土曜日、兄の見舞いに行くと、入り口で見知らぬおばちゃんが『えっ?土日は送迎バス

ないの?

』と何度も繰り返していた。いい加減相手の表情もかわりかけた頃、そのおばちゃんが観念した模様で『…そうかぁ

じゃぁ、誰か来てくれるか電話かけてくる

』と歩き出した。
電話をかけるおばちゃんを横目に私は兄の病室に行き、用事をすませ帰ろうと1階に降りたら、さっきのおばちゃんがまだ電話をかけていた

(まぁ5分ほどやけど

)
あまりにおばちゃんが可哀想になった私は
『おばちゃん、どこまで行くん?』と声をかけてみた。
おばちゃんは、私が月に一度の『天然会』をする友達の家へ向かうルート上に家があるようだったので、
『おばちゃん、ついでに乗っていってよ

これから友達の家へ行くついでやから

』と申し出ると、
おばちゃんは少女のように目をキラキラ

させて『いやぁ

いいん?ほんとに?助かるわぁ

』
と凄く喜んで頂きました
おばちゃんは車に乗るなり『おばちゃん、80なんよ

』と80には見えない活力と巧みな話術で話し出した

おばちゃんの

まで約20分。おばちゃんの半生が始まった

脳梗塞で倒れ、心筋梗塞でも倒れたが、家の前が医者なので処置が早く後遺症も出ずに元気にしてること、車にものれず、唯一単車に乗っていたが、ある日ご主人に運転している姿を見られ『危ないから、乗るな!』と単車を没収されたらしい。(どんな危なっかしい運転してたんやろ

)
買い物にはご主人と行ってたらしいけど、そのご主人が入院したらしい。
いつもは誰かが迎えに来てくれるらしいけど、その日は誰も捕まらなかったので、凄く感謝している

と言うことを教えてくれました。
そのおばちゃんの家では、和歌山の特産物の1つである柿を作っているらしく、『お礼に柿を渡すから、電話番号と名前を書いて

』と言うので『そんなん、ついでやったのに貰えやんわ

おばちゃん気持ちだけもらっとくよ

』と何度言っても引き下がってくれず、『日本一の柿やで

しかもっ、同じ柿でもトップクラスの柿なんよ

』と言うではないか
落ちた

落ちました
おばちゃんのパワーとトップクラスの柿に負けてしまい、電話番号と名前を書いた紙を渡してきました

なんて現金な私
おばちゃんは『一番美味しい柿が取れたら連絡するね

』と言ってくれましたが
『ありがとう

楽しみに待っとくわ

でも、おばちゃん忘れてしまってもいいからよ

ついでやったんやから

』と言っておばちゃんを

まで送り届けたのでした
かえって気を使わせたかもしれないなぁ
でも、自分の親も誰かにお世話になってるかもしれないですし、お互い様ですよね
なんとなく、1日いい気分でした