こ〜んにち〜わ
乃木坂46の『乃木坂46 真夏の全国ツアー2023』が、8月28日に明治神宮野球場でツアーファイナルを迎えた。グループとしても初となる4日間連続での神宮公演を含めた今年のツアーは、1期生、2期生が卒業し、3期生、4期生、5期生のみで初めて全国を巡る乃木坂46としても大きな転換点だった。最終日、最後のMCでキャプテンの梅澤美波が涙ながらに表明した「私たちが乃木坂46です!」という言葉は、このツアーで積み重ねてきた自信と覚悟を象徴した、グループ史に刻まれる名言である。
乃木坂46『人は夢を二度見る』
今回のツアーで座長を務めたのは、5期生の井上和。乃木坂46では夏シングルでセンターを務めるメンバーが代々グループの先頭を切るのが習わしにあり、「太陽ノック」での生駒里奈、「裸足でSummer」の齋藤飛鳥の姿は多くのファンの記憶に強く残っているはずだ。33rdシングル「おひとりさま天国」でセンターを務める井上の佇まいは、加入して1年半とは思えないほどに頼もしい。ライブスタッフからも太鼓判を押されるパフォーマンスの表情に、貫禄すら漂う堂々とした煽り。しかし、その裏では「乃木坂46」という看板を背負う緊張とプレッシャーに、泣き出してしまうほどだったことが、「おひとりさま天国」初披露となった沖縄公演に密着した映像には映し出されている。
新曲を初披露した沖縄ライブでのセンター井上和に密着
その裏側や神宮公演を通じて、筆者が印象的に思ったのは、井上を支える賀喜遥香と遠藤さくらの姿だった。「おひとりさま天国」では井上の両隣のポジションを担う賀喜と遠藤。賀喜は『乃木坂工事中』(テレビ東京系)の番組ロケをきっかけに、遠藤は専属モデルを務める『non-no』にて“なぎさく姉妹”として、それぞれ深い関係性にある。さらに、賀喜は2022年の昨夏に「好きというのはロックだぜ!」で、遠藤は2021年に「ごめんねFingers crossed」でそれぞれ座長を経験し、齋藤をはじめとする先輩メンバーに励まされてきたからこそ、今度は自分が、という思いも強くあるはずだ。井上、賀喜、遠藤による座談会インタビュー(『乃木坂46新聞2023号』より)で、井上は賀喜については「『あっ、大丈夫です』って言ったら、『大丈夫じゃないでしょ』って言ってくださったのがすごいうれしくて」、遠藤については「『ぽんぽん』って。『大丈夫だよ』って背中をたたいてくれたのがうれしくて。横を見て見て目が合うと、すごく笑ってくださっていて」とそれぞれの立場と距離感から優しく支えられていることを明かしている。
2001年生まれの同期で、早くから4期生のエースとして期待されていた“かきさく”コンビ。『乃木坂46 真夏の全国ツアー2022』の「ジコチューで行こう!」で賀喜の涙を拭う遠藤もまた泣いている、という観る者の目を引く場面はファンの間で大きな話題となった。その時の心境について、遠藤は「もうすぐで完走できるっていう安心感と、まだこれから『君に叱られた』の披露がある緊張感の、どうしようもない気持ちだったと思うので。それを見たら思わずって感じでした」と答えている(31stシングル『ここにはないもの』初回仕様限定盤収録の特典映像『Making of 真夏の全国ツアー2022 明治神宮野球場』より)。
乃木坂46『マグカップとシンク』
賀喜と遠藤にとってもこれまでとは立場が変わる、節目とも言える33rdシングルにはふたりによるユニット曲「マグカップとシンク」が収録されている。MVで賀喜が遠藤に手を差し伸べながら言う「これからだよ、私たち」は、乃木坂46の未来を担うエース同士として、そして友としての誓いの言葉のように聞こえてならない。
先述の座談会のなかで、賀喜は今後の展望を聞かれ、「毎年、ツアーが終わったらいったん落ち着いて、おのおのがそれぞれの活動を頑張る、みたいなイメージがあって」「グループ以外のところで得たものを、持って帰って来て、それをまた力に変えてみんなで進む、みたいな」とコメントしているが、これから年末にかけてその知名度を飛躍的に上げることになるのは遠藤だろう。
既報の通りに、遠藤は連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)への出演が控えており、10月3日には1st写真集『可憐』(集英社)が発売となる。『らんまん』は残り4週というまさにクライマックスを迎えようとしているところであり、オンエア期間こそそこまで長くはないが、遠藤が演じる役は主人公の万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の娘・千歳という、朝ドラ初出演としてはこれ以上にない役柄。すでに子役が演じている千歳の朗らかで、しっかり者のキャラクターは、遠藤が演じるのにぴったりと言える。2022年度後期放送の『舞いあがれ!』(NHK総合)で久留美を演じ、その朝ドラのバトンを次に渡そうと必死に走り続けていた山下美月の思いが結ばれる瞬間でもある。
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