
Story
麻布の寺で、三輪の七回忌の法要が行われ、三輪の学生時代の友人である間宮、田口、平山の3人が久しぶりに集まった。彼らは三輪の娘アヤ子(司葉子)に縁談を勧めるが、実はかつての憧れであった三輪の妻、秋子(原節子)が気になってしかたがない。アヤ子は自分が結婚すると、母秋子が一人になるのを気遣って、縁談を断ってしまう。間宮、田口、平山の3人は、アヤ子を結婚させるために、母秋子の縁談話を持ちかける。
1960年/日本/小津安二郎監督作品

評価 ★★★★☆
この映画は、「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」で上映された作品で、映画ファンなのに、小津安二郎の作品は1本も観たことがなかったので、いい機会だと思い、主人と二人で観に行きました。
さすが小津作品の人気は高く、会場はほぼ満席に近かったです。
映画の上映が始まると、会場からは時おり笑い声が聞こえて、この映画を観に来たお客さんの楽しんでいる様子が伝わってきました。
この映画は、どちらかというとコメディですが、結婚する前の母と娘の絆を描いたホームドラマでもありました。昭和30年代を舞台にしているのに、昔の映画を観ているような感じがなく、むしろ新しい感じがしたのは不思議でしたね。
この映画に登場してくる人物は皆、背筋がぴんとしていて、立ち居振る舞いや言葉遣いがとても美しく、今では失われてしまった日本人の本来の姿がそこにあるような気がしました。
また風景を映した映像が、まるで写真を見ているかのように美しかったです。(小津作品では、ローアングルでの撮影が有名らしく、あまりにも低い位置から撮影したために、畳の上で腹這いになって撮り続けたカメラマンが、お腹をこわしてしまったというエピソードがあるそうです。)
この映画では、小津は役者たちに感情を抑えた演技を要求したそうで、そのせいでしょうか、原節子の少し頑な感じの喋り方に、かえって色っぽさを感じました。
娘アヤ子の友人役を演じた岡田茉莉子も、粋のいい江戸っ子娘を明るく演じていて、とても好感が持てましたね。
思っていた以上にこの作品は良かったので、小津の他の名作と呼ばれる映画も、ぜひ観てみようと思います。

評価 ★★★★☆
初めて小津安二郎に注目したのはヴィム・ベンダースの映画を見てでしたが、やっと彼の作品を見ることができました。どこにでもあるような日常的な出来事をここまで面白く描けるのはやはり名匠と言われるだけありますね。
映画の後半、司葉子に代わって岡田茉莉子の出番が増えて来ます。彼女の、他人の幸せのためにおせっかいを焼く役柄は、さしずめ、「エマ」のグウィネス・パルトロウや「クルーレス」のアリシア・シルバーストーン的でした。
原節子が一人で寝床に入る最後のシーン。孤独を噛み締めながらも娘の幸せを喜んでいる演技が心にしみました。それでも、明日からまたいつもの日常が続いていく、というのをラストショットのアパートの廊下が示していたと思います。
麻布の寺で、三輪の七回忌の法要が行われ、三輪の学生時代の友人である間宮、田口、平山の3人が久しぶりに集まった。彼らは三輪の娘アヤ子(司葉子)に縁談を勧めるが、実はかつての憧れであった三輪の妻、秋子(原節子)が気になってしかたがない。アヤ子は自分が結婚すると、母秋子が一人になるのを気遣って、縁談を断ってしまう。間宮、田口、平山の3人は、アヤ子を結婚させるために、母秋子の縁談話を持ちかける。
1960年/日本/小津安二郎監督作品

評価 ★★★★☆
この映画は、「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」で上映された作品で、映画ファンなのに、小津安二郎の作品は1本も観たことがなかったので、いい機会だと思い、主人と二人で観に行きました。
さすが小津作品の人気は高く、会場はほぼ満席に近かったです。
映画の上映が始まると、会場からは時おり笑い声が聞こえて、この映画を観に来たお客さんの楽しんでいる様子が伝わってきました。
この映画は、どちらかというとコメディですが、結婚する前の母と娘の絆を描いたホームドラマでもありました。昭和30年代を舞台にしているのに、昔の映画を観ているような感じがなく、むしろ新しい感じがしたのは不思議でしたね。
この映画に登場してくる人物は皆、背筋がぴんとしていて、立ち居振る舞いや言葉遣いがとても美しく、今では失われてしまった日本人の本来の姿がそこにあるような気がしました。
また風景を映した映像が、まるで写真を見ているかのように美しかったです。(小津作品では、ローアングルでの撮影が有名らしく、あまりにも低い位置から撮影したために、畳の上で腹這いになって撮り続けたカメラマンが、お腹をこわしてしまったというエピソードがあるそうです。)
この映画では、小津は役者たちに感情を抑えた演技を要求したそうで、そのせいでしょうか、原節子の少し頑な感じの喋り方に、かえって色っぽさを感じました。
娘アヤ子の友人役を演じた岡田茉莉子も、粋のいい江戸っ子娘を明るく演じていて、とても好感が持てましたね。
思っていた以上にこの作品は良かったので、小津の他の名作と呼ばれる映画も、ぜひ観てみようと思います。

評価 ★★★★☆
初めて小津安二郎に注目したのはヴィム・ベンダースの映画を見てでしたが、やっと彼の作品を見ることができました。どこにでもあるような日常的な出来事をここまで面白く描けるのはやはり名匠と言われるだけありますね。
映画の後半、司葉子に代わって岡田茉莉子の出番が増えて来ます。彼女の、他人の幸せのためにおせっかいを焼く役柄は、さしずめ、「エマ」のグウィネス・パルトロウや「クルーレス」のアリシア・シルバーストーン的でした。
原節子が一人で寝床に入る最後のシーン。孤独を噛み締めながらも娘の幸せを喜んでいる演技が心にしみました。それでも、明日からまたいつもの日常が続いていく、というのをラストショットのアパートの廊下が示していたと思います。
小津作品はそんなに得意ではないんですが、この作品はコメディ要素が強く楽しめました。
普遍的なテーマを扱っているので、古い作品という感じがあまりしませんよね。
これを観た頃は、原節子が主演の小津作品を連続して観ていたけれど、この作品の彼女が妙に色っぽかったのを覚えてます。
私達が見た時は年配の方々が多かったのですが、随所でクスクス笑いが起こり、一緒に楽しく観る事ができました。
普遍的なテーマでいつの時代も変わらないなという感じがして、何かほっとするものがありました。
そして、原節子の美しさを再発見出来た映画ですね。