のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

”介護”

2008年05月07日 12時30分54秒 | Weblog
「ここまですごい人だと思わなかったな」


ある福祉施設で施設長をしていた人の僕に対する評価だ。僕が施設で働きだして一年

ぐらいしたとき、そう言われた。


僕が職場で顔を出すと、十二、三人程度の利用者が「わー」と歓声を上げながらが飛

び出してくる。誰に対しても、そんな風な歓声を上げるものだと思っていた。しかし、

そうではないようだった。

福祉施設といっても色々ある。僕が働いた職場は、知的障害者の人たちのための更生

施設だった。

施設長は、少年鑑別所の所長を30年だったかした、更生の専門家だ。


この人は、目を細めて、しばし僕を見つめた後、続けてこう言った。

「忠太さん(これを本名だということにさせて頂く)一人で、十人のスタッフがいる

のと同じだ。すさまじいの一語に尽きる。そんなすばらしい人材を、一番下位に置い

てしまっている・・・。申し訳ない」


僕は、40歳を超えてから、福祉関係に職についた。資格も何もない。ただ、適性は

あったんだろうな。ただのパート職員だったけれど、施設の雰囲気がごろりと変わっ

たらしい。

(笑い声がいつもはじけている。どうしてなん?)

家族会の誰かがそんな話題を振っていたのを覚えている。僕が就職した後、知的障害

者の人が元気を出していった。それは、一部の人を除き、多くの人が認めていた。



上の話、僕にとっては過去の栄光だ。もう離職したし、また、自慢話のようだから避

けたかった。しかし、カミングアウトすべきかもしれないと思うようになった。


何故って、最近になって、介護の修羅場を潜り抜けてきた人間ということ伝えない

と、築けない信頼があると感じるようになったからだ。一種の限界感覚だな。

僕は今、”介護”のコミュニティに参加している。老親の世話の愚痴を吐き出そうと

思って、入会したのではない。逆なんだ。聞いてあげたいと思ったからだ。入会して

気づいたことなんだが、僕は、介護福祉士さんを育ててあげたいとも願っているようだ。

人を育てるには、叱り、褒めるタイミングを間違わないことが大切だ。

思い込みの激しい人の、殻を打ち破ってやろうとするときは、ただひたすら叱ってや

るべきと思う。

同コミュニティの僕の発言を読んで頂いたらよく分かるが、完全に突き放してしまっ

ている。しかし、これでも管理人さんのコミュニティを立ち上げた前向きな姿勢に敬

意を表したいと考えているんだ。

だから、答えは自分で出してほしかった。しかし、正直、待ちくたびれた・・・



言っちゃうよね。それはね、介護士さんが、自分は介助の専門家だから、介助の仕方

につき、利用者の家族の者を指導できる、というのは大変な思い上がりということ

だ。それを理解できるかどうか、僕との会話で試されたんだよ。



プロならば、利用者の家族から介助の仕方を学ぶという謙虚さがなければ大成しな

い。僕は、少なくとも施設で働いていたとき、そうしたよ。

生きるか死ぬか、というぎりぎりのところで生きている人間に「夢、ありますか」っ

ていうような、能天気な質問をした自分を即座に反省する余裕がなければ、介護は無

理。これは、現場での苦労が言わした言葉なんだ。先輩の言葉として、素直に受け

取ってもらいたいと思うな。

まぁ、家族の虐待という問題があるから、黙って家族の命令に服せということでは、

もちろん、ない。ただ、本気で、介護福祉士を目指すつもりがあるなら、一考に値す

ると思う。下手すると燃え尽きちゃうからね。

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3 コメント

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初めて知りました (トッペイ)
2008-05-07 23:37:39
 先日は、高齢者の幻視についてのアドバイス、有難うございました。
 忠太さんが、知的障害者の施設で働いていたことを初めて知りました。何故、知的障害者の人たちに慕われ、彼らを元気にしたのかは、おぼろげには忠太さんの人柄からわかるような気もしますが、是非機会があったら、そのことに対してお話していただきたいと思っています。
 介護や福祉の現場での、大事な視点についての忠太さんの考えを多くの人に伝えていってほしいと思っています。
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リアルな問題 (kayo)
2008-05-08 10:54:51
そんな経験がおありだったのですね
そしてまた今考えておられる事はとても重要なことですね
介護の問題はほとんどの人に降りかかってくる問題です、母がお世話になったデイサービスも今父が同じ所でお世話になっていますがスタッフの入れ替わりがしょっちゅうで“あれ、また違う人?”と現場の厳しさが窺われます
私も利用者の家族として色々感じて来ました
そこの施設のスタッフには何の文句もありませんが《介護保険サービス》と言う全体のシステムに文句があります
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ブログの効用 (obichan)
2008-05-08 17:16:22
うれしいです。ブログでは過去の経験談が生かされる場だと思っています。だから私は過去に拘っているのかもしれません。成功談は勿論、失敗で悩んだことあるならなおさらです。

kayoさんもおっしゃってるように、介護の問題は
ほとんどの人に降りかかってくる問題です。
現場を体験した人の言葉は強いです。
もっと忠太さんのこと知りたくなりました。
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