淀川２ダム中止 京都は評価、滋賀抗議

カネを出す方は中止、もらう方は継続。ダムはカネ

国の撤退方針評価　京都府知事

京都府の山田啓二知事は１日の６月定例府議会一般質問で、国土交通省近畿地方整備局が大戸川ダム（大津市）の事実上の建設中止と丹生ダム（滋賀県余呉町）の規模縮小の方針を明らかにしたことについて、「将来の負担を軽減する観点から、一部撤退を要望してきた府の考え方に配慮した形になっている」と評価した。

　山田知事は昨年１１月、水需要予測の下方修正に基づき、淀川水系での府営水道の水利権について毎秒０・３立方メートル分を放棄する方針を表明していた。

　府は当初の計画で、大戸川ダムにより毎秒０・１立方メートル、丹生ダムで同０・２立方メートルの水利権を確保することになっていた。

　府は１９７８年度以降、これまでに両ダムの建設や周辺整備事業の負担金として約７０億円を支出している。

　２００５年度の府当初予算では、水利権放棄の方針を踏まえ、大戸川ダムの利水に関する建設負担金の計上を見送った。

　山田知事は答弁で「近畿地方整備局は今回の方針を踏まえ、関係府県と具体的な事業の今後の進め方について協議をしながら最終の決定へ進むことになる」との見方を示した。

京都新聞　京都版　20050702

２ダム建設中止など方針撤回へ抗議
大戸川ダム（大津市）の事実上の建設中止と丹生ダム（余呉町）の規模縮小方針を国土交通省が打ち出したのを受け、国松善次知事や地元の首長ら約３０人が５日、大阪市の近畿地方整備局を訪れ、方針撤回を求める一方、「地元の意見を聞かずに一方的に方針を発表したのは納得できない」と抗議した。

　訪れたのは、大津市の佐藤賢助役や余呉など７町の町長、助役、県議ら。国松知事が冒頭、同整備局の藤本貴也局長ら４人に対し、「我慢なりません。淀川水系全体の長期的なビジョンの説明のないまま、ダムの方針のみを公表し、滋賀県の思いともかけ離れている」と抗議。丹生ダムは渇水対策や高時川などの瀬切れ対策を含め１億立法メートル規模のダムとする▽大戸川ダムを河川整備計画に位置づける－など４点を要望した。

　続いて、町長や県議らが「ダムを造ろうとする時は日参したのに、今回は地元に何の相談もないのはどういうことだ」「県民の命と財産を守ることを原点から考えて欲しい」と次々に再考を迫った。同整備局の担当者は「今回の方針は結論ではない。地元と調整していきたい」と説明した。

京都新聞　滋賀版　20050705