”水槽式”のアユの人工孵化事業が本格運用になった初年度。どのような方法で人工孵化が行われているのか、という資料です。
岐阜県ではこの方法で使用する装置を「付着沈性卵用孵化装置」と呼んでいる。この方法は、参考に添付した「芦ノ湖方式」というワカサギを目的とした方法と同様な方式によるものだと思われる。
この方式については、すでに30年くらい前から企業により開発されていた。おそらく、特許もすでに切れているだろうね。
岐阜新聞WRB
「卵からかえってそのまま長良川へ 鮎の人工ふ化の最先端 研修を取材」
「 長良川の鮎の個体数を支える、鮎の人工ふ化放流。最新の知見をもとに行われた研修を取材した。独特の方法で卵の粘着質を取り除き、屋内の人工ふ化装置でかえった鮎は長良川に泳ぎだす。長年の研究成果が盛り込まれている。」
https://www.fish.rd.pref.gifu.lg.jp/kohoshi/pdf/44-2011.pdf
「ふ化装置への収容は、下記のような手順となります。
通常の人工授精と同じように、雄と雌のアユから、採卵/
採精を行います。搾り出した卵と精子は、プラスティッ
ク容器などに入れて、河口堰まで運びます。河口堰では、
通常どおり受精作業を行います。この後、シュロにつけ
る作業があるのですが、シュロには付けず、陶土を用い
て、受精卵表面の粘着性を除去します。具体的には約20%
の陶土溶液と受精卵を、簡易洗濯機で15分ほど攪拌しま
す。この作業で、卵表面の粘着性、つまり反転膜を除去
します。この処理を経ることで、卵同士がくっつくこと
や、装置表面への付着を防止します。粘着性を除去した
受精卵は、速やかにふ化装置へ収容します。以後、ふ化
装置に収容した卵の管理は、適度な水量で管理すること、
発眼まで水カビ防止剤による処理を行うだけの作業とな
ります。」
ワカサギ「芦ノ湖方式」で増…約20年前捕獲の親魚が水槽内で自然産卵、受精卵を稚魚にして放流
「芦ノ湖方式では
〈1〉ワカサギ親魚を定置網などで捕獲する
〈2〉大きな水槽に入れ、フタをして暗くして約20時間置く。この間に自然に産卵、受精する
〈3〉受精卵を集め、粘着性を取ってからふ化棟に移す(粘着性が残ると卵同士がくっついて酸素が行き渡らずふ化しない)
〈4〉ふ化した稚魚を湖に放す。自然産卵のため親魚は弱りにくいので、元気であればまた湖に戻す。弱ったものは加工品の原料としている。
ただ、芦ノ湖方式も初めから現在の工程になったわけではない。初期は親魚の腹を指で押して卵を出して受精させていた。「初期は40%前後。自然産卵の現在は約90%」と、ふ化率は飛躍的に高まっている。
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