時には、旅の日常

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晩秋の大津・坂本/電車で琵琶湖周回-01~坂本へ ① 京阪京津線

2017-11-25 01:34:28 | 近畿/日本
 急激に秋の深まった感がある平成29年(2017年)11月下旬の祝日、もみじ狩りを思い立ち、滋賀県大津側の比叡山山麓となる、坂本へと出掛けました。

 11月半ば過ぎからの厳しい冷え込みで、京都市内も紅葉が見ごろを迎え、内外からの観光客で街中がごった返す中、京都よりは人でも少なかろう…と、比叡山の反対側となる、大津・坂本の寺社を幾つか訪ねることに。
 5年前(平成24年/2012年)の秋に比叡山・延暦寺を訪れた帰途、ケーブルカーで坂本まで下りてきて、坂本から京阪電車で京都へ戻った時は、ただ通り過ぎるだけであった坂本を今回初めて、時間を取ってノンビリと、晩秋の風情を楽しみました。

 京都市内から坂本までは、京阪電車の京津線/石山坂本線(両線を併せて、大津線と称しています)での行程。
 両線の乗換駅である浜大津までは、地下鉄→山岳鉄道→路面電車という、日本唯一の非常にユニークな三変化を遂げる路線を走破する、京津線(地下鉄区間は京都市営地下鉄東西線を走行)の電車に乗車します。


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 京都市営地下鉄東西線の三条京阪駅から、今回の旅はスタート。
 三条京阪から3つ目の駅である御陵(みささぎ)から、京阪電車の京津線(けいしんせん)へ直通する浜大津行に乗車します。

 この浜大津行の電車は、趣きを次々と変化させるユニークな沿線を走り抜けて、終点の浜大津へと至ります。
 まずは、この三条京阪から、地下鉄として出発。



 最初の区間は地下鉄路線なので、当然ながら、トンネル内の真っ暗な眺めが流れていきます。
 車窓からは、トンネル壁面に設置された照明と、その灯りによって映し出されたレールのみを、認めることができました。

 電車は4両編成で、運転台のある両端の車両の座席はセミクロスシート、中間2両の座席はロングシートとなっています。
 クロスシートは、横1列が2席+1席の座席配置。
 クロスシートの向きは、1両の片側3ヶ所ずつある乗降扉の中央の扉を境に、進行方向向きと逆向きの配置です。

 私が座ったのは、先頭車で進行方向逆向きのクロスシート。
 等間隔のテンポで後方へと流れ去る、トンネル壁面とレール上の輝きを、眺めていました。



 御陵を出発すると、地下鉄東西線と分かれて京阪京津線へ。
 JR東海道本線との乗換駅でもある、京阪山科との間で、地下のトンネル走行から、地上へと姿を現します。
 地上へと出た直後は、築堤上を走るJR東海道本線と並行して、京阪山科へと向かいます。

 これから、終点の浜大津までは、地上を走行。
 御陵~浜大津の京津線内では、車体下部に取り付けられている車幅灯を点灯します。



 京阪山科の次の駅である四宮(しのみや)を過ぎると、府県境を越え、京都市山科区から滋賀県大津市へと入ります。

 沿線風景も、低地の住宅地から山間へと分け入るように、断続的な上り坂を駆け上がって進みます。
 逢坂山(おうさかやま)を貫く、「逢坂山トンネル」へと至るまでの上り坂となるこの辺りでは、浜大津への進行方向に向かって、左側を名神高速道路(防音柵が見えています)、右側を東海道である国道1号線とに挟まれて、線路が延びていきます。



 逢坂山トンネル西坑口にある、京津線の最高地点から浜大津までは、それまでの上り勾配から一転して、下りの急勾配となります。
 この下り坂を、幾つもの急カーブを描きながら、電車は駆け下りていきます。

 この画像からも、かなりの急勾配ぶりが分かると思いますが、その勾配は、最もきつい部分で61‰(61パーミル/1,000m進むうちに61mの高低差)!
 平成9年(1997年)10月に北陸新幹線が長野まで開通するまで、国鉄(JR)で最も勾配のきつい区間であったのが、並行していた信越本線の横川~軽井沢間で、最大66.7‰の勾配でした(私鉄も含めると、箱根登山鉄道にある80‰の勾配が通常の鉄道路線では日本一)。

 現在(平成29年/2017年)、京津線のこの61‰の勾配は、大井川鐡道井川線(アプト式/90‰)、箱根登山鉄道(80‰)に次ぐ、日本の鉄道で3番目の急勾配となっています。
 京都と大津とを結ぶ通勤路線としても利用されているにもかかわらず、峠越えや山岳鉄道並みの急勾配や急カーブを、道中に織り交ぜている、ユニークな京津線です。



 最後の停車駅である、上栄町(かみさかえまち)を出発すると、浜大津までの区間は、国道161号線の路面上を走る、併用軌道となります。
 電車は急カーブして、路上へと進入。

 非常に低速に速度を落として、道路の中央を慎重に走行します。
 路上から眺めると、こんな感じ(Wikipediaの画像へリンク)。

 京津線の電車は、1両当たりの全長が16.5mで、4両編成。
 4両の全長が66mにもなる編成が、路面電車となって、路上を走行します!



 路面を往く車窓風景を眺めていると、地下鉄を走行した同じ車両がそのまま道路上を走行するミスマッチ感を、乗車していても何となく感じ取ることができますw

 地下鉄のホームの高さに対応している車両のため、電車の車窓からの目線は、乗用車よりも高くなっています。



 大きな交差点を右折する格好で、終点・浜大津の駅へと進入していきます。

 ここでも、ほぼ90度という直角状の急カーブ。
 御陵~浜大津間の7.5㎞という短い距離ながら、最後の最後まで、「見せ場」に事欠かない京津線の行程です!



 その、浜大津駅前交差点を通過中。
 (画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

 乗車している車両のすぐ後ろの車両までもが、余裕で見渡せてしまう急なカーブ(このようなカーブは、京津線では珍しくありませんw)で、交差点を「右折」しています。



 京津線の、浜大津へのアプローチは、こんな感じ。
 交差点内で、左から浜大津の駅へ直進している、京阪石山坂本線の線路と合流しています。

 京都から大津へと至る、ユニークな最初の行程が、間もなく終了します。



 出発地の三条京阪から10.9kmの道程を24分で走破し、8時21分に浜大津へ終着しました。

 ここまで走ってきてくれた車両は、京阪電車の800系
 地下鉄線から急勾配急カーブ区間、更には路面の併用軌道までもが走行可能な、日本唯一のハイスペック電車です^^

 一見、小ぶりな普通の通勤型電車風ですが、多彩かつ過酷な路線条件をクリアするため、特殊な仕様・装備の塊で、全長16.5mである1両のお値段は何と2億円とのこと!!
 東海道・山陽新幹線の700系が、全長25mの1両が2億3,000万円とのことなので、この800系の「贅沢さ」が判ろうというものですね!

 この800系について、公式には既に閉鎖のアナウンス済みである、京阪電車大津線 公式ウェブサイト中へのリンクがアーカイブで生きていましたので、興味があれば、サイト内の記事のご一読をお勧めします。
  800系電車(1)
  800系電車(2)
  800系電車(3)

 断続的に続く上り勾配を苦にもせずに、グイグイと小気味よい加速で駆け抜ける、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」の例えのとおり、小気味良い爽快な乗り心地であった、24分間の所要時間でした♪



 浜大津で、乗り換えの坂本行の電車を待つひと時。
 石山と坂本とを結んでいる、京阪石山坂本線の一方の終点・坂本へと向かう電車を待ちます。

 坂本行の電車は、石山方となる島ノ関から坂本方の三井寺へと赴く方向へ進みます。

 浜大津到着後、一旦引上線へと進み、折り返しの京都市役所前行となって到着時とは反対側のホームへ早くも入線した、三条京阪から乗車してきた京津線の800系車両が停車中。
 この電車を見送った後にやって来る、坂本行の電車に乗車して、坂本を目指します。

 <晩秋の大津・坂本/電車で琵琶湖周回-02>>



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