こ~んばん~わ
乃木坂46が、8月25日から4日間にわたって『乃木坂46 真夏の全国ツアー2023』のツアーファイナルを開催する。場所は、乃木坂46にとっての聖地・明治神宮野球場。グループは2014年から2019年まで6年連続で神宮でのライブを開催し、昨年は実に3年ぶりとなる神宮公演が実現。たくさんの思い出の詰まったホームグラウンドで、今年は初となる4日間連続でのライブに挑む。
乃木坂46『10th YEAR BIRTHDAY LIVE DAY1』
球場のオフィシャルX(旧Twitter)では、昨年に引き続き、今年も「あと30日」「あと20日」「あと10日」「あと9日」……と昨年のライブ写真と共に公演当日に向けたカウントダウンが投稿されている。2022年の神宮、ひいてはツアー全体を振り返ると、齋藤飛鳥、秋元真夏、樋口日奈、和田まあや、鈴木絢音の1期生、2期生が、次のグループの未来を担う後輩メンバーたちに希望を託すという思いを込めて、5人で「君の名は希望」を歌唱していた場面が思い起こされる。そして、座長としてグループの先頭に立ったのは、30thシングル表題曲「好きというのはロックだぜ!」でセンターを務めた賀喜遥香。3日目の最終日、本編ラストのMCでは涙を流しながらも乃木坂46への愛と感謝を示し、その真っ直ぐな視線、勇敢な表情からは、これからの乃木坂46を背負って立つという覚悟を誰もが感じ取っていたはずだ。
乃木坂46『ここにはないもの』特典映像予告編
あれから1年が経ち、1期生、2期生メンバーは全員が卒業。3期生、4期生、5期生のみで神宮4日間を開催する、まさに挑戦の年と言えるだろう。梅澤美波が、乃木坂46の3代目キャプテンに就任してからは初めて開催する神宮公演というトピックもあるが、特筆すべきは5期生の井上和が昨年の賀喜の座長としての役目を継承していることだ。
8月23日リリースの33rdシングル『おひとりさま天国』で初の表題曲センターを務める井上。初披露となった7月22日、23日の沖縄公演には『THE TIME,』(TBS系)が舞台裏に密着しており、地方公演のラストとなった8月14日、15日の宮城公演は、1日目のアンコールの模様の一部が『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)にて生中継された。驚くのは井上の煽りの上手さ。山下美月や遠藤さくらなど、多くのメンバーが経験し、その度に一人ひとりの成長を感じさせてきた大事なライブパフォーマンスのひとつだが、井上の場合は楽曲サビの〈It’s the single life〉という決めフレーズと同様に、すでに風格すら漂うほどだった。
乃木坂46『おひとりさま天国』
しかし、その裏では計り知れないほどのプレッシャーが井上にのしかかっていることを、『THE TIME,』で見せた安堵の涙が伝えている。与田祐希が自身のInstagramでアップしているツアーのオフショットのなかには、井上を同期の池田瑛紗と思わしきメンバーが優しく抱きしめている一枚があり、昨年の神宮の裏で賀喜を齋藤や秋元、山下、久保史緒里といったメンバーが明るく励ましていた姿を彷彿とさせる(31stシングル『ここにはないもの』初回仕様限定盤収録の特典映像『Making of 真夏の全国ツアー2022 明治神宮野球場』より)。
センターの井上を両脇から支えるのは、賀喜と遠藤。昨年の神宮でのMCで「後輩たちにも繋いでいきたい」と話していた賀喜にとって、井上を近くから見守れること、一緒に愛する乃木坂46を作っていけることはきっと喜ばしいことであり、同時に遠藤にとっても自分を慕ってくれている井上の成長は刺激になるはずだ。
2014年から始まった乃木坂46と神宮との変遷を辿ると、神宮という場所はいつだって両手を広げてメンバーを歓迎してくれていた。コロナ禍に神宮で歌われた「世界中の隣人よ」のほかにも、白石麻衣の卒業コンサート終演後、1期生を乗せたバスが向かったのは神宮であり、秋元が卒業記念写真集『振り返れば、乃木坂』(幻冬舎)のなかで井上と菅原咲月を連れて行ったのもやはり神宮球場周辺だった。一方で、乃木坂46はキャパシティとしてはさらに上の日産スタジアムを経験し、昨年の神宮公演ではすぐそばに隣接する国立競技場を坂を登り続けるためのさらなる目標の場所として宣言もしていた。ただ、神宮という場所は、乃木坂46にとって変わらない帰るべき場所であり、変わり続ける乃木坂46がその1年の成長を確かめ、新たな一歩を踏みしめる場所としてもあり続けている。
声出し解禁後としては4年ぶりの発声ありの神宮となる今年。「おひとりさま天国」はAkira Sunset・丸谷マナブ・ha-j・遠藤ナオキによる共同作曲に、APAZZIが編曲に加わったEDM楽曲だ。ビルドアップからの〈It’s the single life〉を合図に、ドロップ、つまりはサビへと突入していく盛り上がり方は、すでに公開されているコール動画も相まって、神宮の開放的な野外のシチュエーションと相性抜群。乃木坂46にとっては挑戦であり、祝祭とも言える明治神宮野球場での4日間がもうすぐ幕を開けようとしている。
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