ときどき「日本語」ときどき「中国語」

日本語と中国語を勉強したい方向けに、コツをまとめてみました。

【文法】「行きますか」と「行くんですか」はどっちが正しい?

2023-06-20 17:18:54 | 日本語文法

初級の教科書を見ると「どこに行きますか?」と書いてあると思いますが、これを使ってる日本人に会ったことありますか?

もちろん意味はわかりますが、これこそ「ザ・外国人」の話し方ベスト3のうちの一つです。

 

ちなみに残りの2つは「大丈夫と思います」と「書いてお願いします」なのですが、それはまた別の機会にご説明しますね。

 

「どこに行くんですか?」

「何を食べたんですか?」

 

日本人は相手に対して「知りたい!!」という気持ちがある時は「~んですか」という言い方になります。

「どこに行きますか?」は「興味がある」ではなく「もう既に決まっている客観的なこと」を質問するときの言い方です。

「この電車はどこに行きますか?」

「原始人は何を食べていましたか?」

のような感じですね。

まあ原始人について超知りたい!!という場合は「何を食べていたんですか?!」でももちろんOKです。

 

そして「あなたに知ってほしい」「あなたにわかってほしい」と言う場合も「~んです」を使います。

 

「実は私は宇宙人なんです」

「すみません、今日は用事があるんです」

 

「すみません、今日は用事があります」だと「ただ決定事項を話している」だけなのですごく冷たく感じます。

 

「私は日本人です」=事実を述べている

「私は日本人なんです」=私は中国人じゃなくて日本人なんだってば!わかって!

 

日本人はこの2つを使い分けて、それが「知りたい!」なのか「わかってほしい」なのか「ただの報告」なのか「ただの質問」なのかを相手に伝えています。

 

間違えても意味は通じるのでそんなに心配することはありませんが、日本人にとっては「相手の気持ちがわかる」話し方はすごく重要です。

 

では下の例文、どこがいけないかわかりますか?

 

「どうして今日遅刻しましたか?」

「電車が遅れたんです」

 

「どうして」「どうやって」などの疑問詞があるってことは「知りたい」から聞いているんでうしょね。

なのに「~んです」を使わないのはすごく矛盾していて変です。

 

そして「電車が遅れたんです」ですが、ここは自分の非を認めるべきなので「わかってほしい」を前面に押し出すとすっごく図々しい感じがします。ここは客観的+私も残念に思っている、の表現を使うのが自然です。

 

「どうして今日遅刻したんですか?」

「すみません、電車が遅れてしまいました」


なんで日本人は天気の話が好きなの?

2023-06-15 15:33:22 | 日本語文法

結論から言うと、日本人は特に天気の話は好きではありません。

じゃあどうしていつも天気の話をするのかというと、日本には「雑談文化」があるからです。

雑談をすることで、相手は「敵」から「味方」へと変わります。

 

「最近、どうですか?」

日本人がよく聞く質問ですが、本気で興味があるわけではありません。

「私はあなたと仲良くなりたいです」と言っているだけです。

なので英語や中国語のように「いいです」と返すのは絶対にダメです。

話が終わってしまうので「私はあなたと話したくない」という意味になってしまいます。

でも「最近どう」と聞かれても毎日それほど変化はないですよね。

そこで出てくるのが「天気の話題」です。

個人的なことは失礼になることも多いし、政治や宗教だとかえって仲が悪くなることもありますが、天気ならまったく問題ないです。

 

だから日本人はひたすら

「暑くなりましたね」

「寒くなりましたね」

「今日はいい天気ですね」

とわかりきったことを言います。

 

これは相手に「そうですね」と言わせるためです。

なので否定してはいけません。

もし「去年の方がもっと暑かったです」と言いたい場合でも、まずは「そうですね」と言います。

そしてできるのなら、

「そうですね、でも去年に比べたらまだマシですね」

のように肯定的に返すと喜ばれます。

 

日本人の雑談文化が生まれた理由には諸説あります。

・欧米のようなハグの文化がないので、親しくなるために会話が必要

・昔日本は村社会で、村の全員が知り合いだった。知らない人が自分の周囲にいると不安なので話をして知り合いにする。

 

仕事でもレッスンでも、とにかく最初は雑談から入ります。

雑談をしないままだといつまでも距離が縮まりません。

「私は距離を縮めなくていい!」と言う人もいると思いますが、

仕事で失敗したときの印象が全然違います。

 

距離が遠いまま「有能だと思っていたのに、迷惑をかけられた」

距離が近い「有能だと思っていたのに、可愛いところもあるんだ」

 

なので親しくなっておいて絶対損はありません。


なんで日本人は「自動詞」と「他動詞」にこだわるの?

2023-05-31 22:53:10 | 日本語文法

 

自動詞と他動詞、実は日本人にとってはすごーく重要な問題なんです。

 

財布が落ちました(状況)

財布を落としました(誰かの行動)

 

この違いは、ずばり「責任」があるかないかです。

 

財布が落ちました(ただ状況を説明しているだけ。誰も悪くない)

財布を落としました(私の責任、私が悪い)

 

ではなぜ日本人は「責任」にこだわるのでしょうか?

これを理解するには日本の歴史を知る必要があります。

 

江戸時代、幕府は農民や町民を「五人組」という制度で管理していました。

表向きは「助け合う」制度なのですが、実は一人が悪いことをしても全員が責任をとることになる「連帯責任制度」なんです。

だからうかつに「私がやった」なんてことは言えないんです。

もし言ったら全員が責任を取らされる上に、言った人は村八分にされます。

村八分とは周囲の人が誰も関わってくれないという今のいじめのようなものです。

当時は人の移動が禁じられていたため、村八分はそのまま死を意味していました。

そこで日本では「責任」と関係ない「自動詞」、つまり状況を説明するだけの言葉が進化したんです。

 

日本人が他動詞を使うのは「私がやる」「私の責任」「私の過失」と強く言いたい時だけです。

 

<お詫びをする・謝る>

「すみません、書類をなくしてしまいました」=自分が悪いことを認めている

 

<私が行動する>

「今、ドアを開けますね」

「ここに本を置いておきます」

 

<相手が行動する>

「間違っているところを直してください」

「電話をかけてくれてありがとう」

 

自動詞の場合は「ただの状況説明」となります。

「書類がなくなった」

「ドアが開いている」

「本が置いてある」

「間違っているところが直った」

「電話がかかってきた」

 

なので「間違える」「失くす」などのネガティブな言葉の時は要注意です。

 

「この書類、間違えています」(他動詞)=書類を作った人の責任だと責めている

「この書類、間違っています」(自動詞)=書類が間違っていることだけを伝えている

 

「本をなくしました」(他動詞)=私が悪いと言っている

「本がなくなりました」(自動詞)=本がなくなった事実を伝えている

 

そのつもりがなくても、「他動詞」を使うと相手を責める言い方になる時があるので気をつけましょう。

逆に自分に責任があるのに「自動詞」を使うと無責任な感じになる時もあります。


【助詞】「を」は意志!

2023-05-26 00:03:50 | 日本語文法

「を」は他動詞、つまり自分の意志でやるときは「を」を使います。

 

映画を見る

ご飯を食べる

全部自分の意志の行動ですよね。

 

窓の外( )見る

窓の外( )見える

 

さあ、ここに入る助詞はなんでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

窓の外(を)見る

窓の外(が)見える

 

日本人にとって自分の意志があるかどうかはとても重要なんです。

「事実」よりも「責任があるかどうか」がポイントです。

この考え方を理解しておくと、自動詞・他動詞も理解しやすくなります。

 

では次の問題。

 

試験( )受ける

試験( )合格する

 

これはどうでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

試験を受けるのは自分の意志ですが、合格するかどうかを決めるのは他人。

自分の意志ではありません。なので、

 

試験(を)受ける

試験(に)合格する

 

となります。

 

ではこのニュアンスの違いはわかりますか?

 

あなたが好き

あなたを好き

 

聞いた時、どっちが嬉しいと思います?

 

あなたが好き(自分ではどうしようもない)

あなたを好き(ちょっと自分の意志が入る)

感情に関しては「意志」がない方がうれしいですね。

「がんばって好きになる」というのはちょっと悲しいです。


「が」は「前提」!「は」は「主題」!

2023-05-17 11:42:49 | 日本語文法

「は」と「が」の使い方って外国人が一番悩むところだと思います。

 

「机があります」

「机はあります」

 

どこが違うの?って感じですよね。

文法の本を見てもいくつも説明が書いてあるし。

 

でも「は」と「が」もそれぞれのイメージを掴んでしまえば、理解するのはそれほど難しくありません。

 

まずは「は」

これは単純です。

今から話したいこと、この文の主題を示します。

「わたしは」まで聞いたら日本人はみんな「今から私についての話が始まる!」と思います。

「今日は」=今日の話が始まる

「コロナは」=コロナについての話が始まる

 

では「が」です。

実はこれ、主題が始まる前の「状況説明」なんです。

 

「つくえがあります」

この文を聞いたら日本人は「この後に言いたい事が始まる」と感じます。

「いすはありません」とか「つくえの色は黒です」とか。

あくまで主題が始まる前の前提条件です。

 

私が小さい頃、この街はとても栄えていました。

私は小さい頃、結構可愛かったんですよ。

私についての話ではない場合、助詞は「が」、私についての話なら助詞は「は」です。

 

そしてとてもよく使うフレーズ。

「私がやります」

について説明しますね。

 

これも「が」なので状況説明なんです。

「私がやります」

=だから「あなたはやらなくてもいい」

本当に言いたいことは「あなたはやらなくてもいい」、この部分なんです。

今は「私がやる」という状況ですよ!と言っているわけです。

 

では次は「は」が二つある文について説明しましょう。

 

「は」は主題なので言いたいことが二つある場合は「は」も二つになります。

私はいちごが好きです

言いたいこと:私の嗜好について

 

私はいちごは好きです

言いたいこと①:私の嗜好について

言いたいこと②:いちごについて

いちごを「本題」として取り上げているので、選ばれなかった他の果物と比べることになります。つまり「対比」ですね。

 

私はいちごは好きです=他の果物は嫌いです

 

 

私は犬を飼っています。

私は犬は飼っています。

これも同じです。

言いたいこと①:私の生活について

言いたいこと②:犬について

 

犬も「本題」なので、選ばれなかった他の動物と比べることになります。

私は犬は飼っています­=他の動物は飼っていません