夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

イングロリアス・バスターズ

2010年01月09日 | あ行の映画
Story
1944年6月、ドイツ占領下のフランス。映画館主のミミュー(メラニー・ロラン)はドイツ軍の英雄フレデリック(ダニエル・ブリュール)に言い寄られ、挙げ句にナチスのプロパガンダ映画をプレミア上映させられることになった。その事実をつかんだイギリス軍はナチス諸共映画館を爆破すべくアルド中尉(ブラッド・ピット)率いる“イングロリアス・バスターズ”を動員し、スパイのブリジッド(ダイアン・クルーガー)と接触を図らせる。一方ナチスでは“ユダヤ・ハンター”の異名をとるランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が動き出し…。(goo映画より)
2009年/アメリカ/クエンティン・タランティーノ監督作品


あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。
さて、新年一発目のレビューは、 イングロリアス・バスターズです。





評価 ★★★☆☆

!! ネタバレ注意!! まだ観てない人は読まないで下さい。

タランティーノの戦争映画。
無駄な会話が延々と続きつつも、徐々に緊迫感が醸成されて行き、遂にアクションが炸裂するところは相変わらず鮮やかでした。
冒頭のランダ大佐が、ユダヤ人をかくまう農民に語るネズミとリスのたとえ話。たわいのない会話が次第に殺戮の恐怖へと転化して行く過程がスリリング。この狂気のランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツの演技が全編を通じて秀逸だったと思います。
その一方、無駄話が長過ぎてダレてくる箇所が多いのも事実。

バスターズの攻撃が時に目を背けたくなる程生々しく描かれていました。しかし、これは苦しめられたユダヤの人々のリベンジだと受け取れます。バスターズの隊員の胸に黄色い落ち葉がくっついているシーンがありましたが、これは、当時のユダヤ人に貼付けられた黄色い星を連想させ、彼等に加えられた過酷な迫害行為をさりげなく思い出させてくれます。


それにしても、ヒトラーの殺害に成功してしまう展開が大胆不敵でしたね。
以下、気づいた点を思いつくままに書いてみました。

キャットピープル
ついにミミューがナチへの復讐計画を始動させる場面。バックにナスターシャ・キンスキー主演「キャットピープル」('82)の主題歌が流れます。デビット・ボウイの名曲でしたが、これは 「デスプルーフ」('07 タラ監督)で「ミッドナイトクロス」('81)のテーマが流れるのに続くサプライズです。

映画館でのナチ攻撃
試写会が行われている映画館でミミューとバスターズが同時にナチへの攻撃を開始。接点の無かったミミューとバスターズ達が鉢合わせするのは、「トゥルーロマンス」('93 タラは脚本のみ)で売人の映画監督一派とギャングと警察が三つ巴になるシーンを彷彿させます。
ところで、ミミューが可燃性フィルムを武器に使うところは「ニューシネマパラダイス」('89)を思い出してしまいました。「ニューシネマ~」では、映写技師のアルフレードがフィルムが燃えたために失明してしまいましたね。

タランティーノはアリステア・マクリーンを読んだか?
地下の酒場でナチと対決するシーン。これは、「パルプフィクション」('94 タラ監督)でも言及があった「ナバロンの要塞」('61)のタラ的な換骨奪胎では?。「ナバロンの要塞」では、断崖絶壁に設置されたナチの要塞を攻略するためにプロの登山家マロリー大尉が抜擢されます。対してこの映画では、プロの映画評論家ヒコックス中尉に”映画館作戦”の指令が下るところが構図が似ています。
ナチ将校と対峙するヒコックス中尉は、なんとなくアリステア・マクリーン(「ナバロン」の原作者)的ではありました。


映画『イングロリアス・バスターズ』公式サイト


(「イングロリアス・バスターズ」 2009年12月 松本市 シネマライツ8にて鑑賞)

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6 コメント

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あけましておめでとうございます ()
2010-01-10 21:51:26
そっか~
他の映画との関連をいろいろ説明していただいたのですが
その他の映画は「ニューシネマパラダイス」しか観てないので
その部分しかわかりませんでした。
皆が「タラの映画好きが・・」といった感想をかいてみえるのは
そういう意味だったんですね!
解説ありがとうございましたm(__)m

本年も宜しくお願い致しますm(__)m
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こんばんは! (アイマック)
2010-01-12 22:48:58
冒頭から緊張感があったし、映画好きが楽しめるつくりでよかったです。
クリストフ・ヴァルツには釘付けにまりました。
何かやってくれそうで、ワクワクする俳優さんですね。笑
「ニューシネマパラダイス」で可燃性フィルムがでてくるんだ。
そこまで気づかったですよー。

今年もよろしくお願いいたします!
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あけましておめでとうございます! (wanco)
2010-01-16 22:45:49
猫さん、こんばんは。

本当は、引用している映画がもっとあるのでしょうが(特に音楽が)、この程度しか分かりませんでした。
影響を受けた映画をあれこれ考えるのも楽しいですね。
いつもながらアクションシーンはよかったと思います。

それでは、こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。
返信する
こんばんは! (wanco)
2010-01-16 22:52:02
アイマックさん、こんばんは。
今年もよろしくお願い致します。

冒頭は緊迫感ヒリヒリでしたね。
クリストフ・ヴァルツや酒場のナチ将校など、敵役にあなどれない奴らを多く配置したのが緊張感を盛り上げてくれたと思います。

「ニューシネマ~」に可燃性フィルムが出てきますが、タラが意識していたかどうかは定かではありません(笑)。
返信する
クリストフ・ヴァルツ (KGR)
2010-03-08 22:19:25
タランティーノ、してやったりの映画だと思います。

クリストフ・ヴァルツはとてもよかったです。
やはりというか見事アカデミーを取りましたね。

返信する
祝、アカデミー賞 (wanco)
2010-03-14 01:15:14
やっぱり、受賞しましたね。
仕草といい、間の取り方といい、彼の演技は素晴らしかったです。悪役にはもったいないのでこんどは善玉役で観てみたいです。
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