のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

事業仕訳

2009年10月31日 01時31分03秒 | Weblog
 最近、よく聞く単語に「事業仕訳」があります。政府予算圧縮の切り札のようです。ただ、仕分けの対象に「道路」と「ダム」が入っていないなら、包丁だけがあって、食材がないようなもんです。そう思いませんか?

 八ッ場ダム中止を巡って、前原誠司国土交通大臣がダム本体以外の道路と生活関連事業の継続を約束してしまいました。周辺自治体の首長や地元代表と称する海千山千に屈した形です。若い大臣なだけに、「初めに中止ありきでは話にならない」とすごまれて、頭の中が真っ白になったのでしょうか。「ダムの中止」→「ダム本体の中止」と、言葉の上ではさほどの差はないようですが、支出制限額が4600億円から620億円となり、必要性の乏しい事業は続くことになりました。

 ダムを中止すれば、水没するはずの広大な土地が有効利用できたはずです。それを断念し、コストのかかる余計な宅地造成をやることの無駄を許して、何が住民福祉でしょう。「地元」の「選良」と呼ばれる人たちが私利に走り、積もり積もって、地方からこの国を台無しにしたのではなかったのでしょうか。また、この間の選挙において、それに国民がノーを突きつけたのではなかったのでしょうか。前原大臣は、どうしてこんなに簡単に言い負かされたのでしょう。敵前逃亡にしか見えないです。自分が負けても、「行政刷新会議」があるということだったのでしょうか。

 さて、その前原大臣の期待の詰まった「行政刷新会議」の事務局長には、民間シンクタンク「構想日本」代表の加藤秀樹氏が就任しました。「事業仕訳」という聞きなれない、この予算削減の方法は、加藤氏の出身母体である構想日本が02年から取り組んできたものらしいです(横田一「無駄を切れるのか」週刊金曜日773号所収、参照)。

 ・・・うまく機能するのか。

 一応は、妙案に見えます。しかし、同時に胡散臭くもあります。どんなにすぐれた道具も扱い方如何では無用の長物でしょう。否、誤った使用法は、身を損なう装置になりかねません。そこへもってきて、大きく不安が膨らんだ事柄があります。民主党が橋下大阪府知事に接近していることです。

 「構想日本」において、上山信一氏という人物が政策委員兼運営委員をしています。この人は、大阪府の特別顧問をしており、橋下知事を「平成の目ざまし時計」に例えていることからして、知事への接近は成り行きともいえるのかもしれないです。しかし、橋下知事が大ナタを振るっているのは、福祉や教育、医療予算などであって、道路やダムは聖域扱いにしています。彼の「ぼったくりバー発言」を見ても、その政治姿勢は明らかです。要するに、橋下知事は、「ぼったくりバー」という表現で、国に「もっとまけとけ(安くしろ)」と言っているだけで、ダム建設に消極的なわけではありません(ちなみに、直轄事業費の地方負担率1/3は、法律で定められていることであって、政府の裁量で決定されえない事項です。そんな国家制度の仕組みを考えると、彼の「まけとけ」主張は暴論としか言えません)。田中康夫前長野県知事等、「脱ダム派知事」とは根本的に立場が違います。朝日新聞などは、橋下知事の発言をもって「地方の反乱」と呼んでいました。しかし、的外れな評価です。ま、あえて言うと、橋下知事って、演じるのが好きなんでしょう、無頼漢を。僕が危惧するのは、地方分権を本気で考えるつもりがあるのならば、そんな口先だけの目立ちたがりな人物に接近していてよいのか、ということなんです。


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