以前は終戦記念日前後によく放送された火垂るの墓(ほたるのはか)最近は全く放送されません。なぜでしょう、視聴率が取れないという理由を放送局は上げていますが、そうでしょうか。『 火垂るの墓 』(ほたるのはか)は、 野坂昭如 の 短編小説 で、野坂自身の戦争体験を題材とした作品です。 兵庫県 神戸市 と 西宮市 近郊を舞台に、戦火の下、親を亡くした14歳の兄と4歳の妹が 終戦 前後の混乱の中を必死で生き抜こうとするが、その思いも叶わずに 栄養失調 で悲劇的な死を迎えていく姿を描いた物語、戦争の悲劇が見事に描かれて感動します。
「火垂るの墓」の中で重要なシーンのひとつに「サクマ式ドロップ」が出てくる場面がありますが、このシーンが放送されない理由になったという説があるのです。
妹の節子はドロップが大好きで、ドロップがなくなった後も缶をずっと握り締めていました。
節子がドロップを食べるシーンはとても印象的ですよね。
1粒口に入れればそれはもう幸せな顔をして、中身がなくなってしまった缶には水を入れて甘くなった水を飲んでいるほど。
節子が亡くなる直前のシーンにも、ドロップを食べたくておはじきを口に含んでいたという悲しいエピソードが描かれ、「火垂るの墓」の中でドロップは重要な役割を果たしています。
節子の笑顔を見たかった兄の清太は疎開先の西宮のおばさんにお世話になる際、渡す食料を準備している時、ドロップだけをこっそり抜き出しているシーンも描かれていました。
しかし、このドロップを巡ってある問題が勃発。
それが解決するまで「火垂るの墓」は意図的に放送禁止の措置が取られていたとのこと…それは一体どういうことか?
このお菓子は佐久間製菓という会社が製造していました。しかし、戦時中の材料不足によって一時廃業となっていたのです。
そして終戦後、佐久間製菓の兄弟が分離して別々の会社を作ってそれぞれが「サクマ式ドロップス」「サクマドロップス」という商品を作ることになりました。
この商標を巡った争いに「火垂るの墓」が巻き込まれたことが原因で、放送されなかったと言われているのです。
火垂るの墓(1988) 予告編