のんきに介護

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強要される人権もどき(各論-二) / 「ドグマに寄り掛かる権利」

2012年11月30日 03時06分42秒 | Weblog
前記事で、

憲法の条文が草案では

増えていると指摘しました。

しかし、

婚姻した者同士の関係を規定する

24条の段階では

まだ増えてません。

ただし、余計なひと言があります。

それがこれです。

第二十四条 家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

という一項です。

現憲法にはありません。

「互いに助け合わなければならない」

と規定して

何が言いたいのでしょう?

扶養義務に関しては、

第三項に規定があります。

だったら、これは何なのさ~~~

ということです。

思い起こすことはあります。

「絆」っていう

スローガンです。

東北の人に対する支援を仰ぐとき、

合理的な支援でなく、

感情的に

恩義の押しつける目的で、

夫婦関係になぞらえて説明する!

そのためにのみ、

この規定が

案出されたのではないかとさえ思えます。

この規定以外でも、

これは、

3・11以降ならではだな、と思わせる

規定があります。

具体例を挙げると、

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

という現行憲法の規定です。

どこが変更されるか分かりますか?

改正案では、

こうなります。

第十一条 国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。

どこが変わったのか

と言うと、

「現在及び将来の国民に与へられる」という

文言が消えたのです。

橋下徹流に言えば、

フェードアウトしちゃったのです。

福島県民は、

モルモットになりました。

したがって、いかなる権利主張も認めません。

佐藤知事が

地元を代表して同意しました

ということでしょう。

これぞ、3・11現象と目すべき改正事項は、

まだまだありますよ。

11条は、

削られた例ですが、

今度は、増えた例です。

表現の自由に関する規定です。

現行憲法は、

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

この1項と2項の間に

改正法案は、次の条項を埋め込みました。

前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。

これによって、

ネットでの言論、デモが一網打尽です。

「国難を救いたい」

「世の中の不平等を一掃したい」等々、

思うことが

すでに公益及び公の秩序を害します。

なぜって、公益及び公の秩序を司るのは、

政府の仕事だと言う観点から見れば、

大なり、小なり、

公益が曖昧となり秩序が乱れるとも言えるからです。

だから取り締まるという方向に

道を拓くことになります。

戦後、第9条1項に

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

と規定した際、

「② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。

として脱法しようとしたことを思い出します

(「 前項の目的」として限定するため

前項の目的から外れた、たとえば、災害支援などのためなら、

「戦力の不保持」は、規範性を有しないという解釈をするわけです)。

しかし、③として「国の交戦権は、これを認めない。」としたために、

結局、9条全体として戦力放棄を規定したとする立場が

通説となりました。

交戦権がないのに、

戦う力(武力)をもっていても仕方がないということです。

今回の改正案は、

③項削除の上、

②項を「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」

として

解釈の回り道を不要にしました。

そしてそれに止まらず、

国防軍の規定を

9条の2、

領土等の保全等の義務を

9条の3に定めました。

改正草案の全体に目を通しました。

気づくのは、

戦争放棄を定めた第九条を除いて、

ほとんどは

3・11の政府対応を

みていて思いついた節のあることです。

第二十一条 の2項として

埋め込まれたものも、

「原発再稼働 反対」という

ワンイシューで

穏やかに政治活動をする者をも取り締まる、

すなわち、

非合法化する意図で盛り込まれたんだろうことが

容易に想像がつきます。

傑作なのは、

第二十条の第1項の規定

「 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」が

次のように変容を受けている点です。

第二十条 信教の自由は、保障する。国は、いかなる宗教団体に対しても、特権を与えてはならない。


となってます。おかしくないですか。

政治上の権力を行使してはならない」の部分が

欠落しているでしょ?

これって、創価学会に対する気配りの証です。

自民党は、

期せずして、このような歪んだサービス精神を発揮することで、

公党でないことを

自ら暴露したんだと思います。

宗教団体に

政治上の権力行使を許すのは、

取り返しのつかない誤謬への道です。

宗教の力をなめ過ぎです。

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