日本人にとって中国語は本当に難しいですが、唯一嬉しいところがあります。
それは基本的に読み方が一つしかないところです。
日本人にとっても音読みや訓読み、送り仮名を覚えるのは本当にめんどくさいんです。
今日は日本人も大嫌いな「音読み」と「訓読み」についてお話しますね。
1 どうして音読みと訓読みがあるの?
これ、私も子どもの頃すっごく思いました。
ではなぜ一つの漢字に二つ以上の読み方があるのでしょうか?
それは昔、日本には文字がなかったことに由来します。
古代日本には文字がなかったので、人々はすべてを「音」だけで表現していました。でもそこに中国から「漢字」が伝わりました。
漢字とその読み方が一緒に伝わったのですが、日本人はこれまで使っていた言葉もその漢字で表現しようと考えました。
例えば「住」という漢字が「じゅう」という読み方と一緒に日本に伝わった時は、これまで使っていた「すむ」という言い方もこの漢字で表現しようと考えました。
そこで住(じゅう)・住む(すむ)という2種類の読み方ができたわけです。
でも日本語は、住む・住みます・住まない・住んで・住もうと変化します。
そのため変化しない部分だけを漢字で読んで、変化する部分は平仮名で書くことにしました。これが送り仮名です。
なので送り仮名があるものは全て「訓読み」です。
2 どうして読み方がたくさんあるの?
普通は音読みと訓読みが1~2種類なのですが、中には読み方がたくさんあるものもあります。
例えば「生」。
生命(いのち)
生徒(せいと)
一生(いっしょう)
生きる(いきる)
生かす(いかす)
生まれる(うまれる)
生える(はえる)
生い茂る(おいしげる)
生蕎麦(きそば)
生ビール(なまビール)・・・
これも中国から漢字が伝わったときに、「せっかくだから似たような意味のものは一緒にしちゃおう」と考えた結果です。
「生」は「生まれる」だから「生まれた後」もOKにしよう!
生きる 生かす
「生」は「生まれる」だから「生まれたばかりな新鮮な状態」もOKにしよう!
生(なま) 生(き)そば
「生」は「生まれる」だから「新しく出て来る」もOKにしよう!
生える 生やす
「生」は「生まれる」だから「少ないものが増える」もOKにしよう!
生い茂る
ということで一つの漢字にたくさんの読み方ができたわけです。
「着」もそうですね。
「着く」も「着る」も「近づいて触れる」と意味で共通しています。
ちなみに音読みにも複数の読み方があるものがあります。
例えば月は音読みだけで「げつ」「がつ」の2種類、行は「こう」「ぎょう」の2種類があります。
これは伝わった時代が違うからです。呉の時代と唐の時代では中国語の発音も変化していたんですね。
3 どんな時に音読み?どんな時に訓読み?
<音読み>
基本的に熟語(漢字2文字の言葉)は音読みです。
上下(じょうげ)
先生(せんせい)
後ろが「する」の場合も音読みです。
勉強する(べんきょう‐する)
帰宅する(きたく‐する)
<訓読み>
前が「の」なら「訓読み」です。
机の中(なか)
家の外(いえのそと)
1文字だけも「訓読み」です。
「そこにいるの誰(だれ)?」
「私(わたし)」
動詞・い形容詞の場合、後ろに送り仮名があれば「訓読み」です。
高い(たかい)
動く(うごく)
4 読み方で意味が変わる言葉
また面倒くさいことに読み方が変わると意味も変わる言葉もあります。
<中>
箱の中(なか) =中
一日中(じゅう)=一日全部 (時間)+中=全部
勉強中(ちゅう)=~しているところ (状態)+中=現在進行中
<上>
仕事上(じょう)、お教えできません。=~の関係があるので
ご準備の上で、お越しください=~した後で
<下>
部長の下(もと)で勉強できて幸せです。~のところ
この状況下(か)では難しいです=~の場合
<一日>
「一日」ついたち
「一日」いちにち
「一日」いっぴ
<何年>
「何年(なんねん)生まれですか?」
「何年(なにどし)生まれですか?」
4 基本的には以上なのですが、でも・・・
でも実は例外もとっても多いんです。
漢字二文字なのに訓読み
毎日(まいにち)
毎月(まいつき)
特殊な読み方
昨日(きのう)
今日(きょう)
同音異義語はわざと違う読み方をする
私立(しりつ→わたくしりつ)
市立(しりつ→いちりつ)
科学(かがく)
化学(かがく→ばけがく)
聞き間違えないようにわざと別の言い方をする
四月(しがつ→よんがつ)
二月(にがつ)と間違えないように(ビジネスでよく使う言い方)
日本人はどうやって覚えているのかというと、ひたすら暗記です(涙)。
学校では毎週漢字テストがあるので、泣く泣く覚えます。
自分たちも苦労しているので、外国人が音読みと訓読みを間違えてもそんなに気にしません。
不安だったら「なんて読むんですか?」と聞いてください。