シラスウナギ漁が歴史的な不漁だ。その原因について考えてみた。日本そして東アジアからのウナギのすむ川が無くなってきているのでは無いのか?その原因は、いろいろあるだろうが、日本の研究者は、なぜか、そもそも、シラスウナギが川を遡上しているか否か?その議論をしないのだ。ということで、問題作を提示します。
今期のシラスウナギ漁は「歴史的な不漁」だという。2013年に過去最低を記録して当時は大きな騒ぎになった。とこが、翌年から4年間、漁獲量が回復したことから、危機感はすっかり薄れてしまった。なにごとにつけ、私たちは忘れっぽい国民だ。
ウナギと言えば、現在では養殖のウナギを指すことが普通だ。養殖ウナギが天然ウナギの漁獲高に並んだのが、昭和の初め頃。戦時の中断を経て、養殖ウナギ生産量は増加し、89年、約四万トンと最大となり、1994年以降減少して三万トンを越えることはない。養殖ウナギといえども、天然ウナギが産卵して、卵からかえったシラスウナギを捕獲して、養殖池で飼育することで生産されている。その天然ウナギの漁獲高といえば、1975年、2202トンを記録して以来減少、2015年には100トンを割り込んだ。
95年の初春、長良川漁協は初めてシラスウナギ漁を行った。下流の漁協が漁の許可を取ったので、自分たちも許可をとったという。長良川漁協の漁区は河口から約三五キロ。シラスウナギ漁は通常河口域や、海浜で行うから、かなりの上流だが漁獲量は多かった。喜んだ長良川の漁師たちは、翌年、同じ場所、方法でシラスウナギ漁をしたが、シラスウナギは、全く捕れず漁期は終わった。95年7月からは河口堰の本格運用が開始されていた。96年の初春は、長良川河口堰が閉じられて、初めて迎えたシラスウナギ遡上の季節だった。
天然ウナギ、シラスウナギの漁獲量を回復するために、各省庁、漁業者は連携して、漁獲規制、河川内の生息場造り、親ウナギの禁漁などの対策が始まってはいるのだが、そもそも、シラスウナギは川を上っているのか。
各地で建設された河口堰などの影響は、想定を越えて大きかったのではなかったのか。一年で終わってしまった長良川のシラスウナギ漁がそう教えている、