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櫻坂46、“個の確立”を強く打ち出した4周年ライブ 現在のフェーズで結果を残し、限界を超えた2日間

2024年12月03日 23時00分00秒 | 櫻坂46
こ~んばん~わ





 櫻坂46の周年ライブ『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』が11月23日&24日、千葉・ZOZOマリンスタジアムにて開催された。昨年に引き続き同会場で行われ、両日合わせて約7万2000人というZOZOマリンスタジアム史上最大動員数を記録。特に今回は、開催前から「チケットがまったく取れない」という声を多方面から耳にしており、昨年以上のチケット争奪戦が繰り広げられたことは想像に難しくない。



 事実、2024年に入ってからの櫻坂46のライブ人気は高まる一方で、春の『4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?』やその追加公演として東京ドームで行われた2DAYS公演『4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム』に対する反響は、昨年以上だったと実感している。また、セールス的にも6月リリースの9thシングル『自業自得』は過去最大の売り上げを記録し、続く10月発売の10thシングル『I want tomorrow to come』もそれに匹敵するセールスを打ち出したばかり。最近では韓国や香港での音楽フェスにも出演するなど、国内のみならずグローバルな活躍ぶりを見せている。





 そんな彼女たちの4周年ライブ。筆者には“個の確立”を強く打ち出したステージだったと感じられた。もちろん、活動歴の長い一期生や二期生の多くはすでに各々の個性を手にしているだろうが、ここにおいて特筆したいのは2023年初頭にグループに加入した三期生について。同年11~12月に初の期別単独公演『新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za』で着実に実力を付け始め、2024年に入ると『自業自得』や『I want tomorrow to come』といったシングル表題曲で山下瞳月がセンターに抜擢されたほか、多くの三期生が選抜メンバーに選出。また、2024年1月から再開された『BACKS LIVE!!』に初めて三期生が参加するようになり、ライブ経験を着実に重ね始めたほか、石森璃花や村井優がBACKS楽曲センターや『BACKS LIVE!!』座長にも就任し、活躍の場を増やしている。







 その一方で、毎シングル収録されている三期生楽曲では村山美羽(「何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう」)、向井純葉(「引きこもる時間はない」)、遠藤理子(「本質的なこと」)がそれぞれ初センターに選ばれ、個性を発揮。今年9~10月には東京と大阪でのアリーナ公演『櫻坂46 三期生ライブ』も行われ、大盛況ぶりを見せたばかりだ。同公演を観ても感じたが、もはや三期生の誰がセンターに選ばれても不思議ではないほどに個々が実力と個性を身に付け、櫻坂46にとって欠かせない戦力にまで成長したのだ。







 2023年の『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』は、初代キャプテン・菅井友香の卒業(2022年11月)や2022年末の『NHK紅白歌合戦』落選などを経て、新しい戦力となる三期生を迎えて再出発を図っていた最中。グループとしての一体感や突破力を強化していく過程でのひとつの集大成であると同時に、グループとしての多様性を含むオリジナリティを確立させる上で、その時点での“答え”を提示したステージだったと筆者は捉えている。そこを踏まえて、今年の『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』はさらにこの2点を強化させつつ、三期生が一人前のメンバーとして一期生や二期生と肩を並べたことを証明するための、重要な2公演にしたかったのではないだろうか。今年8月から始まった四期生オーディションの結果発表も控えている中だからこそ、その前に現在のフェーズとして“結果”を提示しておくことは、絶対に必要なことなのだ。







 昨年はDAY1に土生瑞穂の卒業セレモニーをフィーチャーするなど、2公演で異なる演出やフォーメーションが用意されたが、今年は2公演を通じて一部日替わり曲は用意されたが、大まかな流れは一緒。DAY1では客電がついたままの状態で、メンバーがステージ上のみならず客席からも次々に登場するオープニングなど昨年の公演を踏襲する演出を交えつつ、不吉の前兆のような赤い月に導かれるようにスタートした「嵐の前、世界の終わり」でガラリと空気感を変え、「何歳の頃に戻りたいのか?」「BAN」でギアを上げていく緩急に富んだ構成は、もはや櫻坂46ならではと言えるもの。





 これに加え、オンラインミニライブを除けばライブ初披露である「縁起担ぎ」や「イザベルについて」といったユニット曲、前述の赤い月と対照的な演出を見せる「ブルームーンキス」、久しぶりの披露となった初期楽曲「最終の地下鉄に乗って」、そして今年のライブを通して“鉄板曲”へと育った「マンホールの蓋の上」やフェスなどを通じてその“鉄板曲”へ仲間入りし始めている「もう一曲 欲しいのかい?」、さらに「承認欲求」「自業自得」を経てクライマックスで披露される新曲「I want tomorrow to come」と、初日だけでも見どころ満載で、これまでの櫻坂46のライブと比較しても非常に高水準なクオリティだった。当の三期生も、向井センターの「引きこもる時間はない」や小島凪紗センターの「マモリビト」といった期別曲や、シングル表題曲やカップリング曲で先輩メンバーに負けず劣らずの存在感を発揮していた。



 ところが、DAY2ではメンバーが放つ気迫や熱量がDAY1とは大きく違い、両公演を観覧した筆者の目にはまるで異なる内容の2公演のように映った。もちろんこれは、決してDAY1がDAY2に劣っていたという意味ではない。『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』や『4th ARENA TOUR 2024 新・櫻前線 -Go on back?- IN 東京ドーム』という伝説に残るステージを経験してきた彼女たちだからこそ、『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』DAY1を終えたことで「もっと上を目指せる」「まだまだやれる」という意識が芽生えた結果が、DAY2で見せた破壊力だったのではないだろうか。と同時に、さまざまな経験を通じて急成長し続ける三期生の姿が、先輩たちの心に火をつけたという想像もできなくはない。



 DAY2も序盤は前日と同じ構成で進行したが、オープニングの「ドローン旋回中」&「Anthem time」マッシュアップメドレーから空気を一変させる「嵐の前、世界の終わり」でのセンター・山下の気迫は前日以上のものがあったし、それに続く「何歳の頃に戻りたいのか?」で放つ山﨑天のオーラ、「BAN」で見せる森田ひかるの誇り高き佇まいは、DAY1を凌駕するものがあった。かと思えば、「一瞬の馬」では藤吉夏鈴が温かみやしなやかさを伴う動きや表情で観客を惹きつけ、ライブ初披露となる「本質的なこと」では初めてセンターを担う遠藤理子が堂々としたパフォーマンスと憂いに満ちた表情で、唯一無二の世界観を構築する。特に遠藤に関しては加入当初、ダンスの面でほかの同期より悪目立ちしてしまう場面もあったが、『BACKS LIVE!!』などで積み重ねた経験がいい方向に作用し、今やほかのメンバーにはない魅力を持つ個性的な存在にまで成長したことがこの曲からは窺えた。









 「TOKYO SNOW」は繊細さが強調された山下による冒頭ポエトリーパートから、徐々に温かみを強めながらドラマチックに展開していく。雪を彷彿とさせるような、観客による白のペンライトも曲の世界観を作り上げる大切な要素として作用。今後、この季節に行われるライブで欠かせない1曲になりそうだ。その美しい世界観を名曲「桜月」が引き継ぐと、披露するたびに表現力や説得力が増し続けている守屋麗奈の華麗なパフォーマンスとともに、会場が満開の桜(=桜色のペンライト)で埋め尽くされていく。



 また、前日はMCとアンコールのみの出演だった小田倉麗奈が、ユニット曲「標識」で本格的にライブ参加。怪我のため10thシングル活動期間を休養中だった彼女だが、こうしてパフォーマンスに参加できたことは次に繋げるための大切な一歩となったことだろう。昨年の同会場でのライブでも、当時休養中だった遠藤光莉がステージ復帰を果たしたり、同じく休養中だった小池美波が一部参加したが、こうした“誰ひとり置いていかず、一緒に手を繋いで前へ進む”姿勢も実に櫻坂46らしい。



 松田と井上梨名のオリジナルメンバーで披露されるのも久しぶりだった「On my way」や、本ライブが初パフォーマンスとなった「今さらSuddenly」といった選曲、そのあとに「ブルームーンキス」「思ったよりも寂しくない」「最終の地下鉄に乗って」といったムーディーな楽曲が並ぶのも、今年の『アニラ』の特徴と言える。序盤の「何歳の頃に戻りたいのか?」や「BAN」以外は、後半戦まで彼女たちらしい激しく攻めるダンスナンバーは控えめで、どちらかといえば柔らかさが伝わる楽曲が多く用意された印象が強い。



 
しかし、そうしたナンバーを通じて伝わったメンバーの“個”も確実に存在しており、今回のような緩急の付け方ができるようになったことで櫻坂46のメンバー層の厚みを今まで以上に実感することもできた。そう考えると、昨年の『アニラ』で提示された“グループとしての多様性を含むオリジナリティを確立させる”という課題もついに今年でひとつ結果を打ち出すことができたのではないだろうか。

 だからこそ、「Start over!」から始まる攻めの後半戦はより強く響くものがあった。DAY1の時点から強烈な構成だと感じていたが、DAY2は前日以上の気迫が加わり、観ている側も息をするのを忘れそうになるほど見入ってしまう瞬間が多々あった。「Start over!」ではかつて土生が担った支柱的役割を村山が担い、小林由依のパートに村井が入ることで、初期のオリジナルに近いフォーメーションで展開。そこから昨年の『アニラ』を踏襲する演出の「静寂の暴力」へと繋ぐという、動と静の対比が際立つ並びも実に櫻坂46らしい。





 そして、「マンホールの蓋の上」以降の怒涛の畳み掛けは圧巻の一言で、本編ラストを飾る異端の1曲「I want tomorrow to come」で櫻坂46が作り上げるひとつの物語は幕を下ろす。もはや音楽ライブの域を超え、1本の映画か演劇作品かと錯覚するような激怒の2時間強は、櫻坂46だからこその個性だと断言したい。



 この完成された物語があるからこそ、アンコールの「Buddies」や「櫻坂の詩」ではホッとした空間を心の底から満喫することができる。これは観る側のみならず、演者側も同様なのだろう。ライブ本編以上にリラックスした笑みを浮かべるメンバー、観客の声援に涙するメンバーなど、彼女たちが素に戻る瞬間も多々目撃でき、MCでは本編ラストの「I want tomorrow to come」で圧倒的なパフォーマンスを見せたセンター山下が、緊張の糸が切れたかのように涙をこぼす場面もあった。プロとしてステージに立つ者と、等身大の少女としての姿、その両方を目にすることで、我々は櫻坂46という存在にどんどん惹きつけられていくのだと、この日改めて実感することができたのも筆者にとっては大きな収穫だ。



 2024年は前年以上にライブの数が多かった櫻坂46だが、それがすべていい方向に作用し、迷いのなさを見せつけたのが『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』だった。ある種、ウィニングランのような2日間を経て、グループはスピードを緩めることなく、まだまだ前進を続けていく。充実の1年を経て、また新たなフェーズへと突入するであろう2025年はどんなトピックで我々を楽しませてくれるのだろう。奇しくも2025年は櫻坂46の5周年であると同時に、前進グループ・欅坂46の結成10周年という大きな節目を迎える。そんなタイミングだからこそ、我々の想像を遥かに超えるような活動で楽しませ、あるいは驚かせ続けてくれることを願ってやまない。






■櫻坂46『4th YEAR ANNIVERSARY LIVE』
2024年11月24日(日)@ZOZOマリンスタジアム
<セットリスト>
M0.Overture
M1.ドローン旋回中・Anthem time
M2.嵐の前、世界の終わり
M3.何歳の頃に戻りたいのか?
M4.BAN
M5.一瞬の馬
M6.本質的なこと
M7.TOKYO SNOW
M8.桜月
M9.標識
M10.On my way
M11.今さらSuddenly
M12.ブルームーンキス
M13.思ったよりも寂しくない
M14.最終の地下鉄に乗って
M15.Start over!
M16.静寂の暴力
M17.マンホールの蓋の上
M18.もう一曲 欲しいのかい?
M19.承認欲求
M20.自業自得
M21.I want tomorrow to come
EN1 Buddies
EN2 櫻坂の詩

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