のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

大阪ダブル選挙で何が変わる?

2011年11月16日 01時49分44秒 | Weblog
大阪府前知事であった橋下氏が

唱える「One大阪構想」で、

何が不思議かって

弁護士の資格を有する者でありながら、

もし、選挙で圧勝した場合、

「大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る」

(今年6月に大阪市内で開かれた政治資金パーティーでの発言)

という暴言を吐きえる根拠です。

法律の門外漢でも

都道府県制度は地方自治法に基づくものであり、

地方自治体の選挙で改定できる筋合いにものではないことぐらい分るでしょ。

ここの理屈が分らないのかな?

仮にも、司法試験を突破した人間が

なぜ理解しないのか、謎としか言いようがないです。


以前にも、この人、

あの難関中の難関と言われる

司法試験に本当に合格したのか疑わせる発言がありました。

有名だから、解説する必要はないでしょうけど、

一応、挙げておきます。

07年5月にあった

「光母子殺害事件被告の弁護団に対する懲戒請求事件」です。


テレビ番組に出演した橋下氏が

言わんとしたことは、簡単なんです。

ひどい殺人事件で、被告の擁護は怪しからんから、

21人の弁護士の

懲戒請求をせよということでした。

しかし、いかなる犯罪者でも

公正な裁判を受ける権利を持ってます。

これは、人権中の人権と言っていい権利です。

なぜ、誰でもが保障されなければならない刑事法上の、

基本的な権利を奪おうとするのだろうか…

考えに考えて、謎でした

(もっとも、その呼びかけに応じた

7558人もの懲戒請求者の人権感覚も、

橋下氏同様、ゼロと評して良いわけで、

そのような権利の履き違えに気づけない有権者こそ、

一番の問題ですけど)。

せっかくのダブル選挙です。

この人の知事任期中の行為のどこが

どう可笑しかったのか、

僕なりに点検させてもらいます。


(1)「パラマウント・リゾート大阪」開発計画(09年7月16日会見発表)について

万博記念公園内にある「エキスポランド」跡地(同年2月閉園)に

アメリカ映画会社パラマウント・ピクチャ―ズグループが

「パラマウント・リゾート大阪」を開発すると

橋下氏がぶちあげました。

しかし、このとき、

所有権を有していたのは、

「万国博覧会記念機構」という独立行政法人です。

「エキスポランド」跡地は、大阪府に帰属しないものです。

ということは、

誘致もくそもない、手出し無用な場所です。

所有権の帰属の有無を知らなかったのかもしれないです。

そこは責めませんが、

大阪府がどうとも出来ない場所ということが

明瞭になってからあった彼の発言が

滑稽この上ないものです。

曰く、所有権は国でもいいが

経営権を府に渡して欲しい云々(読売新聞10年4月26日)。

いやしくも法律家でしょ?

独立行政法人に所有権が帰属するのを

理解した上での発言でしょうが、

所有権を当該独立行政法人から奪ってしまうには法改正が必要です。

また、そのような法改正をするには、

大前提として、自治体のエゴを超えるような事情がなければなりません。

そこに言及せず、

単に「経営権を寄こせ」では、エゴそのものだぐらいのこと、分れ!

と、思わず、毒づいてしまいました。


(2)「関西国際空港と大阪市中をつなぐリニア・モーターカー」建設計画(09年6月)について

リニア・モーターカ―は、

開発途上の科学技術で、

充分なほどまだ実用化されていないということを、

小学生に指摘されたのかもしれません。

ルートも不明なまま、

この計画は消滅。


(3)「貸金特区」許容請求を内閣府へ提出(10年7月)について

改正貸金業法に基づく低金利でなく、

高金利での融資を認めよという内容の要求です。

政府は、当然ながら、却下。


(4)「カジノ特区」(10年10月)について

大阪の成長戦略として発表されました。

橋下氏は、「増税より必要」と意気込んでいました。

しかし、これも皆を唖然とさせる効果はあったものの立ち消えました。

暴力団支援対策とも思えるこんな計画、

消えて、本当によかった、と胸を撫で下ろしています。

この人の場合、

どんなに無謀な計画でも、

本気で言ってそうなのが怖いところ…です。


話が少し変わりますが、

3・11の地震で、

咲洲(さきしま)庁舎が

わずか最大震度3であったにもかかわらず、

壁はひび割れ、天井のパネルは落下。

水道管断裂など、360個所以上に支障が生じました。

大阪府庁をここに

移転すのに反対な人が

当時、エレベーターに4基に男性5人が閉じ込められたと聞き、

「これは、天の恵みだ」

と漏らしたと、

新聞の記事にありました。

(大災害のため、上を下への大騒ぎになってるちゅうに、

天の恵みはないやろ)

とは思うものの、

よほど10年11月にあった大阪城に近い大手町から

大阪湾内の埋め立て地にある

咲洲庁舎に部局移転されるのが苦痛だったんだろうなと

同情も致しました。


さて、そういうわけで、次は、

(5)「府庁舎全面移転」構想(08年8月)について

咲洲庁舎とは、地上55階建ての「コスモタワー」と呼ばれる

超高層ビル内にあります。

最寄駅を降りて、

7~8分で到着します。

ただし、無機質な建物と空き地の点在する場所です。

そんなところ、てくてく歩かされたら、

「ここは地の果て アルジェリヤ♪」 

などという歌を

知らず口ずさんでしまうことでしょうね。

「府庁舎全面移転」構想に象徴されるような

プロジェクトの立ち上げによって府職員を追い詰め、

その結果どうなったでしょう?


橋下氏が知事に就任して、

府労連調べでは、

08年に二人、

09年に七人、

10年に二人の

計11人の自殺者が出ています。

自分に盲従しない者に対する、

容赦のない締めつけは、

彼にとって

自分が座長を務める

「公務員」という庶民の目からみての

悪代官をとっちめる痛快な

演劇だったのでしょうか。

だとすれば、自殺者は、彼がヒーローを演じている

芝居によって処刑されたも同じです。

極論でしょうか。

昨年、10月に淀川で入水自殺した商工労働部経済交流課の参事(51歳)

のケースにつき、

比較的経過が判明しているものの、

それでも、同部が聞き取り調査を始めたのは、

自殺から2カ月も経過した後でした

(週刊金曜日11月4日、870号「虚像の政治家・橋下徹の正体」参照)。


話を戻します。

府庁の移転先とされた地上55階建ての「コスモタワー」ですが、

この建物、元々は、1995年の建設以来、

巨額の累積赤字で

大阪市が持て余していたビルでした。

昨年の6月、

85億円で府に所有権が移りました。


もちろん、そんな巨額の支出をする余裕が

大阪府にあるわけがなく、

府議会は09年3月、

ビル購入予算案とビルへの庁舎移転条例案を否決してました。

ただ、同年10月、同移転条例案は否決されたけれど、

購入案が可決されてしまったわけです

(ちなみに、この年の自殺者数は、上に見た通り7名と突出してます)。

それで弾みがつき、

橋下大阪府元知事の念願が叶えてしまいました。

この人が

どうしてこれほど、

コスモタワーにこだわったかと言うと、

実に、他愛もない理由です。

視察したら

「関西再生の光が明石海峡の奥から見えた」

ということなんですよ!

大阪の方なら、

この表現、うっすらと覚えていらっしゃますよね、

笑うことに困ったら、この言葉を

思い出すといいかもです。

カンサイサイセイノ、ゲホゲホ…


「イラクの子どもを救う会」代表で

ジャーナリストの西谷文和氏によると、

購入費用の85億円に加え、

移転費用に11億円、

さらに新庁舎の補強工事では30億円以上かかるのは確実。

しかも全国で類例のない庁舎分割のため、

今後、30年間で

約1200億円相当にのぼる行政ロスも予測される

と明言されておられます(上掲、雑誌参照)。

そんな過分な負担を大阪府に押し付け、

ダブル選挙と称して

責任を丸投げしました。

彼が知事として

成し遂げた業績は、

毎年350億円の人件費を削減したこと

お陰で大阪府の給与所得は、

全国都道府県中、下から2番目という低さです。

しかしね、

コスモタワーの購入さえなければ、

必要のなかった切り詰めじゃなかったでしょうか。

そこんところ、一考の価値あり、です。


さて、市長選の告示がなされ、

彼は平松邦夫氏と激突することになりました。

大阪市民は見抜けるでしょうか、

ババ抜き(トランプゲームの一種)で

ババを引いてしまわざるをえない、橋下氏の不徳の致すところを。

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