大学病院で思ったこと

2011-09-14 23:46:25 | 日記
  ここにきて、時間がない。日曜日からストックホルムに出張だ。帰ってきたらすぐに、(9月26日(月))から青学の後期の授業が始まる。出張の準備の他、順次、原稿の締め切りと通訳の仕事が交錯し、出張に行くまでに、段取りをしておかなければならない。

 そんな状態の中、今日は、ある大学病院の分院で胃カメラの検査を受けてきた。軽度の胃炎があって2年ごとぐらいに受けている。最近、少し、胃が痛かったので、仕方ないから受けることにしたのだが、結果は特に変化はなかった。安心した。胃炎の1つの原因は、鎮痛薬にあるのではないかと思っているが、止められない。頭痛でNSAID(非ステロイド系抗炎症剤:「エヌセイド」という)の系統を、ときどき使う。

 大学病院は分院とはいえ、相変わらず、大変込んでいた。1時間に5人ぐらいのスピードでの胃カメラ検査だった。検査室に入ったら、ドラマ『仁』のテーマ曲の「いとしき日々よ」のオルゴール・バージョンが小さくかかっていて、担当のナースとその話でひとしきり、検査の前に、盛り上がってしまった。緊張は緩和したけど、やっぱり、胃カメラを飲むのはあまり上手じゃないみたい。
 病院の会計で待ちながら、込んでる様子を見て、「海外視察をしたときの病院は大分違ったな」と思い返していた。ウメオやカロリンスカ大学病院は閑散としていた。高度先進医療の対象者だけを扱うので、初診は地域の一般医から順番に紹介されていくからだ。

 スウェーデンのウメオ大学病院とカロリンスカ大学病院に行ったのは、2000年の夏、ヨーロッパの小児医療の視察の随行通訳だった。最初の訪問地はウメオだ。スウェーデンの北にある。8月の半ば、現地は寒く、地元の人たちはダウンジャケットを着ていた。そのあと、ストックホルムで、カロリンスカ大学病院に行った。カロリンスカ研究所(カロリンスカ医科大学)というヨーロッパ屈指の医学研究機関が擁する病院だ。カロリンスカ研究所は、ノーベル医学・生理学賞の選考機関がある。(カロリンスカの名前は、医学、保健の分野の引用で、本当に、よく出てくる。)

 小児医療では、病弱児に遊びを通じて生活の質を改善するとともに、治療の準備教育をする。ヨーロッパではスウェーデンが先駆的で、その専門職者をPlay Therapistという。同じことがアメリカでも行われており、アメリカでは、Child Life Specialistといっている。2000年のときには、主に、そうした小児病院の生活面を視察であった。ウメオとカロリンスカ以外では、オランダ ユトレヒトのウィルヘルミナ小児病院、スイスのチューリッヒ大学小児病院、イギリス ロンドンのチェルシー・ウエストミンスター病院だった。(いずれも、とても有名な病院だ)

 日曜日からの仕事は、看護の労働問題に関することがテーマで毎年行われている。7年前から関わっている。小規模でクローズドな会議なので、ブログで紹介できることは限られている。ただ、看護のコミュニケーションや通訳に関する普遍的なことについてや、可能な限り、お話しできたらと思う。


 最後にちょっと、別の話を。今日の『ためしてガッテン』に出てきた尼崎市の保健師の活動はすばらしかった。保健指導によって透析に到る腎機能障害を予防している。当事者と家族の人生・生活だけでなく、国の医療費負担軽減へも非常に大きな成果だ。実際に、保健師がテレビに出てきて、ポイントを説明していたが、その説明内容は分かりやすく、加えて「こんなことをしている仕事なんだ」ということがよく伝わった。

 保健指導は看護の重要な役割なのだが、ドラマで描かれることはない。保健師は看護職に入り、看護師の資格を取得したあと、保健師になる教育プログラムを受けて、国家試験の受験資格を得る。大学院教育の方向に進んでいる。海外では高度実践看護(APN:Advanced Practice Nursing)の領域に入っており、修士レベルの教育になっている。公衆衛生(public health)が領域で、英語ではPublic Health Nurseといわれる。つまり、一般の人々の健康増進を図るので、仕事では保健指導が大きなウェイトを占める。でも、その様子はあまり、知られていない。看護のイメージの面からも、今日の映像は貴重だった。(ナースのイメージについては、看護の国際会議でテーマとしてよく取り上げられるし、他の問題に関連しても発言がある。どうしても女性の仕事、医師の補助業務という印象が強く、実際にやっていることと解離がありすぎる。改善の方向に進めたいのは世界共通の課題のようだ。
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