退屈な作業をやりとげようとする意欲の強い人と、
途中であきらめてしまう人がいます。
彼らの「脳の違い」を明らかにする研究が行われました。
WIRED・SCIENCE
というサイトに
その研究成果が報告されていました
(TEXT BY JONAH LEHRER、TRANSLATION BY ガリレオ-高橋朋子/合原弘子)。
以下、自分なりに整理したことを
書き留めておきます。
――
ヴァンダービルト大学のマイケル・トレッドウェイの率いる研究チームが
『Journal of Neuroscience』に新しく発表した研究論文は、
この謎を解明しようとしています。
被験者には、
次のいずれかの課題を、まず選ばせます。
課題は30秒ほどのもので内容は、
死ぬほど退屈。
自分の利き手で7秒間に30回ボタンを押すか
(こちらが簡単な課題)、
あるいは、利き手でないほうの小指で21秒間に100回ボタンを押す
(これは難しい課題で、これに比べたら、原稿を書くことなど、海岸で1日過ごすようなものだ)。
どちらかを選ばせたなら、
報酬は、3ランクに分かれていると言い、
夢を与えます。
そしてその後、必ずしも
報酬があるとは決まっていないと教えます。
(きついな~)
という条件でしょ?
当然、落伍者が出てきます。
しかし、小指が千切れそうになっても
やり通そうとする人がいます。
違いはどこ?
チームが最初に発見したことは、
左線条体と前頭前皮質腹内側部(ventromedial prefrontal cortex)における
ドーパミン作動性活性が高い被験者のほうが、
多くの報酬を得るために努力する意欲が高かったことです。
つまり、意欲を書きたてる
勤勉ドーパミンとでも名付けたい、
ドーパミンを活性化する部位のあることが
確認されました。
ただ、脳の働きとしては、
報酬を予測した上での意欲なので
計算づくと言えます。
実際、通常の人間は、無意識に行われるこの計算によって、
たとえば、いま書いている文章を仕上げるか、
それとも『Angry Birds』というゲームで遊ぶかなどを決定します。
意欲を駆り立てる部位がある一方、
反対に意欲を殺(そ)いでしまう部位もあります。
それがこれから述べる、島(とう)皮質。
この部位が活性化すると、
「反応コスト」を表象します。
「反応」すれば、
それに応じた「コスト」すなわち、「苦痛」感情を呼び起こすと
研究チームは見ているようです。
退屈のむなしさや、疲れた指のうずき、
したくないことをしなければならない「存在の痛み」を
感じとっているのでは、ということです。
要するに、
島皮質のドーパミン作動性活性が高いほど、
努力の苦しみはより顕著になり、
そのせいで、われわれは努力をやめてしまうと考えるわけです。
言うなれば、怠慢ドーパミンが活性化するのですな。
さて、人にとって最も必要なタスクは、
しばしば最も楽しくないことでもあります。
さらに、
成功を得るためには
人は長い時間努力し続けることを学ばなければならないのですね。
12年間の学校生活に耐え、
下書きに次ぐ下書きを繰り返さねばなりません。
近道は存在せず、才能に恵まれた者も、
努力を続けなければなりません。
練習は
「選択できるオプション」というものではないのです。
勤勉な人々は、
ほかの人よりも(1)少しだけ多くの快楽を得ていると思われます。
そしてその一方で、
(2)自分の内なる「不平家」の声には鈍感なようです。
これは、でも、
さほど生まれつきと決めつけられない
のではないでしょうか。
鍛えるしかないのでしょうね。
それで、
気力を奮い立たせるマジックワードを
考えました。
それは、
次の対になった言葉です。
一つは、
「楽しいことは、楽ならず」です。
もう一つは、
その逆な形で「楽なことは、楽しからず」です。
この二つを諦めると、
壁を乗り越えられそうでしょ?
断念する前に、
ちょっと思い起こして下さい。
上の(1)(2)を
何とかコントロールしえたら、
喜びが待ってますよ。
(1)の判断には
「楽しいことは、楽(らく)ならず」が応じて、
苦難へと煽りたてます。
「最も必要なタスクは、しばしば最も楽しくない」のは、
短期で考えるからです。
苦労が多いものは、長期的には愉快なもんです。
じっくり考えて目標が定まっても
(2)の苦痛が働くときは、
「楽なことは、楽しからず」という言葉によって、
自分の弱音を封ずる役割を果たさせます。
同じ「楽」という漢字を使いながら、意味が異なります。
そこがチャームポイントです。
(ただ、このマジックワード、僕に効くかな・・・)
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