微妙

散乱する言の葉

天皇陛下の新年のご感想につゐて(青山繁晴氏の解説ほか)

2015年03月18日 21時02分28秒 | 皇室
天皇陛下が「満州事変」の話をされたのは、何も今回が初めてではないのに、普段は天皇、皇室なるものに対し無関心又は否定的な自称リベラリストから、さういふことを熟知してゐる筈の保守派まで騒いでゐるが、冷静になつてよく調べ、考へ直してみよう、といふ話。






スーパーニュース アンカー - Gガイド.テレビ王国

スーパーニュース アンカー
3/18 (水) 16:48 ~ 17:54 (66分)
関西テレビ(Ch.8)

番組概要
戦後70年“戦争の歴史を学び、今後の日本を考える"天皇陛下の新年ご感想真意は?青山が解説!

番組詳細
新アンカーマン岡安譲が全国と関西のニュースを「わかりやすく」「現場からの視点」にこだわって伝える大型ニュース番組です。5時台では、個性豊かなコメンテーターが独自取材に基づきニュースをじっくり解説。6時台では、全国ニュースと関西の地元に密着したニュース、徹底取材した特集を伝えます。スポーツコーナーでは、プロだけでなくアマチュアも取材。天気予報は、ユーモアたっぷりの気象予報士片平敦さんの解説です。

【キャスター】 (関西テレビアナウンサー)  岡安譲  村西利恵  堀田篤  中島めぐみ  【コメンテーター】 青山繁晴

【音楽】 PRECIOUS TIME 【演奏】 柏木広樹 【作曲】 葉加瀬太郎

【ホームページ】 http://www.ktv.co.jp/anchor/

青山繁晴氏の解説の詳細は他のまとめサイトなどで確認出来ると思ふので、私なりの要約。

天皇陛下が新年のご感想のなかで「満州事変」など具体的なキーワードを用ゐて戦争に触れられたのは、今回が初めてではない。
平成21年の鳩山政権、平成15年の小泉政権時でもさうだつたし、他にもある。
ほか、憲法第九十九条などから「天皇陛下は政治的発言はなさらない」ことを解説。
(注※それでも、池上彰氏ほか余計な憶測をする人もゐるし、一部の保守派は「サヨクや中韓に政治利用されるやうな発言をすること自体が問題!」と納得してゐないやうだが。)
岡安譲アナウンサーの
そのときの政府がどうであれ、さうではなくて、普遍的なお考へを述べられてゐるといふことですね。」
といふまとめもよかつたと思ふ。
皇太子殿下のお誕生日会見でのお言葉につゐて(「天皇陛下が仰られたことをキチンと受け止めてをられるのではないか」等)は、「返歌」的な発想でユニークではあるが、行動が伴はないままでは虚しいといふことと、青山氏の推測に過ぎないといふことで省略。
その他、記者時代に昭和天皇の側近から聞いた話から、青山氏自身は「昭和天皇におかれては、日米開戦に反対でゐらつしやつたことを確信」してゐるといふ話も(以下文字起こし)。
(昭和天皇は)「民主主義のアメリカやイギリスと闘ふなと。逆にヒットラーやムッソリーニのやうな成り上がりの独裁主義とは組むな」といふことをずつと念頭に置かれてゐた。
どうしてかといふと、日本は戦争に負ける前から民主主義に於ける立憲君主国だから。
その御意に逆らつてしまったのが先の戦争。

また、今上天皇の疎開中のお話もよかつたのだが、疲れてきたのでこの辺で。

番組内の「天皇家」(三島由紀夫も時々使つてゐた用語ではある)や「第126代天皇陛下」で拒絶反応を起こす人もゐるかもしれないといふのはさておき、とにかく、実例を挙げて天皇陛下のお言葉を「安倍政権への批判」と勝手に解釈するのはをかしい、と解説してゐる部分は評価できると思ふ。


以下資料。

おことば・記者会見 - 宮内庁

日本国憲法

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

天皇陛下のご感想(新年に当たり):平成27年 - 宮内庁

英文

 昨年は大雪や大雨,さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ,家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。

 また,東日本大震災からは4度目の冬になり,放射能汚染により,かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。昨今の状況を思う時,それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ,地域を守っていくことが,いかに重要かということを感じています。

 本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々,広島,長崎の原爆,東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に,満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び,今後の日本のあり方を考えていくことが,今,極めて大切なことだと思っています。

 この1年が,我が国の人々,そして世界の人々にとり,幸せな年となることを心より祈ります。

皇太子殿下お誕生日に際し(平成27年) - 宮内庁

会見年月日:平成27年2月20日
会見場所:東宮御所
皇太子殿下のお写真

問2 今年は戦後70年の節目の年です。戦争と平和への殿下のお考えをお聞かせください。先の大戦や戦没者慰霊については天皇,皇后両陛下からどのようにお聞きになり,愛子さまにはどう伝えられていますでしょうか。

皇太子殿下
先の大戦において日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ,多くの方々が苦しい,また,大変悲しい思いをされたことを大変痛ましく思います。広島や長崎での原爆投下,東京を始め各都市での爆撃,沖縄における地上戦などで多くの方々が亡くなりました。亡くなられた方々のことを決して忘れず,多くの犠牲の上に今日の日本が築かれてきたことを心に刻み,戦争の惨禍を再び繰り返すことのないよう過去の歴史に対する認識を深め,平和を愛する心を育んでいくことが大切ではないかと思います。そしてより良い日本をつくる努力を続け,それを次の世代に引き継いでいくことが重要であると感じています。
(略)
私自身,戦後生まれであり,戦争を体験しておりませんが,戦争の記憶が薄れようとしている今日,謙虚に過去を振り返るとともに,戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に,悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています。両陛下からは,愛子も先の大戦について直接お話を聞かせていただいておりますし,私も両陛下から伺ったことや自分自身が知っていることについて愛子に話をしております。

我が国は,戦争の惨禍を経て,戦後,日本国憲法を基礎として築き上げられ,平和と繁栄を享受しています。戦後70年を迎える本年が,日本の発展の礎を築いた人々の労苦に深く思いを致し,平和の尊さを心に刻み,平和への思いを新たにする機会になればと思っています。

天皇陛下ご即位二十年に際し(平成21年) - 宮内庁

<英文>
会見年月日:平成21年11月6日
会見場所:宮殿 石橋の間

在日外国報道協会代表質問
問3 両陛下にお伺いしたいと思います。陛下が即位なさったのは,いわゆるバブル経済のただ中でありましたが,この20年は日本にとって大変厳しい時となりました。ご存じのように高齢化が進み,人口が減少し始め,経済は不安定です。両陛下は,日本の将来に何かご心配をお持ちでしょうか。お考えをお聞かせください。

天皇陛下
 今,日本では高齢化が進み,経済が厳しい状況になっています。しかし,日本国民が過去に様々な困難を乗り越えて今日を築いてきたことを思い起こす時,人々が皆で英知を結集し,相携えて協力を進めることにより,日本が現在直面している困難も一つ一つ克服されることを願っております。

 私がむしろ心配なのは,次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです。昭和の時代は,非常に厳しい状況の下で始まりました。昭和3年,1928年昭和天皇の即位の礼が行われる前に起こったのが,張作霖爆殺事件でしたし,3年後には満州事変が起こり,先の大戦に至るまでの道のりが始まりました。第1次世界大戦のベルダンの古戦場を訪れ,戦場の悲惨な光景に接して平和の大切さを肝に銘じられた昭和天皇にとって誠に不本意な歴史であったのではないかと察しております。昭和の60有余年は私どもに様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って未来に備えることが大切と思います。

 平成も20年がたち,平成生まれの人々がスポーツや碁の世界などで活躍するようになりました。うれしいことです。いつの時代にも,心配や不安はありますが,若い人々の息吹をうれしく感じつつ,これからの日本を見守っていきたいと思います。

これなんて、スゴイ。
天皇陛下お誕生日に際し(平成15年) - 宮内庁

<英文>
会見年月日:平成15年12月18日
会見場所:宮殿 石橋の間

問4 歴代天皇の中で初めて「象徴天皇」として即位されてから15年がたとうとしています。この間,日本は超高齢化や少子化,犯罪の低年齢化,厳しい経済情勢など社会的な変化に直面しています。さらに国内外で平和の揺らぎを感じさせる出来事が後を絶ちません。陛下は平成の15年間をどのようにとらえ,また今後どのようなことに心を留めて務めを果たされたいとお考えか,皇族方に果たして欲しいと望まれていることも併せて,お聞かせください。

天皇陛下
 現在の日本はこのように様々な面で厳しい面がありますが,それを昭和元年から15年までの期間と比べるとき,平成の15年間は,自然災害には誠に厳しいものがありましたが,比較的平穏に過ぎた15年であったということをしみじみ感じます。この15年間を支えてきた人々に深い感謝の念を抱いています。

 昭和の15年間は誠に厳しい期間でした。日本はこの期間ほとんど断続的に中国と戦闘状態にありました。済南事件,張作霖爆殺事件,満州事変,上海事件,そして昭和12年から20年まで継続する戦争がありました。さらに昭和14年にはソビエト連邦軍との間にノモンハン事件が起こり,多くの犠牲者が出ました。国内では,五・一五事件や二・二六事件があり,また,五・一五事件により,短期間ではありましたが,大正年間から続いていた政党内閣も終わりを告げました。この15年間に首相,前首相,元首相,合わせて4人の命が奪われるという時代でした。その陰には,厳しい経済状況下での国民生活,冷害に苦しむ農村の姿がありました。そして戦死者の数も増えていきました。皇太子時代に第一次世界大戦のヴェルダンの戦場の跡を訪ねられ,平和の大切さを強く感じられた昭和天皇がどのような気持ちでこの時期を過ごしていらっしゃったのかと時々思うことがあります。私どもは皆でこのような過去の歴史を十分に理解し,世界の平和と人々の安寧のために努めていかなければならないと思います。

 皇族はそれぞれの立場で良識を持って国や人々のために力を尽くしていくことが大切と思います。

探検コム
より
昭和天皇実録に見るヨーロッパ旅行

6月25日、やはりフランスの激戦地ヴェルダンを視察。

《到るところに弾痕を留(とど)め、砲弾の破片、防毒マスク等がなお地上に残存する。付近に戦死者の遺族と思われる一婦人が、僧侶と共に柩(ひつぎ)を携え遺骨を収集する様子も一行の目に入る。
(中略)
 皇太子は戦跡御視察中、戦争というものは実に悲惨なものだ、との感想を漏らされた》

 7月7日には現地紙にこんな談話を寄せています。

《「破壊せられたる諸都市、荒廃したる諸森林、蹂躙(じゅうりん)せられたる田野の景は、戦争を讃美(さんび)し、暴力を謳歌(おうか)する者の眼には如何(いか)に映ず可(べ)きか」》

そもそも、天皇陛下は「いはゆる東京裁判史観や捏造歴史が正しい」などとは仰つてゐないのでは。
天皇陛下お誕生日に際し(平成8年) - 宮内庁

会見年月日:平成8年12月19日
会見場所:宮殿 石橋の間

問2 今年は,日本国憲法の公布からちょうど50年に当たります。日本国憲法が誕生した当時の思い出を含めて,あらためて陛下の憲法に対する思いをお聞かせ下さい。また今後,21世紀に向けて陛下は,過去の歴史認識をどのように踏まえていきたいとお考えでしょうか。

天皇陛下
過去の歴史を正しく認識することは,非常に大切なことと思います。いかなる歴史を正しいこととするかは考え方によって違うことがあると思いますが,常に公正に真実を求めていく努力を失ってはならないと思います。過去を顧みつつ,将来にわたって日本と世界の国々とが正しく進路を選択していきたいものと念願しています。

ところで、今上陛下の言葉やお姿に、しばしば昭和天皇に通じるものを感じてしまふのは私だけなのだらうか。

「朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ」

Wikipediaばかり使ふのも何だが一応。
「新年ニ当リ誓ヲ新ニシテ国運ヲ開カント欲ス国民ハ朕ト心ヲ一ニシテ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ」の詔書
(人間宣言という名称は当時のマスコミや出版社が付けたもので、当詔書内には「人間」、「宣言」という文言は一切ない。)

天皇皇后両陛下御結婚満50年に際して(平成21年) - 宮内庁

<英文>
会見年月日:平成21年4月8日
会見場所:宮殿 石橋の間

問1 両陛下にお尋ねいたします。ご成婚の日から50年の月日が流れ,高度成長期からバブル崩壊,いくつもの自然災害や景気悪化など,世相,人の価値観も大きく変わる中,両陛下も皇室に新しい風を吹き込まれてきました。皇太子同妃両殿下として,天皇皇后両陛下として夫婦二人三脚で歩んできたこの50年を振り返り,お二人で築きあげてきた時代にふさわしい新たな皇室のありよう,一方で守ってこられた皇室の伝統についてお聞かせいただくとともに,それを次世代にどう引き継いでいかれるのかもお聞かせください。

天皇陛下
 時代にふさわしい新たな皇室のありようについての質問ですが,私は即位以来,昭和天皇を始め,過去の天皇の歩んできた道に度々に思いを致し,また,日本国憲法にある「天皇は,日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であるという規定に心を致しつつ,国民の期待にこたえられるよう願ってきました。象徴とはどうあるべきかということはいつも私の念頭を離れず,その望ましい在り方を求めて今日に至っています。なお大日本帝国憲法下の天皇の在り方と日本国憲法下の天皇の在り方を比べれば,日本国憲法下の天皇の在り方の方が天皇の長い歴史で見た場合,伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います

皇后陛下の「A級戦犯」も、私は文脈上、又は文学的にあれでよいと思ふ。
文学的素養に欠け過ぎた人には理解し難いだけなのではないか。
(しかし、上品であるべき皇后が「自分の知識や教養をひけらかすのはけしからん」「粉屋の娘はこれだから」などといふ昭和の女妖怪的または小姑的批判に対して一々反論するのもいい加減虚しくなつてきた。)

産経ばかり読んでゐると頭に血が上りさうで何だかなあ。
【昭和天皇実録を読む】検索結果 - 産経ニュース

最後に。
このときなどもだが、あまりにも執拗な質問をする記者にはウンザリだ。
天皇陛下お誕生日に際し(平成2年) - 宮内庁

皇室メモ4(満州事変ほか) - 微妙


追記。
政治的な思想は異なれども、な二人。
女性自身|最新号|雑誌|光文社

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美輪明宏が出す憲法改正の条件「9条を変えたいなら…」( 美輪明宏) - 女性自身[光文社女性週刊誌]


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