「お前達のうち、腕が一番になった者にこの家をやる」
父親のご託宣に従って、息子達が腕を磨きに旅に出た。
そして、何年かして、三人兄弟が戻ってきた。
長男は、①を選んで散髪屋になった。
「お父さん、僕は、どんな状態の髭でも剃れるんだよ。試しに、あの走ってるウサ公
の髭を剃ってやるよ」
言うが早いか、長男は、あっという間に、走っているウサギの髭を剃ってしまった。
「すごいな、どうなってんねん? 家は、お前のもんやな」
「父さん、ちょっと待って! 僕の技、見てからや」
②を選び、鍛冶屋になった次男が口を挟む。
「向こうに、パカパカと馬に乗ってる紳士がおるやろ。あの馬の蹄鉄を取り替えて見
せたるわ」
「ほんまかいな。北斗の拳やがなぁ。『お前は、もう死んでいる!』ってか」
「違う、違う。蹄鉄取り替えるだけや」
「そうか、ほな、やってみ」
シュワッチ・・・!
やはり、あっという間に紳士も馬も気づかぬ間に、蹄鉄を取り替えた次男であった。
「う~ん、次男が上かな」
感心しきりな父親が俯いていると、雨が降り出した。
「僕の出番やな」
「僕の出番て・・・? こんなところで、人殺したらあかんで」
「まぁ、見てて」と、③を選んで、剣術使いになった三男は、短剣で十字を切るが早
いか、飛び上がって、雨粒を一つ一つ短剣で払いのけていった。
うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、
うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ・・・
雨がどんどん激しくなっていった。しかし、一滴といえど、雨が家族に降りかかるこ
とはなかった。
「負けた・・・」
二人の兄は、末弟の腕前を認めた。
家を継いだ三男は、上二人の兄を追い出すこともなく、三人仲良く暮らしたという。
ところで、閑話休題。
兄弟が腕のいい大工になっていたら、そもそも家にこだわらずに済んでいたはずだ。
何故ならなかったか。
父親が大工だった・・・からかな、と思う今日この頃です。
父親のご託宣に従って、息子達が腕を磨きに旅に出た。
そして、何年かして、三人兄弟が戻ってきた。
長男は、①を選んで散髪屋になった。
「お父さん、僕は、どんな状態の髭でも剃れるんだよ。試しに、あの走ってるウサ公
の髭を剃ってやるよ」
言うが早いか、長男は、あっという間に、走っているウサギの髭を剃ってしまった。
「すごいな、どうなってんねん? 家は、お前のもんやな」
「父さん、ちょっと待って! 僕の技、見てからや」
②を選び、鍛冶屋になった次男が口を挟む。
「向こうに、パカパカと馬に乗ってる紳士がおるやろ。あの馬の蹄鉄を取り替えて見
せたるわ」
「ほんまかいな。北斗の拳やがなぁ。『お前は、もう死んでいる!』ってか」
「違う、違う。蹄鉄取り替えるだけや」
「そうか、ほな、やってみ」
シュワッチ・・・!
やはり、あっという間に紳士も馬も気づかぬ間に、蹄鉄を取り替えた次男であった。
「う~ん、次男が上かな」
感心しきりな父親が俯いていると、雨が降り出した。
「僕の出番やな」
「僕の出番て・・・? こんなところで、人殺したらあかんで」
「まぁ、見てて」と、③を選んで、剣術使いになった三男は、短剣で十字を切るが早
いか、飛び上がって、雨粒を一つ一つ短剣で払いのけていった。
うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、
うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ、うりゃりゃりゃ・・・
雨がどんどん激しくなっていった。しかし、一滴といえど、雨が家族に降りかかるこ
とはなかった。
「負けた・・・」
二人の兄は、末弟の腕前を認めた。
家を継いだ三男は、上二人の兄を追い出すこともなく、三人仲良く暮らしたという。
ところで、閑話休題。
兄弟が腕のいい大工になっていたら、そもそも家にこだわらずに済んでいたはずだ。
何故ならなかったか。
父親が大工だった・・・からかな、と思う今日この頃です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます