎撃関係については、中々クラフトマンにダイヤをせっついたが、入荷しないので、その際に、うっかり、不思議話をしたら、クラフトマンが不思議話をし始め、奴の話にヒントを得た。
元々の話は、幽霊とか、妖怪に梵字が効くかという与太話だったが、キリスト教やイスラム教と分かり合えないではないかという話をしてたら、こんな不思議な話があると教えてくれた。
ある不思議な男が、クラフトマンの元を訪れて、完全フルオーダーで、こんなのを作ってくれと頼みに来たらしい。クラフトマンは、まぁ、それを作ったのだが、梵字というか、梵字の字は、実は、依頼者がこの形でお願いしますと、実物大の大きさを持ってきたそうだ。それをそのまま転写して、クラフトマンはあるものを作り上げた。男は、材質、使用するもの、どんな感じで作るべきか、事細かに指定したらしい。
後、男は、トントン拍子に出世し、現在社長になって、大きく財産を持ち、その財産を運用する方に入り、社長をやめたという。
その指定したことについて、事細かに聞いたのだけれど、カルト宗教の香りがしなかった。むしろ、どこで、そのイラストを手に入れたのかという話があった。それは、和紙に筆で書かれていたというのであるが、正確に言うと、梵字ではあるが、通常の梵字とは、ちょっと形が違ったという。
クラフトマンは、言われたとおりに仕上げたという話をしていて、
それだ、それのこれを作ってくれと、即効で筆ペンを借り、そのイラストを書いた。これ、フルオーダーしたら幾らになるのか聞いたら、恐ろしい金額だった。これは難しいので、比較的、安価でできるものを検討した。それが出来上がって、昨日届いた。
同時に、その安価でできるものをコントロールするものも購入した。
という訳で、結構金遣いの荒い、鬼祓い厄祓いである。
Sさんは、憑き物がとれたように、もう、自動車運転をしなくてすむ決心がついて嬉しいというが、わたしとしては、微妙なのだ。そこで、ある程度御礼を差し上げたいとお願いしたら、Sさんより、ジュエリーの制作を依頼され、それでいいと言う。
Sさんの頼んだジュエリーの形は、呪術の一種である。なので、公開はできないのだが、恐らく、クラフトマンのところに来た人も、そんなつもりで依頼したのだと思う。どっかの霊能者?か何か?ってクラフトマンに聞いてみたら、実は単なる普通の人であり、そういう宗教とかが大嫌いだったことは事実である。
どこで、そんな紙切れを持ちだしたのかと言う話は、どうも、実家にあった古文書を、写経のように、写しとったらしい。
うちの近所は、古文書があるご家庭が非常に多いので、別段不思議ではないのだが、(無論、うちの母方にも変な古文書があり、母が処分した際、コピーを貰った)、その人の家の古文書のその字を書いた人は、一体何百年前の人なんだろうと思うことがある。
ちなみに、わたしは、呪術ジュエリー制作を、今後の仕事にするつもりはない。
仕方ない。Sさんの依頼は、そんな系統ばかり。
ふう。
続く
朋