にそくにりん

自転車やバイクでのツーリング。ハイキングや登山。そのほかいろいろ。

田島を一周することに

2003年01月04日 | ウォーキング 登山
 
2003年1月4日

前夜までどこを歩こうか決められないまま朝になり、とりあえず出立の支度をする。ふと、内海大橋の景色が頭に浮かび田島を一周することに決める。

8時50分、内海大橋手前のパーキングに車を止めリュックを背負う。風はあまり強くはないがかなり寒い。今年初の歩きを祝ってくれるかのように雲の切れ間から太陽が顔を出す。

橋を渡ると左に道をとり、クレセントビーチ方面に。海岸線が入り込み時間が掛る割に景色は一向に変わらない。暑くなってきた、一枚脱ぎたいのだが風が強くなると急に寒くなりなかなかタイミングが取れない。クレセントビーチに着。
ずっと以前は阿伏兎海水浴場だったと思うが、暫く来ないうちに奇麗に整備された海水浴場が出来ている。自販機の温かいココアを飲み一服、フリースのセーターを一枚脱ぐ。風は強い。

 島の東端を回り込み南に向かう。視界は一気に広がりまるで外洋に出たかのような感じ。風向きも追い風から向かい風に変わる。
日は射しているのだが、頭上にまで雪雲がかぶさり小雪が舞う。寒風が毛糸の帽子を通して耳たぶを凍らす。阿伏兎観音や走島、北木島が見える。見る角度が変われば新鮮である。

釣り人が防波堤に取り付き糸を伸ばす。箱崎漁港では初荷のトラックが出発の準備を整えている。箱崎から道は上りになり断崖の上を真西に向かう。
西からの風は益々強くなり沖の方まで白波が立つ。打ち寄せる波は腹に響くほどの音を立てながら怒濤のごとく打ち寄せ、浜の小石を掻き攫う音はパリパリと聞こえまるで雷鳴のようである。
南に広がる備後灘には島が少なく、対岸はもう四国である。寒風の中梅木は蕾を少しずつ膨らませ春の準備を着々と進める。

沖の交差から小田地の浜に降りる。海辺りの道に出たとたん波しぶきの洗礼を受けてしまった。
満潮に近いのか三角波は路面とほぼ同じ高さで踊り、防波堤のない部分では波が路面を走る。波の引くタイミングにあわせ走り抜ける。眼鏡が潮で曇ってきた。唇も塩の味がする。恐怖感さえ沸いてくるこんな猛々しい表情の瀬戸を見るのは始めてである。

大畑から再び山に上る。ガードレール下の茂みの間に見え隠れする、白く泡立つ波が迫力である。細いアスファルトの道を淡々と歩く。
気がつけば波の音がいつのまにか風の音に変わっている。枯葉を巻き上げゴーゴーと山が鳴く。木の枝どうしがぶつかり合うコンコンという音が時おり響く。

昼も近くなりお腹がすいてきた。海を見下ろしおにぎりとワンカップで昼食。風に飛ばされないようにリュックの中に入れたり出したり大変である。
島陰がなければ昨年の5月自転車で行った島根半島の眺めと似ているかなと思いつつカップを傾ける。しかし汗ばんだ体は5分と経たないうちに冷えてきて、ゆっくりと休憩をしていられない。

峠を過ぎ下り道になる。風も少し弱くなったように感じるころ、道は北に向きを変え横島がすぐ隣に見える。横田港を望む眺めはギリシャ風でなかなかいい。エキゾチックなホテルや青い屋根瓦の家が雰囲気をかもす。

新陸橋を右に回るとまた風が強くなる。繋留してあるヨットの帆柱がメトロノームの振り子のように揺れている。見ているだけで船酔いしそうである。
大潮なのか潮位が高く海面が盛り上がって見える。白波が並びまるでイルカの大群が泳いでいるかのようである。
カモメが風に乗りゆっくりと目の前を過ぎ、防波堤にぶつかる波がバスドラムの音のようにドンドンと腹に響く。

内海大橋への掲示には、強風、二輪車、歩行者通行禁止と出ている。かといって渡らない訳にもいかず強行突破する。
橋の上に出るとなるほど強風である。足を踏ん張り蟹股で歩く。それでも突風によろけ腰をかがめる。怖くて路面だけを見ながら歩く。そうすると橋の揺れが余計に感じられ益々怖い。14時15分やっとの思いで橋を渡りきる。

寒くて、新鮮で、怖くて、楽しかった新春初歩行に大満足である。

        田島一周 24km
2003/01/07


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